FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末の経済指標を控え様子見ムード強い

寄り付は続伸スタートしたが、買い一巡後は伸び悩み、その後上げ幅を縮小し2万9000円台での一進一退が継続した。前週末の米国株式市場でナスダックが軟調となった流れを引き継ぎ、日経平均の値がさハイテク株は総じて軟調な展開となった。日米の重要な経済指標の発表を週後半に控え、持ち高を一方向に傾ける動きは乏しく、日中の値動きは小幅にとどまった。前営業日比18円安の2万9048円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:オーストラリアのロックダウンの拡大報道で円買い優勢

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、110.65円付近まで下落した。オーストラリアで新型コロナウイルスの感染抑制に向けたロックダウンの拡大が報道されているため、これを嫌気した豪ドル安・円高が波及した面もあった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩の米株価動向や米FRB当局者の講演を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、夕方から参入してくる欧州勢待ちの様相を呈しており、1.1925ドル前後で小動きに終始した。

 

7月の本邦株価と為替の季節要因

本邦3月の決算企業の場合は、6月の株主総会を経て国内外の投資家に配当金の支払いが行われる。東証の株主総先調査によると、今年度のピークは6月29日で全体の27%が集中する見込みである。そして、7月上旬かけては配当金の払い込みが続く。7月の季節要因としては、①配当資金を受け取った国内外の投資家による日本株再投資、②個人投資家にとってのボーナス払い込みとのプラスアルファでの消費刺激効果、③株主総会を踏まえた企業による自社株買いの実行、④外国人投資家による配当利益の部分的な本国送金を通じた円高効果抑制が株高と円安の用意となるケースが見られる。

 

中国工業部門企業利益は原材料高で鈍化傾向

中国国家統計局が27日に発表した5月の工業部門企業利益は、前年同月比36.4%増の8299億2000万元(約1285億8000万ドル)だった。原材料価格の上昇でマージンが低下する中、増益率は4月の57%から大幅に鈍化した。統計局の担当者は、コモディティー(商品)価格の上昇に伴い、上流と下流部門の間の収益性格差が拡大していると指摘している。『景気回復の土台はまだ、しっかりとしたものではない』との認識を示した。同担当者によると、金属・化学・石油セクターで利益が急速に伸びる一方、より規模の小さい下流の企業には圧力が強まっているという。工業部門企業利益は1-5月は3兆4200億元で、前年同期比83.4%増加した。

 

トルコ中銀の通貨スワップ枠の設定に注目

外貨準備高不足に悩むトルコ中銀は他中銀と通貨スワップ枠の設定を急いでおり、一部報道ではアゼルバイジャン中銀とは合意間近と言われている。その他、アジア諸国の中銀やロシアにも働きかけているとされ、特に規模からすればロシア中銀の動向が注目される。通貨スワップ締結に至ればリラに対する不安要素が薄まるきっかけにはなる。ただ、昨年も英中銀との話がトルコ側で勝手に盛り上がり、いつの間にか立ち消えたように、単純に楽観的な見方を強めるのは避けたいところである。

 

南ア準備銀行ではインフレ率上昇で利上げ圧力高まる

先週発表された南アフリカの5月消費者物価指数(CPI)が2018年以来の水準となる+5.2%を記録し、南ア準備銀行(SARB)の目標レンジ(3-6%)の上限に近づいた。SARB内からは金融引き締めは時期尚早との声が強いものの、来月22日開催の金融政策委員会(MPC)に向けて利上げ圧力が高まるようであれば、ランド/円の支えとなる。しかし、コモディティ価格が不安定なことはランド買いの勢いを鈍らせることになる。さらに、南ア国内で新型コロナウイルスの感染が深刻なことは上値を重くする。先週末の1日辺りの新規感染者数は1万8000人前後と1月以来の水準まで拡大した。 なお、今週は4-6月期のBER消費者信頼感指数や、5月貿易収支や経常収支が発表される。

 

メキシコ中銀の追加利上げはインフレ指標次第

24日のメキシコ銀行(中央銀行)金融政策決定会合では3対2の際どい利上げ決定となったこともあり(2人の委員は据え置きを主張)、すぐに追加利上げが実施されるかどうかは難しいところではあるが、今後の消費者物価指数(CPI)などをにらみながら中銀のさらなる行動余地を見極めていきたいところである。なお、今週はメキシコ貿易収支の発表が予定されているものの、相場への影響は限られる可能性が高い。

 

FRB内でも金融引き締めについては意見が分かれる

先週までの発言で利上げ開始時期について米連邦準備制度理事会(FRB)のコンセンサスは形成されていないと思われる。セントルイス連銀のブラード総裁は早期利上げの必要性に言及し、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁とダラス連銀のカプラン総裁は資産買取りの段階的縮小(テーパリング)論議の前倒しを主張している。一方、ウイリアムズNY連銀総裁は急激な物価上昇は一時的と指摘し、パウエルFRBは予防的な利上げには否定的とみられる。しかし、市場ではFRBの金融政策が引き締めに向かっていることは間違いないとの見方が広がっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独輸入物価指数(予想:前月比1.3%/前年比11.4%)
○17:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○20:00   5月メキシコ貿易収支(予想:14.42億ドルの黒字)
○21:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○24:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○29日01:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)外相会合(29日まで)

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