FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株に連れて軟調地合い

前日の米国株式市場では、インフレ高進が示されたほか、5月小売売上高が予想を超える落ち込みとなったことで、主要3指数がそろって下落した。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表や米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の会見を前に、積極的な売買は手控えられ、日経平均はマイナス圏でもみ合い展開となった。結局、前営業日比150円安の2万9291円と3日ぶりに反落して終了した。信用評価損率は11日申し込み時点でマイナス7.9%と、前の週(マイナス8.33%)からマイナス幅が0.43ポイント縮小した。改善は4週連続となった。

 

東京外国為替市場:イベント待ちで110.10円前後でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、110.51円付近まで小幅に上昇した。ただ、前日の欧州市場でつけた高値110.17円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後は、短期筋による利益確定などのドル売り・円買いも見られ、110.10円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても、110.10円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。米FOMCの結果発表を前に、様子見を決め込む市場参加者が多かった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本の米国債保有は拡大

米財務省が15日発表した4月の対米証券投資統計によると、米国債保有額は首位である日本が1兆2770億ドルと、前月の1兆2400億ドルから拡大した。2位の中国は1兆0960億ドルと、前月の1兆1000億ドルから減少した。海外投資家による米国債投資は495億7000万ドルの買い越し。買い越しは2カ月連続となった。前月は1188億7000万ドルと過去最高の買い越しだった。

 

コモディティは間もなくピークに達する可能性:クレディ・スイス証券

クレディ・スイス証券では、マルチアセット・ポートフォリオにおいてコモディティの利益確定を決定したとしている。力強い政策支援とそれに関連した経済の加速を受けて、コモディティは数年ぶりの最高値に達し、力強い回復を拡大してきた。しかしCSでは、現在は一時的な低迷の可能性を示唆する兆候がみられていると指摘している。バルチック海運指数は5月初旬にピークをつけており、物流のボトルネックは緩和されているようにみえるとコメント。農産物セクターなどでは一部短期サイクルの供給対応が進んでいるとのこと。コモディティ価格は前回の強気相場でつけた高値に近い水準に近付いており、CSでは利益を確定しリターン見通しを「中立」に変更している。

 

ECBの隠れテーパリング:PEPPの買い入れペース半減

ECBは10日の理事会で向こう3ヶ月のパンデミック緊急資産買い入れプログラム(PEPP)の買い入れペースを維持する方針を決定。決定後で初の週次買い入れ額は前週から半減し、3月に買い入れ強化を決定して以降の平均を大きく下回った。今回は償還が多かったことも影響した模様だが、夏場に向けて債券発行額が少なくなることもあり、今後も資産買い入れペースが伸び悩む可能性がある。

 

南アでは19日からロックダウン水準引き上げ

本日の南ア市場は青年の日の振替休日で休場となっている。昨日はラマポーザ南ア大統領がロックダウン水準の引き上げを発表した。19日から開始されるが、これによりアルコールの販売は本日を含めた祝日を除き、月曜から木曜の10時から18時に制限される。ただし、許可を得ている飲食店では21時まで飲酒が許可される。また、22時から翌4時までは外出禁止令が発令され、集会も屋内50人、屋外100人に制限されない。南アでの感染第3波は深刻ですが、これまでのところランド相場への影響はほぼない。

 

本日は米・露首脳会談が予定

本日は、スイス・ジュネーブでバイデン米大統領とプーチン露大統領の会談が予定されている。冷戦後では最悪とされる両国関係の行方は、米国とロシアの間の立ち位置で悩むトルコにとっても重要となる。関係改善ともなれば、米国が懸念しているトルコの露製地対空ミサイル配備について、なんらかの解決に繋がるかもしれない。

 

米国市場では連邦公開市場委員会(FOMC)会合

バイデン大統領が提示している大型インフラ投資計画に増税案は含まれていない可能性があることから、米国経済の失速に対する警戒感は低下しつつある。ただし、大規模な財政支出によって政府債務は拡大しており、国債利回りの上昇が警戒されていることから、今回のFOMC会合では金融緩和策の早期縮小の必要性について議論される可能性がある。FOMCの声明は、金融緩和策の早期縮小について慎重であることを示唆する内容となる可能性が高いとみられる。

 

米FOMCの意思決定に対して二つの焦点

米FOMCの意思決定に対して、焦点となっているポイントは二つあり、『テーパリング議論の開始』と『ドットチャートの上方修正』である。ドットチャートでは、3月時点で2023年末がゼロ金利のままだった中央値が、利上げ方向に引き上げられるとの思惑が高まっている。3月時点で、18人中ゼロ金利を予想していたメンバーが11人だった。中央値が引き上がるには、その中から2人以上が金利引き上げを予想すれば変化が見られる計算になる。これまでの発言などからその可能性が高いと判断している向きが多くなっている。一方、テーパリング議論の開始については、『よく分からない』といったところである。ただ、昨日にFedのNYがあるアナウンスとして、『6月22日、24日にMBSの売りオペを少額で実施する』とのことである。その理由としては『FOMCからの予想される政策支持などに対応するための予行演習』として実施する模様である。6月2日にも国際売りオペの予行演習も行っており、それに続くテストがアナウンスされることになった。売りオペの準備が実際の実務を行うNY連銀で進められていることが確認できる。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.8%)
○15:0    CPIコア指数(予想:前年比1.5%)
○15:00   5月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.3%/前年比3.3%)
○16:00   5月中国鉱工業生産(予想:前年比9.0%)
○16:00   5月中国小売売上高(予想:前年比13.6%)
○17:00   エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
18:00   デギンドスECB副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   5月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比3.5%)
○21:30   4月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.9%)
○21:30   5月米住宅着工件数(予想:163.0万件、前月比3.9%)
         建設許可件数(予想:173.0万件、前月比▲0.2%)
○21:30   5月米輸入物価指数(予想:前月比0.8%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○17日01:00   5月ロシア鉱工業生産(予想:前年比10.5%)
○17日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.00-0.25%で据え置き)
○17日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○17日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○17日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:4.25%に引き上げ)
○米ロ首脳会談(ジュネーブ)
○南アフリカ(青年の日)、休場

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