FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安進行と海外勢の買い戻し

前日の米国株式市場でのナスダック高やドル/円が110円台で円安に振れていることが好感され、値がさハイテク株や自動車株を中心に買い戻しが先行した。市場では円安が追い風となったほか、海外勢の買い戻しで地合いがしっかりした。トヨタが初の1万円台を付けた。結局、前営業日比279円高の2万9441円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:110.10円を挟んでもみ合いに終始

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、110.15円付近まで値を上げた。日経平均株価が上げ幅を200円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、今晩発表される5月米小売売上高などの経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、110.10円を挟んでもみ合いとなった。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、110.10円前後で方向感に欠ける値動きが続いた。今日から始まる米FOMCのイベント控え、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.2125ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となった。

 

米国株を過去11番目の大幅売り越し

BofAセキュリティーズは15日付の顧客フローのリポートによると、1週間に米国株を30億5000万ドル売り越した。2週間ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は5月諸費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったものの、長期金利が低下して主力ハイテク株が強い中、S&P500指数が史上最高値を更新して週間で0.41%高となって3週連続で上昇した時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が18億3500万ドルの売り越しで、3週連続の売り越しとなった。機関投資家は9億9200万ドルの売り越しで、5週ぶりに売り越しに転じた。個人投資家は12億6400万ドルの売り越しで6週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは10億4100万ドルで、3週ぶりに10億ドル台を回復した。傾向としてはS&P500指数が史上最高値圏にある状況下、自社株買いを除く主要3主体が全て売り越しとなった。規模としては約2ヵ月ぶりの大幅売り越しで、同社が2008年から集計を開始して以来、11番目の大きなものだった。

 

トルコと米国首脳会談では前向きな姿勢は評価

注目されたエルドアン・トルコ大統領とバイデン米大統領の直接の会談では、どちらも建設的な話し合いができたと会談後に述べている。しかしながら両国間で最大の懸案事項とされる露製地対空ミサイルについて、トルコの導入方針に変更なしが伝えられたことが明らかにされた。米トルコ首脳会談は期待されたほどの関係修復とはならなかったが、多くの課題を今後どのように進めていくかを巡り話し合われたようである。解決までは時間がかかる問題や、そもそも落しどころが全く見えない難題もあるが、両国の『前向きな姿勢』は評価できる。 

 

南ア経済は底入れが確認:感染拡大なら状況一変の可能性も

南ア経済は、商品市況の底入れが景気押し上げに繋がる一方、電力不足に伴う計画停電が足かせとなる展開が続くが、1-3月の実質GDP成長率は前期比年率+4.62%と3四半期連続のプラス成長となるなど底入れが確認された。ただし、家計消費や政府消費が景気を押し上げる一方、世界経済の回復にも拘らず外需は弱含み、企業部門の設備投資も低迷している。足下の企業マインドは一段と改善するなど景気の底入れを示唆する一方、感染が再拡大する『第3波』の兆候が出るなど状況が一変する可能性も出ている。

 

米国の期待インフレ低下で実質金利の低下抑制:ドル支援に

米国では期待インフレの急上昇が一服となり、低下に転じている。為替相場では名目金利の押し下げを通じてドル安要因となる一方、昨年や今年4-5月は期待インフレの上昇が実質金利を低下させ、全般的なドル安に作用しきた(実質金利=名目金利-期待インフレ率)。その意味で足元の米期待インフレ低下は、前週での名目金利の急低下一服とあいまって、実質金利の低下抑制や上昇、連動したドル高の要因として注視される。前週末11日に公表された米6月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値では、『1年先のインフレ期待』が4.0%となり、前月の4.6%から低下した。『5年先のインフレ期待』も2.8%と、前月の3.0%から低下している。背景としては供給制約や資源高などによる物価急上昇の一旦の織り込みや、特殊要因による一時的な物価上昇との安心拡大、ワクチン普及と経済制限の解除などによる先行きの供給制約緩和の期待感などがある。

 

米国市場では5月小売売上高が公表

4月実績は前月比横ばいだった。新型コロナウイルス対策の一つである現金支給の効果が薄れていることが要因となった。3月実績は上方修正されている。5月については、現金支給の効果が薄れていることから、前月比でやや減少する見込みである。ただ、貯蓄は高水準を維持していいることから、経済活動の再開によって個人消費は6月以降、やや持ち直す可能性がある。5月小売売上高は前月比-0.4%と、4月の0.0%から伸びは大きく鈍化する見通しである。マイナスへの転落が嫌気され、GDPの下方修正への思惑から株売り・ドル買いの要因になる可能性もある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   2-4月英失業率(ILO方式、予想:4.7%)
○15:00   5月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比2.5%)
○15:45   5月仏CPI改定値(予想:前月比0.3%/前年比1.4%)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済150億ユーロの黒字)
○19:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○21:15   5月カナダ住宅着工件数(予想:27.00万件)
○21:15   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:30   5月米小売売上高(予想:前月比▲0.7%/自動車を除く前月比0.2%)
○21:30   6月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:22.0)
○21:30   5月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比6.3%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比4.8%)
○22:15   5月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.6%)
          設備稼働率(予想:75.1%)
○22:50   パネッタECB専務理事、講演
○23:00   6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○23:00   4月米企業在庫(予想:前月比▲0.1%)
○24:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○16日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)改定値(予想:前年比▲1.0%)
○16日05:00   4月対米証券投資動向
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○米・欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル)

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