FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:終値では2万9000円台を維持

タカ派的と受け止められた米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けた米国株安の流れを引き継いで、朝方に安く始まった後も徐々に下げを拡大した。市場では、朝方の下げて始まった台湾や韓国の株価指数が下げ幅を縮めていることが投資家心理にプラスとの声があるほか、FOMC後の米長期金利上昇も『3月の水準ほどにはなっておらず、目先の株価への悪影響は限られるではないと』との見方もあった。結局、前営業日比272円安の2万9018円と続落して終了した。6月第2週の海外投資家は3週間ぶりに2263億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:ドル上昇一服で110.60円付近でもみ合い相場

ドル/円は、FOMCが想定よりもタカ派的な内容となり、米FRBの量的緩和縮小の時期が想定よりも早まるとの観測から一時110.82円付近まで上昇し、4月1日以来のドル高・円安となった。ただ、3月31日につけた年初来高値の110.97円が視野入りすると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、110.60円付近へ緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.60円台を中心とした狭い値幅で取引された。今晩の米国株価動向や米経済指標を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、午前中に約2ヵ月ぶりの安値1.1984ドルを付けた反動から、利益確定などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.2005ドル付近へ値を上げた。

 

中国発改委は豚肉価格の過度な下落で警告

中国の国家発展改革委員会(発改委)は16日、豚生体価格が過度に下落し続けており、6月7-11日までの豚肉価格と穀物価格の平均比率が5.88:1となったことを受けて、価格安定のために政府の行動が必要になる『レベル3』の状態に入ったと警告した。養豚農家による大量の出荷や冷凍豚肉の輸入拡大、季節要因による需要の低迷などが原因であるとし、豚肉の生産能力を合理的な水準に維持することを要求した。また、発改委は次の段階として、豚肉生産と市場の価格トレンドを注視し、備蓄を適宜調整し、豚肉市場の円滑な運営を促すとした。『信報』が16日伝えた。

 

材木価格の高騰で住宅建築にも影響

世界的に木材価格が高騰する『ウッドショック』の影響が広がっている。木材価格の高騰が顕在化し始めたのは今年3月頃からである。米国での新築住宅の増加に加え、新型コロナウイルスの影響から回復した中国でも木材需要が伸びたためだ。米国では製材価格がこの1年で3~4倍に値上がりした。世界的なコンテナ不足で輸送費も上がった。その影響は国内需要の6~7割を輸入に頼る日本を直撃した。輸入材が品薄となり、国産材にも波及。木造住宅の柱などに使う集成材はこの半年ほどで2割値上がりし、夏場には2倍になるとの見方も出ている。

 

フラジャイル5の体質の今と昔:FRBのテーパリングへの影響

FRBが前回、テーパリングを決めたのは13年12月である。その時に注目を集めたのが『フラジャイル5』という、通貨安に直面しやすい『脆弱な5カ国』である。対外債務残高や外貨準備高の少なさ、経常収支の赤字の大きさやインフレ動向などから、投資家に売りの『狙い撃ち』をされやすい国を米モルガン・スタンレーが判断した。インド、インドネシア、トルコ、南アフリカ、ブラジルが該当する。その5カ国が年月を経てどう変化してかである。まず、外貨準備高では、13年の平均と21年の直近までの平均を比較した。インドは13年と比べて2倍になった。6月初旬には6000億ドル(約66兆円)に達した。インドネシアは1.4倍となった。一方、ブラジルは5%減少した。厳しいのはトルコで、外貨準備高は500ドルを下回り、13年の半分以下に減少している。経常収支でも同様の結果がみられる。13年当時はいずれも経常赤字が続いていた。しかし、インドでは20年、経常収支が黒字に転じた。南アも黒字化した。ブラジルは依然として赤字に沈むが、13年から4分の1の規模に縮小するなど改善が見られる。インドネシアは赤字が続くが四半期ベースでは黒字化するタイミングであり、体質には変化もみられる。一方、トルコは経常収支の改善が続き、19年には黒字になったものの、20年には再び赤字になった。トルコは引き続き狙い撃ちされやすい。

 

米FOMCでの変化の兆しが市場の動揺を誘う

2023年の中央値が1回の利上げに上方修正されることは、市場では大方予想していたが、それが『2回の利上げ』までに引き上げられたことでネガティブサプライズとなった。3月時点では11人いたゼロ金利予想がたったの5人に減少した。2022年のチャートをみると、14人いたゼロ金利予想が11人にまで減少した。つまり、9月のドットチャートでは、あと2人が利上げ予想に変更した暁には、来年2022年の利上げ予想に転じる可能性も出てきたことで、市場が浮足立ったのも納得がいく。パウエルFRB議長も現在のインフレは一時的とはしながらも『FRBの予想以上に上昇し持続する可能性がある』との見解を示した。テーパリング議論についても、『次回会合から進展具合の評価を始める』ことを示唆した。加えて、今回のFOMCでは、O/Nのリバースレポ金利を0.00%から0.05%、超過準備の付利を0.10%から0.15%へとそれぞれ5bp引き上げている。日々の金融調整のレンジを0.00-0.10%から0.05-0.15%に微調整を行ったということになった。細かな点ではあるが、上方向へのシフトということになった。

 

米国の利上げ時期を前倒し:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは16日付けリポートで、本日のFOMCの発表を踏まえ、最初の引き上げ時期を従来の24年1~3月期から23年7~9月に変更した。ただし、その可能性については、50%を若干上回る程度とみている。財政支援が薄れるにつれ、インフレ率が予想より低くなったり、成長率が減速したりすることで、上昇が簡単に脱線する可能性があるためとした。

 

欧米市場イベント

○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○16:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.00%で据え置き)
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.0%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○18:00   4月ユーロ圏建設支出
○20:00   4月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比99.7%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:19.00%で据え置き)
○21:30   4月対カナダ証券投資
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:35.9万件/343.0万人)
○21:30   6月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:31.0)
○21:30   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○23:00   5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比1.3%)
○23:00   エルダーソンECB専務理事、講演
○18日01:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合(ルクセンブルク)

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