FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アノマリーが意識される展開

米国株高を受けてしっかりで始まったものの、買いが一巡してから値を消した後、小幅高の水準で一進一退となった。市場では、週末の米雇用統計を控え見送られる中、昨年9月から月末安が9ヵ月連続で続いているアノマリーも意識されていた。半導体関連などハイテク株はしっかりで推移した一方で、景気敏感株はさえない動きとなった。また、国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が一部で増えているほか、ワクチン接種が減速することへの減速することへの警戒感も売りを誘った。結局、前営業日比21円安の2万8791円と小幅ながら3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:月末・四半期末に絡む円買いで上値の重い展開

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢がドル買い・円売りに動き110.60円付近まで値を上げた。しかし、日経平均株価が朝高後に伸び悩んだこともあり、ドル/円の上値は重かった。その後は、国内輸出企業などから月末・四半期末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、110.45円付近へ軟化した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。週後半に発表される米ISM製造業景況感指数や米雇用統計などの重要な指標を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1900ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドイツ取引所がスイスの暗号資産企業を買収へ

ドイツ取引所は29日、スイスの暗号資産サービス企業クリプト・ファイナンスを買収すると発表した。機関投資家向けに暗号資産のトレーディングや管理などを提供するスタートアップで、市場拡大が見込まれるデジタル資産ビジネスを拡充する狙いがある。伝統的な取引所の新分野開拓が広がってきた。クリプト・ファイナンスの創業者などの既存株主から全株式の3分の2を取得する。具体的な買収金額は非公表だが1億スイスフラン(約120億円)以上で、10-12月期に手続きを終える計画である。

 

英国でも住宅価格が16年ぶりの高い伸び

英住宅金融会社ネーションワイドが29日発表した6月の英住宅価格は、前年比13.4%上昇と16年ぶりの高い伸びになった。新型コロナウイルス対策の一環で優遇税制が導入されており、今後も旺盛な需要が続く見通しである。6月の英住宅価格は前月比では0.7%上昇した。優遇税制の適用を受けるため買い手が売買契約を急いでいるほか、ロックダウン(都市封鎖)を背景に広い住宅に住み替える動きが広がった。

 

トルコ中銀では金利引き下げのためのスタッフ入れ替えか

トルコでは新型コロナウイルスの新規感染者数の伸びは抑えられているものの、デルタ変異株の割合が増えつつある。同国観光業の回復遅れも再び懸念され始め、リラの重石となっている。一部報道から、来週発表される6月トルコ消費者物価指数(CPI、前年比)について、前回から上振れを予想するエコノミスト調査の結果が明らかにされた。インフレの高止まりによる通貨価値の低下が意識されている。ところでトルコメディアは、カブジュオール氏が3月下旬にトルコ中銀総裁に就任後、アーバル前総裁の下で働いていた約90人のスタッフが解雇や降格させられたことを報じている。エルドアン・トルコ大統領が望む『金利引き下げ』を実施するための入れ替え、との見方もある。 

 

SARB副総裁の発言は金融政策に対してややタカ派

南ア準備銀行(SARB)のナイドゥ副総裁は今回のロックダウン強化について、『厳格な規制強化は経済減速とはなるが、景気回復を損なうことはない』と述べている。金利については『成長を支えるために金融緩和政策を維持する』とした一方で、消費者物価指数(CPI)が上昇していることで『現在はマイナス金利の状態で、50ベーシス利上げしてもまだマイナス金利である。金利を永久に(現在の)3.5%に維持することはできない」とも発言している。なお、市場への影響は限られるが、昨日ズマ前南ア大統領が法廷侮蔑罪で有罪となり、15カ月の禁固刑が宣告された。汚職・腐敗の象徴とされる前大統領に対して、厳しい刑が宣告されるのは南アの国際的な評価ではポジティブだが、いまだにズマ派が与党アフリカ民族会議(ANC)に多数いることで、政局が乱れないかが懸念はされる。

 

格付け会社S&Pがメキシコの成長率見通しを引き上げ

5月メキシコ貿易収支は3.40億ドルの黒字と市場予想14.42億ドルの黒字を縮小したものの、相場への影響は限定的。格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは、メキシコの成長率見通しを従来の4.9%から5.8%へと引き上げた。他の中南米諸国も概ね成長率見通しは上方修正されているが、メキシコのそれは同地域の2大経済であるブラジルと比べても上回っており、メキシコ経済の順調な回復ぶりがうかがえる。

 

6月米消費者信頼感指数は労働市場への自信が指数を押し上げ

コンファレンスボードが発表した6月消費者信頼感指数は127.3となった。予想119.0を上回りパンデミックで経済が封鎖する前の昨年2月来で最高となった。5月分も117.2から120.0へ上方修正された。特に雇用に自信が戻ったことが全体指数を押し上げた。雇用が十分と考えている回答者は54.4%と、21年ぶりの高水準を記録した。また、雇用が十分54.4と、職を得るのが困難10.9%との差は2000年以来で最大を記録した。賃金の上昇を予想している回答者は18.6%と、昨年3月来で最高となった。加えて、国内でワクチンの接種が進み、カリフォルニア州やNY州といった大きな州も含めて経済活動もパンデミック前の正常な状況に戻りつつあることも信頼感の上昇を支援している。消費者は休暇計画を立てたり、サービスへの消費が増えており回復の原動力となっている。コンファレンスボードのフランコ委員長は短期的なインフレ期待が上昇しているものの、消費にはほとんど影響を与えていないと指摘している。

 

欧米市場イベント

○15:00   1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲1.5%/前年比▲6.1%)
○15:00   1-3月期英経常収支(予想:132.5億ポンドの赤字)
○15:00   5月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比2.78%)
○15:45   5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   5月仏消費支出(予想:前月比7.5%)
○15:45   6月仏CPI速報値(予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
○16:00   6月スイスKOF景気先行指数(予想:144.7)
○16:00   5月トルコ貿易収支(予想:41.0億ドルの赤字)
○16:55   6月独雇用統計(予想:失業率5.9%/失業者数変化▲2.0万人)
○17:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.9%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.9%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   5月南アフリカ貿易収支(予想:465億ランドの黒字)
○21:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○21:15   6月ADP全米雇用報告(予想:60.0万人)
○21:30   4月カナダGDP(予想:前月比▲0.8%/前年比19.1%)
○21:30   5月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比3.1%)
○21:30   5月カナダ原料価格指数(予想:前月比2.0%)
○22:45   6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:70.0)
○23:00   5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲0.8%/前年比5.2%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○1日01:00   5月ロシア失業率(予想:5.2%)
○1日02:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

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