FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルス感染者再拡大に対する警戒感が重石

国内での新型コロナウイルスの感染再拡大や変異ウイルスに対する警戒感が重石となり、景気敏感セクターを中心に売りが先行する展開になった。市場では、ワクチン接種の拡大で経済活動の再開相場への期待が高まっていたが、そう長く続かないという見方が優勢になりつつあるとの声が聞かれた。また、25日移動平均線を割り込んだことで、テクニカル面では弱気に傾斜した。結局、前営業日比235円安の2万8812円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:値ごろ感からの買い戻しで110円台半ばでレンジ

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いが持ち込まれ、110.46円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅が一時300円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、テクニカル的に重要なサポート110.42円が意識されると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、110.50円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、110.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)がハト派姿勢を堅持し、緩和的な金融政策が当面続くとの観測から1.19ドル台前半で上値の重い展開となった。

 

トルコの感染者減少により経済正常化への期待感からリア下支え

トルコでは新型コロナウイルス感染の抑え込みに成功しつつあり、4月半ばに6万人を超えていた1日あたりの新規感染者数が今月27日には4000人台まで減少した。5000人を割り込んだのは昨年11月以来となり、トルコ経済正常化への期待感の高まりがリラの支えとなった。ただ懸念されることは、英国で新型コロナ・デルタ株の感染が拡大していることである。トルコ観光業にとっては英国も優良顧客であり、もし英国からの渡航に制限を課すことにでもなれば、主要産業の1つである観光業復活が遅れる。

 

南アではロックダウンの規制レベルアップでランドの上値重い

ハウテン州を中心に新型コロナウイルス・デルタ株が猛威を振るっていることで、27日の日曜日にラマポーザ南ア大統領は、ロックダウンの規制をレベル3からレベル4に引き上げると発表した。27日の南ア国内のウイルス感染が1万5000人を超え、死者も122人に上った。ハウテン州は『インドのような状況』と言われ、病床もひっ迫している。そのため、南アランド/円も上値を5日SMA7.7870円と10日SMA7.7845円に上値を抑えられ、弱含み推移している。下値では75日SMAの7.6943円がサポートとして意識される。

 

ヘッジファンドと個人が米国株売り越し:B of Aセキリティーズリポート

B of Aセキュリティーズの29日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は21~25日の1週間に米国株を13億500万ドル売り越した。2週ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は25日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)物価指数でエネルギー・食品を除くコア指数が前年同月比3.4%上昇し、市場予想(3.4%上昇)と一致し、前月比は0.5%上昇で市場予想(0.6%上昇)を下回って物価上昇圧力が一時的との見方から、S&P500指数が週間で2.74%高となって2週間ぶりに上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が14億2900万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は400万ドルの小幅買い越しで、2週連続の買い越しだった。個人投資家は7億1500万どるの売り越しで、2週間ぶりに売り越しに転じた。企業の自社株買いは8億3600万ドルで、3週ぶりに10億ドル台を割り込んだ。傾向としてはグロース株やグロース上昇投資信託(ETF)に売りが多かった一方、インフラ関連銘柄には買いが優勢だった。その一方で、米FRBのストレステスト(資産査定)を受けて今後は金融セクターによる自社株買いの増加が期待される。

 

米6月ダラス連銀製造業活動指数ではインフレ上昇懸念長引く可能性

米6月ダラス連銀製造業活動指数は31.1と、5月34.9から予想以上に低下し3月来で最低となった。重要な項目である新規受注は順調に増加している。同時に、価格も引き続き上昇した。原材料仕入れ価格は80.8と、5月の79.9からさらに上昇した。販売価格も42.8と、38.4から上昇し、それぞれ過去最高を記録した。調査の回答者の61%はサプライチェーンの混乱問題を指摘した。2月の35.5%に比べて大幅に上昇した。混乱問題に言及した回答者の中でも、おおよそ60%が事態がさらに悪化したと回答している。また、その45%が正常化には少なくとも7カ月かかると見ていることが明らかになった。本年中は、パンデミックによる供給問題がくすぶり価格を押し上げる可能性がある。また、雇用に関しては、多くの申請者が提示した以上の賃金を要求してくると答えた企業が42.5%と、4月の33%から上昇した。労働者不足で、賃金の引き上げは避けられず、賃金の上昇がインフレの上昇をさらに後押しする可能性がある。

 

米西部では記録的高温と水不足も深刻

アメリカ西部の州では28日、気温が40度を超えるなど記録的な高温となっていて、気象当局は西部の広い範囲に高温警報を出して、住民に警戒を呼びかけている。アメリカ国立気象局は28日、記録的な高温が続いているワシントン州やオレゴン州、それにカリフォルニア州の一部など西部の広い範囲に高温警報を出した。気温は一部の州で40度を超えたほか、ワシントン州などでは日中の最高気温が46度まで上昇する可能性があるということで、国立気象局は、屋外での活動を控え、空調設備のある屋内にとどまるよう呼びかけている。オレゴン州ポートランドではイベント会場が避難所として開放され、自宅に空調設備がない人に利用を呼びかけるなど、各地で対策が行われている。また、極端な高温は水の供給にも影響し、カリフォルニア州など一帯の2500万人に水を提供している『フーバーダム』では今月に入り、過去最低の水位を記録した。

 

月末と四半期末控え為替市場も波乱含みか

今週の為替相場は30日にかけて、6月の月末と4-6月の四半期末が重なる。国内外での実需決済やポートフォリオ調整、資金調達需要などにより、特殊オーダーが短期的な市場変動をもたらす可能性もある。最近は月末にかけてドル調達需要が強まるパターンもあり、2-5月にかけてユーロ/ドルなどを中心に『月末ドル高』が観測されてきた。ドル/円でもドル底上げが月末に見られている。一方で米国市場は今週のあと、来週初めの7月5日が独立記念日の振り替え休場となる。今週の後半にかけては、連休前のポジション調整や利益・損失の確定、ヘッジ対応などが波乱要因として無視できない。米国株が調整下落となれば、クロス円を中心に短期調整的な円高・外貨安を招く可能性もある。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.7%)
○15:45   6月仏消費者信頼感指数(予想:100)
○17:30   5月英消費者信用残高(予想:2.4億ポンド)
○17:30   5月英マネーサプライM4
○18:00   6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:116.5)
○18:00   6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲3.3)
○21:00   6月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.4%/前年比2.3%)
○22:00   4月米住宅価格指数(予想:前月比1.6%)
○22:00   4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比14.5%)
○22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:40   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:00   6月米消費者信頼感指数(予想:119.0)
○30日00:45   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○30日01:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)外相会合(最終日)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ