FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:見送りムード強く上値の重さを警戒

寄り付きは米国株の堅調な動きを受けて反発して始まったものの、米雇用統計の発表を控えて見送りムードが強いうえに、依然として上値の重さが警戒された。前引け段階の東証1部売買代金は1兆円を割り込んだ。一方、日銀が発表した6月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス14、非製造業がプラス1となった。市場予測は下回りながらも、ともに4期連続で改善しており株価にはほとんど影響しなかったが評価できる内容となった。結局、前営業日比84円安の2万8707円と4日続落して終了した。6月第4週では海外投資家は1113億円の売り越しとなり、2週間ぶりの売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から111.10円前後でもみ合い

ドル・円は、前日の海外時間に月末・四半期末に絡むドル買い・円売りフローで堅調だった流れを引き継ぎ、111.16円付近まで値を上げて昨年3月以来の高値をつけた。しかし、今晩発表される週間の新規失業保険申請件数や米ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、高値警戒感から利食い売りなどに押され、111.05円付近へ下落した。日経平均株価が下げ幅が100円を超えたことも、リスク回避の円買いとなった。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、111.10円前後で小動きになった。ユーロ/ドルは、欧州で感染力が強い新型コロナウイルスの変異株が拡大し、経済の正常化が遅れるとの見方から一時1.1839ドルまで下落、4月上旬以来のユーロ安・ドル高となった。

 

海外投資家は日本株を3週連続売り越し

財務省が発表した対外及び対内証券売買契約などの状況(週間、指定報告機関ベース)によると、海外投資家は6月20日~26日に日本株を3週連続で売り越した。売越額は1471億円だった。早期の米利上げ観測を背景に前の週末の米国株式相場が大幅下落し、週初に東京市場でも日本株が大幅安となったことが響いた。海外投資家は国内の中長期債を4週ぶりに売り越し、売越額は2815億円だった。国債の大量償還があった。短期債は5週ぶりの売り越しで、売越額は1203億円だった。国内投資家による海外中長期債への投資は4週ぶりの売り越しで、売越額は1兆265億円だった。米インフレ期待の後退に伴い米長期金利が低下(債券価格は上昇)した局面で、利益を確定する目的の売りが出た。海外株への投資は小幅ながら2週ぶりに買い越し、買越額は227億だった。

 

トルコの6月製造業PMIには注目

昨日発表された5月トルコ貿易収支をみても赤字幅が41億ドルまで拡大しており、リラの買いづらさに繋がる材料はまだ目につく。トルコでは、本日から新型コロナウイルス感染抑制を目的とした規制の多くが解除される予定である。専門家からはデルタ株感染の広がりが懸念されているが、ひとまず経済活動の正常化に向けて前進することにはなる。そういったなか、本日発表されるトルコ製造業PMIは6月分ではあるが、足もとの景況感を探るうえでも注目される。

 

一部通信社が、トルコ中銀が外貨負債の準備率を200ベーシスポイント(bp)引き上げたことを報じているものの、今のところ市場の反応は限定的である。ただし、トルコ勢が本格参入した後の値動きには注意が必要である。

 

メキシコ国債の信用格付けに悲観的:米格付け会社ムーディーズ

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、メキシコ国債の信用格付け『Baa1』の見通し『ネガティブ』が上方修正される可能性は低いとの見解を示した。ムーディーズは、政府が多額の支援を続けている国営石油会社ペメックスが、足もとの原油価格が上昇しているにもかかわらずフリーキャッシュフローはマイナスの状態を継続する可能性が高いと指摘した。ペメックスと非常に高い相関性があるメキシコ国債についても悲観的な見通しが示されました。

 

米独立記念日の前日は後の日よりも米国株が強い傾向

4日は米独立記念日のための2日の米国債券市場は短縮取引となり、5日は振替休日で株式市場が休場となる。GLOBEXの時間外取引は時間を短縮して5日の取引が行われるが、相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば、独立記念日の後より、米国株には前の日の方が強い傾向があるという。2000年以降の過去21年の独立記念日前後の動きを比較したところ、NYダウは上昇したのが前日で66.7%だったのに対し、後の日は38.1%だったという。S&P500指数、ナスダック総合指数、ラッセル200指数とも上昇したのは5~6割で、2日には米雇用統計が発表されることも含め、アノマリー通りの展開となるか注目される。

 

米国の労働省はワシントンで2日に最新6月雇用統計を公表

先行指標の中で雇用統計と最も相関関係が強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の6月分は前月比+69.2万人と、伸びは5月から鈍化したものの予想+60万人を上回った。このため、労働省が発表する雇用統計も強い結果が期待されている。ただ、5月分は+88.6万人と、速報+97.8万人から下方修正された。また、先週分新規失業保険申請件数も再び40万件台と、減少ペースは遅い。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を始め、高官らは依然1000万人近い国民が失業中とし、労働市場の進展の道のりは長いと、慎重である。雇用統計の結果がFRBの緩和維持の軌道を速やかに修正する可能性は非常に低いと考えられる。

■市場エコノミスト予想失業率:5.6%(5月5.8%)非農業部門雇用者数:前月比+71.1万人(+55,9万人)民間部門雇用者数:前月比+62万人(+49,2万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+3.6%(+0.5%、+2.0%)  

 

今晩米国市場では6月ISM製造業景況指数が公表

5月実績は61.2だった。18業種中、16業種が活動拡大を報告した。新規受注はやや上昇、生産、雇用、支払い価格は低下した。6月については人材確保が困難な状態が続いていることから、雇用指数は伸び悩む見込みとなった。ただし、全体の指数は5月実績に近い水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独小売売上高指数(予想:前月比5.0%/前年比▲1.0%)
○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%)
○15:30   5月スイス小売売上高
○16:00   6月トルコ製造業PMI
○16:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16:30   6月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:69.7)
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○16:50   6月仏製造業PMI改定値(予想:58.6)
○16:55   6月独製造業PMI改定値(予想:64.9)
○17:00   6月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:63.1)
○17:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○17:30   6月英製造業PMI改定値(予想:64.2)
○18:00   5月ユーロ圏失業率(予想:8.0%)
○20:30   6月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:39.0万件/338.2万人)
○22:45   6月米製造業PMI改定値(予想:62.6)
○23:00   6月米ISM製造業景気指数(予想:61.0)
○23:00   5月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○2日03:00   6月ブラジル貿易収支(予想:107.00億ドルの黒字)
○2日03:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○石油輸出国機構(OPEC)総会、OPECプラス閣僚級会合
○香港(香港特別行政区設立記念日)、カナダ(建国記念日)、休場

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