FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:模様眺めムードに支配され小動き

5月米消費者物価指数(CPI)の発表を受けた米国株式市場が堅調だったことから好感された。また、米10年債利回りが1.4%台前半まで低下した。これが手掛かりとなって日本株も比較的底堅く推移した。しかし、週末とあって模様眺めムードに支配され、全体的に小動きに終始した。結局、前営業日比9円安の2万8948円で終了した。メジャーSQ値(速報値)は2万9046.40円。

 

東京外国為替市場:材料出尽くしで週末を控えた持ち高調整の動き

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.45円付近まで小幅に値を上げた。しかし、前日に米長期金利が1.43%台まで急低下し、日米金利差縮小が意識されているため、追随する動きは見られなかった。その後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、109.40円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても、109.40円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。主要イベントが終了し、手掛かり材料難から積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.21ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

G7では新たな『大西洋憲章』を発表する見通し

日本時間の11日から始まるG7サミット=主要7か国首脳会議を前に、アメリカのバイデン大統領とイギリスのジョンソン首相が会談し、世界的な課題の解決に向けて両国が協力するための目標をまとめた、新たな『大西洋憲章』を発表する見通しとなった。今回の憲章のモデルとなった大西洋憲章は、第2次世界大戦中の1941年、当時のルーズベルト大統領とチャーチル首相が、戦後の国際秩序の構築に向けて自由貿易の促進など8項目の目標を示したもので、その後、国連の創設などにつながった。今回、合意する見通しの新たな憲章では、当時と同様、価値観を共有するアメリカとイギリスが、安全保障や新型コロナウイルスからの復興、さらにサイバー攻撃や気候変動といったさまざまな課題に対応するための内容が含まれる。

 

格付け会社フィッチはトルコの実質金利マイナスは回避と予想

米投資銀行ゴールドマン・サックスや格付け会社フィッチ・レーティングスは昨日、強まるトルコ中銀への利下げ圧力がリスクとしながらも、実際に政策金利が引き下げられるのは第4四半期とした。エルドアン大統領は先週、『7、8月に金利は下がらなければならない』と主張しているが、金融政策委員会(MPC)は冷静な判断を下すと見られている。またフィッチはトルコのインフレについて、今後17%台へ上昇するものの年末には15.5%まで伸び率が縮小すると予想している。それに伴う政策金利の引き下げは17%までとし、実質金利マイナスは避けられるもようである。

 

メキシコ中銀のインフレ目標を上回る消費者物価指数

発表された5月メキシコ消費者物価指数(CPI)は前年比で5.89%の上昇となり、市場予想の5.86%を上回る結果となった。前月の6.08%から伸びは鈍化しているものの、依然としてメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%±1.0%)上限を大きく上回っている。また、ロペスオブラドール大統領は昨日、次期中央銀行総裁としてエレラ財務公債相を指名した。現在のディアスデレオン総裁は2021年末に任期満了を迎えるが、大統領は以前から同総裁を再任しない方針を示していた。財務公債相の後任には大統領の側近で、これまで経済政策を助言してきたラミレスデラオ氏が指名されている。

 

5月米消費者物価指数発表後の米長期金利動向

昨日の米長期金利の動向をどう解釈するかである。市場では『中古自動車が前年比7.3%と急騰。全体の5.0%の3分の1を占めるに至っている。この数字がピークであり、徐々に落ち着いてくるはず』との認識が強い模様である。FRBが頑なに主張するインフレ率上昇の『一時的』との見方を共有したような債券市場の値動きとなった。また、直近の安値が5月7日の米雇用統計直後につけた1.4643%だったわけで、短期筋のテクニカル的なストップロスを誘発したことも低下幅を拡大させた要因になった。ただ、最近の動きとは明らかに違う反応もみられている。実は、米10年債利回りが急低下したのに対して、米10年のブレイクイーブン金利(BEI)は逆に2.3144%から2.3704%に急上昇している。今月に入ってからというもの、名目の10年債利回りとBEIはともに低下傾向を続けていたが、昨日はBEIが反発するといった動きになった。結果的には実質金利が前日の▲0.78%前後から▲0.94%前後まで低下したことになった。それでもドル/円は前日の安値さえ更新しないといった状況である。米10年債利回りがBEIの反発につれて今後値を戻してくる可能性も否定できない。

 

米国における新型コロナウイルスの新規感染者数が増加

報道によると、米国における新型コロナウイルスの新規感染者数は3日連続で増加し、1週間ぶりに2万人を超えた。7日平均の感染者数も増えているが、2週間前との比較では大幅に減っている。

・6月9日における新規感染者数:22314(8日:15059、7日:13758、 6日:6067)
・6月9日における死者数:449(8日:373、7日:305、6日:253)

・データソース:New York Time Tracker
※米CDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、これまでに合計3億475万回のワクチン接種が実施されており、1億6483万人(63.9%)の成人が少なくとも1回以上のワクチン接種を受けている。

 

米国市場は6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報

5月CB消費者信頼感指数は117.2で市場予想を下回った。主にワクチン接種の拡大によって、米国における新型コロナウイルスの感染流行は終息に向かいつつある。雇用情勢の顕著な改善は期待できないものの、消費者信頼感は4月との比較で多少改善する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   4月英国内総生産(GDP、予想:前月比2.2%)
○15:00   4月英鉱工業生産指数(予想:前月比1.2%/前年比30.5%)
         製造業生産高(予想:前月比1.5%)
○15:00   4月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:121.0億ポンドの赤字/25億ポンドの赤字)
○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%)
○17:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、カンリフBOE副総裁、ラムスデンBOE副総裁、スナク英財務相、国際決済銀行(BIS)主催のイベントに参加
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:5.50%に引き上げ)
○20:00   4月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.3%)
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比120.0%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:80.6%)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:84.0)
○先進7カ国(G7)首脳会議(英コーンウォール地方カービスベイ、13日まで)

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