FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:重要イベント控えて様子見ムード

まちまちの米国株を受けて、日本株は続伸して始まったものの、重要イベントや週末にメジャーSQ算出を控える中で、明確な方向性が感じられず、続伸した後に軟化する展開になった。引き続き個別物色の動きとなった。心理的な節目の2万9000円を超えた水準では上値の重さが意識され、利益確定売りに次第に押された。結局、前営業日比55円安の2万8963円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:短期筋による持ち高調整などのドル売り

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、109.45円付近へ上昇した。しかし、先週末に発表された5月米雇用統計の非農業部門雇用者数が予想を下回り、米FRBが早期に量的緩和を縮小するとの観測が後退していることから、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋による持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、109.40円を挟んだもみ合いとなった。午後に入っても、109.40円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。10日に発表される5月消費者物価指数(CPI)を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは1.2180ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

FOMCを控えてハイイールド債ETFから資金流出

7日の米国市場でハイイールド債を対象とするSPDRバークレイズ・ハイイールド債券ETF(JNK)から資金が流出した。5億4434万ドルとなり、15~16日に米FOMCを控える中で3日連続の流出超となった。この日のJNKは前週末比0.07%高で小幅に続伸し、テーパリング懸念が残るなかでも米長期金利が落ち着いた展開となる中で堅調だった。JNKには3300万株を超える空売り残高があり、年初来高値圏で堅調な中、売り方の買い戻しにっよる資金流出が起きやすい地合いとみられる。

 

顧客が米国株を2週ぶりに買い越し

BofAセキュリティーズの8日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は5月31日~6月4日の1週間に米株を14億6400万ドル買い越した。2週ぶりに買い越しに転じたことになる。この週は4日に発表された5月の米雇用統計で非農業部門の新規雇用者数が前月比55万9000人増となり、市場予想(65万人増)を下回ったことで長期金利が低下する中、S&P500指数が週間で0.61%高となって2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3100万ドルの小幅売り越しで、、2週連続の売り越し。機関投資家は7億9700万ドルの買い越しで、4週連続の買い越しだった。個人投資家は2億900万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは9億700万ドル。傾向としてはS&P500指数が史上最高値圏にある中、機関投資家の買いが目立った。ほとんどがパッシブ買いだといい。その反面、個人投資家とHFの売り基調は続いた。

 

トルコのポジティブ材料

トルコで新型コロナウイルス感染が減少傾向となっていることを受け、ドイツは同国を新型コロナの高リスクリストから外すことを決定した。今後、両国間の渡航が正常化に向かうことが期待され、トルコ観光業にとっての明るい材料は通貨リラの支えにもなった。 また、エルドアン大統領が週末、黒海でトルコが進めている資源開発において新たな天然ガス鉱床を発見したと発表した。エネルギーを輸入に頼る同国の経済にとってポジティブな話題ではあり、こちらも市場に好感された面もあった。

 

南アフリカのネガティブ材料

ムボウェニ南ア財務相の解任の噂については、ラマポーザ南ア大統領が内閣の改造を行おうとしているが、その中で緊縮財政に走り過ぎている財務相を交代させようという声が出ている。すでに、南アの情報誌では後任にクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁をはじめ複数の名前が出ている。解任のニュースが流れた場合は、ランドが売られる可能性もあるが、後任者次第では売りも限られる。南ア公務員組合(PSA)のストライキについては、早ければ11日金曜日に投票が行われるとされている。23万5千人という大きな組合には看護師、教師、警官、などを含む公務員が含まれている。賃金交渉が一向に進まないことが原因でもめたままだが、ストライキが実行された場合は当然ランドには悪いニュースである。

 

米国債需要動向次第で米金利とドル相場を左右

今週の米国債市場では入札が予定されている。日程は8日に3年債、9日に10年債、10日に30年債といった順番である。前週末には米雇用統計が予想を下回り、米FRBによる早期の緩和縮小観測は一旦の後退してきた。米国内での根強いカネ余りなどもあり、米債入札で一定の需要が示されると米債金利は低下(米債価格は上昇)。為替相場ではドル/円を含めて、全般的なドル安の要因になりやすい。一方、今週の米指標など次第では、改めて米国でのインフレ上昇が示される可能性がある。先行きFRBが緩和縮小に移行する余地は残されており、米債入札が低調となると米債金利は上昇(米債価格は下落)。全般的にドルが上昇となる余地も残されている。

 

5月米雇用統計が下振れの背景

週末の米雇用統計は予想を下回る伸び悩みとなった。米雇用下振れの背景としては、改めて⓵失業保険給付金の上乗せによる『給付金頼み』と就労の先送り、②希望する職種や賃金で職場復帰が出来ないミスマッチ、③ワクチン未接種者を中心とした感染恐怖による就労敬遠、④学校の登校制限などによる子育て世代の就労制約、などが意識されている。もっとも就労意欲低下の一因となっている失業給付上乗せ措置については、前週までに『全米50州の半数に当たる25州が9月期限前の打ち切りを発表した』(2日ロイター)。同措置はアラスカ州、アイオワ州、ミシシッピ州、ミズーリ州で12日に終了し、その後7月10日にかけて他の21州で順次終了していく。学校の登校制限についても、米国で最大級の学区であるNY市とロサンゼルスは5月24日、9月の新学期に向けて学校の対面授業を全面再開する計画を発表した。こうした要因により、米国では段階的に求職者と雇用者数が増加していく伸びシロが残されている。

 

米国市場では4月貿易収支が公表

3月実績は-744億ドルだった。財の輸入額は過去最大となった。輸出額は前月比で増加したが、景気回復による国内需要の増大で輸入額はさらに増える可能性がある。4月については、消費財と資本財の輸入が増える可能性があるが、複数の項目で輸出額は増加するとみられており、貿易赤字は3月実績との比較で縮小する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比29.5%)
○15:45   4月仏貿易収支(予想:54.21億ユーロの赤字)
○15:45   4月仏経常収支
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:86.0)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比▲0.6%/前年比▲1.8%)
○18:30   1-3月期南アフリカGDP(予想:前期比年率2.5%/前年同期比▲3.2%)
○19:00   雨宮正佳日銀副総裁、オンラインセミナーで講演
○21:00   4月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比19.8%)
○21:30   4月カナダ貿易収支(予想:8.1億カナダドルの赤字)
○21:30   4月米貿易収支(予想:690億ドルの赤字)
○22:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○9日02:00   米財務省、3年債入札

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