FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前週末の米国株安を受けた売り優勢

前週末の米国株式市場では、ブラード米セントルイス連銀総裁のタカ派発言が嫌気され、米主要3指数がそろって大幅下落した。そのため、日経平均株価も朝方から幅広く売られ、大幅続落で始まった。NYダウ先物がマイナス圏で推移したことも重石となって、寄り付き後も下値を探る動きが継続した。グロース株もバリュー株も売られ、市場では先物主導の下げとの見方が出ていた。下げ幅は一時1100円を超える場面もあった。結局、前営業日比953円安の2万8010円と4日続落して終了した。4営業日で約1,400円超下落した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドル売り優勢に

ドル/円は、日経平均株価の大幅安を眺めたドル売り・円買いが持ち込まれ、110.00円付近へ下落した。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げにつながった。午後に入っても軟調地合いは続き、米長期金利が節目の1.40%を割り込むと、さらにドル売り・円買いが進んで109.72円付近まで下落した。ただ、この後の欧米株価動向や米FRB当局者の講演を見極めたいとムードもあり下げは一服した。値ごろ感からドルを買い戻す動きもあり、109.80円台を中心に推移した。ユーロ/ドルは、先週末のブラード米セントルイス連銀総裁からタカ派的な発言が報じられ、米FRBの利上げ時期が早まるとの観測を手掛かりとしたユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.1860ドル台で小動きとなった。

 

日本株の季節要因:配当金の再投資買いで底上げ支援

東証の株主総会調査によると、今年度のピークは6月29日で全体の27%が集中する見込みである。その前段階の6月16日から主要企業の株主総会が本格化しているため、7月上旬にかけては配当金の払い込みが続く。過去実績として日本株と為替市場では、季節要因として①配当資金を受け取った内外の投資家による日本株再投資、②個人投資家にとってのボーナス振込みとのプラスアルファでの消費刺激効果、③株主総会を踏まえた企業による自社株買いの実行、④外国人投資家による配当利益の部分的な本国送金を通じた円高抑制効果(ドル転やユーロ転など)が株高と円安の要因となるケースも見られてきた。結果、6月後半の株主総会から、配当資金の再投資が見込まれる7月前半から中旬までは、日本株の押し目買いや底上げが支援されやすい。

 

ニュージーランドの景気の底堅さを確認

ニュージーランドはワクチン接種に手間取るも感染封じ込めを追い風に経済活動の正常化が進んでおり、中銀は将来的な金融政策の正常化を示唆する動きをみせる。年明け以降は企業マインドの改善など景気回復を示唆する動きも影響している。1-3月の実質GDP成長率は前期比年率+6.76%と2四半期ぶりのプラス成長となるなど底入れの動きを強めている。幅広く内需の拡大が確認される一方、在庫投資による景気押し上げの懸念はあるものの、足下の企業マインドは製造業、サービス業ともに景気拡大を示唆する動きが続いており、先行きについても景気の底入れを促す展開が続くと期待される。 

 

ECBは戦略見直しで進展

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、週末にフランクフルト近郊のホテルで開いたECB当局者会合で、ECBが気候変動対策で果たす役割やインフレ目標を巡る指針の見直しなど、戦略目標の再構築について『順調な進展』が得られたと述べた。ECBは昨年初めに政策枠組みの見直しに着手、今年後半の完了を目指しているが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により作業に遅れが生じていた。週末に開いた3日間の会合は、この議論に弾みをつける狙いで、理事会メンバー25人が参加した。

 

リラの上値の重い展開は継続

先週は米金融当局者の中でタカ派色が広がっていることが先週明らかになり、外貨建て債務の割合が大きい新興国の負担増への懸念が高まっている。米金利の先高観が今後も強まると、リラの地合いの弱さから、国際金融協会(IIF)が示したドル/リラの適正価格(フェアバリュー)9.5リラが現実味を帯び始める。 また、先週のトルコ中銀・金融政策決定会合では、政策金利が予想通りに19%で据え置かれた。また、声明では前回『現行の金融政策を維持する』から『現行の引き締め的(tight)な金融政策を断固として(decisively)維持する』とタカ派な文言が追加された。もっとも中銀独立性への懸念を払拭することはできず、発表後もリラは上値を切り下げた。今週もエルドアン大統領やカブジュオール・トルコ中銀総裁の発言に警戒しながらの取引となる。

 

南アフリカの注目点

南アの経済指標は、今週は23日に発表される5月の南ア消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)に注目。今月は南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)は行われず、次回は7月22日となっている。原油価格が高騰していることで、CPIなどに徐々に影響を与えることになるが、CPIの上昇スピードが速まった場合は、来月のMPCに向けて利上げ期待が出てくる可能性も否定できない。また、南アの懸念材料としては、ウイルス感染第3波の影響で、今週ロックダウンの水準がレベル3まで引き上げられたこと、依然として電力施設の故障などで電力の負荷制限(停電)が行われていること、公務員組合のストライキの可能性などがあげられる。

 

米国とメキシコ、カナダの陸路入国制限を1ヵ月延長:前向きな措置延長

米国とメキシコ、カナダは新型コロナウイルスの感染対策措置として昨年3月から導入されている陸路入国制限を7月21日まで1カ月間延長することを発表した。ただ、夏場の観光シーズンを前にこの措置は緩和されていく姿勢で、前向きな措置延長とされている。

 

欧米市場イベント

○19:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、議会証言
○22日04:00   ウイリアムズ米NY連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ