FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:全般見送りムード強く値動きの乏しい展開

朝方安く始まったが、米国市場で米長期金利の利回りが低下し、米ハイテク株がしっかりとなったことを追い風に、半導体関連や電子部品が買い戻された。一方、百貨店や外食、レジャー、空運、電鉄といった経済正常化への期待で買われた銘柄の一角が利益確定売りに押された。米金利動向やメジャーSQへの警戒感が根強い一方、国内経済正常化への期待感もあるとして強弱材料が対立した。5月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、売買の見送りムードも強かった。結局、前営業日比97円高の2万8958円と反発して終了した。東京証券取引所が10日発表した6月第1週(31日~4日)の海外投資家(外国人)は605億円買い越した。買い越しは2種連続となった。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く1090円台半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、109.50円付近へ下落した。米中閣僚級レベルで電話会談が行われ、貿易の健全な関係推進で一致したため、これを好感した人民元高・ドル安が波及した面もあった。午後は日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.55円を挟んでの取引が続いた。今晩は発表される5月消費者物価指数(CPI)や週間の米新規失業保険申請件数を前に、様子見を決め込む市場参加者が多かった。ユーロ/ドルは、今晩の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を控えて積極的な売買は目立たず、1.21ドル台後半で小動きに終始した。

 

5月の東京都心オフィス空室率は6年9ヵ月ぶりの高水準

オフィス仲介の三鬼商事が10日に発表した5月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.25ポイント上昇の5.90%だった。15ヵ月連続で上昇し、2014年8月以来6年9ヵ月ぶりの高さとなった。新型コロナウィルス感染症で企業のテレワーク導入が進み、オフィス集約に伴う解約が続いた。既存ビルの空室率の前月比0.24ポイント上昇の5.86%と、14年7月以来の水準に上昇した。新築ビルは8.97%と1.67ポイント上昇した。満室稼働の大規模ビル1棟を含む3棟が竣工から1年たち、新築ビルの区分から外れたためである。

 

欧州市場ではECB理事会を開催

欧州中央銀行(ECB)の金融政策調査部門責任者はインフレ目標について、厳密な数字よりレンジで設定した方が、インフレ期待をうまく制御できるとの研究結果を公表しており、ECBの金融政策に影響を及ぼす可能性がある。ただ、今回の理事会では、パンデミック購入プログラム(PEPP)の現行の購入ペースを維持することが決定される見込みである。

 

かなり強力な物価圧力が存在:ハルデーン英中銀理事

イングランド銀行(英中央銀行)のハルデーン理事は9日、『かなり強力な物価圧力』がすでに存在しており、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて導入した大規模な金融政策をある段階で縮小する時期に来ているかもしれないとの認識を示した。同理事はLBCラジオとのインタビューで『われわれは蛇口の引き締めを開始し、われわれが刷っている紙幣の量のペースを落とし、最終的には逆の方向に向かい始める可能性さえある』と述べた。同理事は今月、退任する。5月の金融政策委員会では債券買い入れプログラムの縮小に賛成票を投じた。

 

米トルコ首脳会談に向けて関係改善期待

来週14日にブリュッセルで開催予定の米トルコ首脳会談に向けて、両国高官から歩み寄りを期待する発言が出ていることもリラの支えとなった。米トルコ首脳会談では、トルコがロシアから購入した地対空ミサイルS400についても話し合われると見られている。これまでトルコ側は『配備は決定事項』と米国の反対を拒み続けていた。ただ一部メディアが、起動させないことを条件にトルコのS400を米側が認める可能性を報じており、トルコの対応次第では関係改善に繋がっていくかもしれない。

 

南アの国内指標よりも欧米事情によりランドは変動の可能性

本日は南アから1-3月期経常収支が発表される。南アの財政問題を知るには重要な指標ではあるが、市場が反応するのは難しいと思われる。むしろ、欧州中央銀行(ECB)定例理事会及びその後のラガルドECB総裁の会見がランド相場に与える影響があるかもしれない。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)も開かれますが、主要国が早期のテーパリングなどを否定すると、これまで通りのランド買いトレンドが続くのではないかと思われる。なお、南ア国内のニュースでは国営電力会社エスコムの電力負荷制限が深刻になっている。昨日は一部地域で14時から22時までステージ4まで水準が上がった。南半球の南アでは冬季のため、電力の需要をできるだけ抑えようとはしているが、かなり苦戦している。

 

米国が制裁解除なら迅速にイラン原油増産

イラン国営石油(NIOC)の幹部は9日、イラン核合意の再建に向けた協議で、米国が対イラン制裁を解除すれば、迅速に原油生産を増やす方針を示した。同幹部は石油省傘下のシャナ通信に『制裁が解除されれば、国内の原油生産の大半が1カ月以内に復旧する見通しだ』とし『1週間、1カ月、3カ月の間隔で原油生産を制裁前の水準に戻す綿密な計画を立てている』と述べた。ただ、米政府は8日、イラン核合意が復活しても、数百にのぼる対イラン制裁は解除されないと表明しており、イラン産原油の市場への供給が直ちに増えない可能性もある。

 

メキシコ中銀総裁任期満了で交代:健全な財政バランスを目指す

メキシコのロペスオブラドール大統領は9日、アルトゥロ・エレラ財務公債相を次期中央銀行総裁に指名した。ロペスオブラドール大統領はこれまでに、今年末に任期が切れるディアス・デ・レオン総裁を再任せず、次期総裁に『社会的視点』を備えた人物を起用する方針を示していた。エレラ氏は世界銀行などでの勤務を経て、2019年7月に財務公債相に就任した。ロペスオブラドール大統領の意向に従い、緊縮的な財政政策を実施した。エレラ財務公債相の後任にはエコノミストのロヘリオ・ラミレス・デラ・オー氏を指名した。同氏は、24年までの任期を通して健全な財政バランスを目指すと表明した。

 

米国市場では5月消費者物価コア指数(CPI)が公表

5月米消費者物価指数コア指数(CPI)は前年比+3.4%で上昇率は4月実績の+3.0%を上回る見込みになっている。市場予想を上回った場合、インフレ進行の懸念はくすぶり、ドルは下げづらくなりやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.9%)
○15:45   4月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
○16:00   4月トルコ失業率
○16:30   5月スウェーデンCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.0%)
        コア指数(予想:前月比0.4%/前年比2.2%)
○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:1821億ランドの黒字)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:05   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   5月米CPI(予想:前月比0.4%/前年比4.7%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比3.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:37.0万件/360.2万人)
○11日02:00   米財務省、30年債入札
○11日03:00   5月米月次財政収支(予想:2500億ドルの赤字)
〇英米首脳会談

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