FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ワクチン接種進み経済活動正常化への期待買い

前週の米国株高を好感したものの、15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを控えている上、戻る売りも警戒され上値に対して慎重な動きとなった。市場では、2万9000円を超すと戻り売りが厚くなり、商いの盛り上がりに欠く状態では上値を追い切れないとの声が聞かれた。日経平均VIが午後に一段安となり、17.05まで下げてザラ場ベースで4月15日以来、2ヵ月ぶりの低水準を付けた。市場からは6月のメジャーSQを終えて15~16日の米FOMCを控えてこう着が強まった。ただ、国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動が正常化することへの期待が引き続き支援材料となった。結局、前営業日比213円高の2万9161円で終了した。

 

東京外国為替市場:109円台後半でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.83円付近まで値を上げた。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いを誘った。ただ、11日の海外市場でつけた109.84円が上値の目処として意識されると上げは一服した。短期筋による利益確定などのドル売り・円買いも見られ、109.75円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、109.70円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いとなった。明日から開催される米FOMCを控えて、上下に動きにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.2100ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。

 

FX概況では前週のドル買い比率は56.1%に低下

QUICKが算出した前週末11日時点のFX6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は56.1%と前の週末から2.3ポイント低下した。前週は週間で小幅ながら円安・ドル高が進み、個人投資家からは目先の利益確定売りを目的とした円買い・ドル売りが増えた。前週の外国為替市場で円相場は1ドル=109円台前半で始まったあと、10日発表の米5月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったのを受けた米金利上昇を背景に、109.80円まで円安・ドル高が進む場面があった。短期売買の個人投資間の間では利益確定や相場の流れに逆らう『逆張り』のp円買い・ドル売りの動きが広がり、ドル買い比率の低下につながった。

 

日銀の金融政策決定会合では緩和継続見通し

日銀は17-18日の金融政策決定会合で、景気の現状判断をおおむね維持し、大規模な金融緩和を継続する見通しである。緊急事態宣言の延長で引き続き対面型サービス消費に下押し圧力が掛かる一方、輸出や生産は4月展望リポート時から若干上振れているとの見方が日銀では出ている。9月末に期限となる『新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム』の延長の是非も議論し、早ければ今回の会合で半年間の延長を決めるとみられる。

 

中国の新車販売台数は1年2ヵ月ぶりにマイナス

中国自動車工業協会は11日、5月の同国新車販売台数が前年同月比3.1%減の212万8000台だったと発表した。伸びは4月の8.6%増から落ち込み、1年2カ月ぶりにマイナスとなった。前年は新型コロナウイルスの感染抑制を背景に2桁増を記録したが、反動減となった形である。乗用車は1.7%減、商用車は7.4%減。一方、政府が普及を後押ししている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの『新エネルギー車』は2.6倍の21万7000台で、全体に占める比率は初めて10%を上回った。

 

本日のトルコと米国の首脳会談:協議内容の深掘りは難しい

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催されるベルギー・ブリュッセルで、トルコと米国の大統領が両国関係改善に向けて歩み寄るとの期待が先週から高まっており、リラ相場の押し上げ要因となった。ただし、両国間の懸案事項は、ロシア製ミサイルのトルコ配備から中東情勢のみならず、トルコ国内の人権問題、歴史認識、また2016年のトルコ・クーデター未遂に絡むことなど多岐に渡る。トルコと米政府間で十分な予備交渉ができていれば別だが、NATO会議の合間で協議内容を深掘りするのは難しいかもしれない。互いの重要性を認める程度に留まり、問題解決は先送りとなる可能性も高い。『非難合戦とならなければ良ししとする』程度の見方が安全かもしれない。

 

17日のトルコ金融政策決定会合では金利据え置き見込み

トルコ中銀が17日に開く金融政策決定会合では、3会合連続の政策金利据え置きが見込まれる。エルドアン大統領が夏の利下げを望むなかで、引き締めスタンスに関しどの程度の文言が声明に織り込まれるかがポイントとなる。なお、先週は一部の米投資銀行と格付け会社から、早期緩和リスクが残るとしながらも利下げ時期は第4四半期までずれ込むとの予測が示された。

 

南アの国内事情とポジティブ材料

南アで今週懸念される国内事情は2つあります。1つ目は、国営会社エスコムによる電力負荷制限の水準が先週、一部地域でレベル4まで上がるなど電力のひっ迫が問題になっている。南アでは冬季に入っており、電力調整が厳しくなっている。2つ目は、公務員労働組合がストライキを行う可能性がある。一方でランドにとりポジティブ材料となりそうなのは、先週後半にゴーダン公共企業相が国営の南ア航空(SAA)株の売却を発表したことである。今後の財政赤字削減に弾みがつく可能性がある。なお、17日には4月の小売売上高が発表される。前年同月比では、昨年のパンデミック禍との比較でもあり、大幅なプラスが予想されている。

 

イスラエルではベネット新政権発足:ネタニヤフ氏は退陣

イスラエル国会は13日、右派政党『ヤミナ』のベネット党首が率いる連立政権を承認し、歴代最長の12年続いたネタニヤフ政権に終止符が打たれた。ただ、国会での投票は賛成60、反対59の僅差となり、左派から中道、右派、アラブ系政党まで幅広い勢力で構成し、ネタニヤフ氏の退陣以外に共通点の乏しい連立政権の危うさが浮き彫りになった。ネタニヤフ氏は1996-99年と2009年以降に首相として政権を率いた。しかし、過去2年間に実施された4度の総選挙では勝利を収められず、汚職疑惑を巡る裁判も逆風となった。

 

メキシコ中銀による利上げ期待:インフレ率が中銀目標を上回る結果

メキシコペソの足元でのサポートとなっているのは、メキシコ中銀による利上げ期待である。金利動向を最も左右する最新の5月消費者物価指数(CPI)が先週発表され、前年比で+5.89%と前4月の+6.08%からはやや鈍化したものの中銀目標の±3%を大きく上回っている。4-6月期のインフレ上振れは中銀の予想通りではありますが、来週24日に行われるメキシコ中銀の金融政策決定会合では引き続き引き締め路線への見方となりそうである。

 

欧米市場イベント

○15:30   5月スイス生産者輸入価格
○15:30   5月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比13.30%)
○16:00   4月トルコ経常収支(予想:22.0億ドルの赤字)
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.4%/前年比37.4%)
○21:30   4月カナダ製造業出荷
○22:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○22:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ブリュッセル)
○ロシア(ロシアの日の振替休日)、休場

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