FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:主力のハイテク株中心の買いで反発

前週末の米国株高の流れを引き継ぎ、上げ幅を拡大した。その後は、NYダウ先物やアジア株の総じてさえない動きが重石となり、徐々に上げ幅を縮小する展開になった。週初めであることや、週内にメジャーSQ算出を控えて上値は重いものの、ハイテク株に対する見通し買いや景気敏感株の下げ止まりなど、『地合いは悪くない』との声が聞かれた。主力のハイテク株を中心に買いが入った。ただ、日経平均株価が2万9000円より上の水準では利益確定売りも出やすく、上値は重かった。結局、前営業日比77円高の2万9019円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円高基調も値ごろ感から109円半ばまでドル買い戻し

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後になると、4日に発表された5月米雇用統計が期待されたほど強い数字でなかったため、海外短期筋などがドル売り・円買いを持ち込み、109.38円付近まで下落した。しかし、1日に付けた109.33円が下値目処として意識されると下げは一服した、その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きが見られ、109.50円近辺へ切り返した。ユーロ/ドルは、1.2160銅r前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

8日発表の本邦1-3月期実質GDP改定値の下方修正に注意

8日に発表される日本の1-3月期実質国内総生産(GDP)の改定値では速報値の前期比年率-5.1%からの下方修正が警戒されている。日本の4-6月期GDPも緊急事態宣言によりマイナス成長が予想され、2四半期連続のマイナス成長によるリセッション(景気後退)入りとなる可能性が高い。

 

トルコの利下げ思惑とドル建て債務絡みで波乱含み

先週は、エルドアン大統領による金利引き下げ主張の後、カブジュオール・トルコ中銀総裁が早期緩和に対する警戒感の打ち消しに努めた。もっとも5月消費者物価指数(CPI)が前年比16%台まで低下したことで、現状19%の政策金利の引き下げ余地が出てきたとの見方も広がりつつある。インフレはまだ高い水準ではあるが、エルドアン大統領が望む『7、8月の金利引き下げ』が現実味を帯び始めている。また、今月は、トルコの企業が合計で約69億ドル規模の外貨建て債務を返済またはロールオーバーしなければならないとされている。これに絡んだトルコ国内からのドルやユーロ買い圧力がリラ相場の重石となりやすい。

 

南アランドはネガティブ材料に反応せず強い買いトレンド継続

先週も南アフリカ発の様々なネガティブニュースが流れた。週初にはウイルス感染第3波の影響で、ロックダウンの規制水準がレベル1から2へ引き上げられた。経済協力開発機構(OECD)が発表した『G20国でパンデミック前のGDPにいつ回復するか』との予測で、南アはアルゼンチンに次いで遅い『2024年第4四半期』とされた。失業率は計測史上最悪の結果となっただけではなく、若年層(15-24歳)の失業率が63.2%まで上昇した。週後半には電力の負荷制限がステージ2まで上昇している。このようにランド売り要因が目白押しだったにもかかわらず、ランドは強い買いトレンドが継続している。なお、今週は南アの経済指標では8日に発表される1-3月期GDP、10日の同期経常収支が注目される。

 

英国では21日に抑制措置が完全会場されるかが焦点

ポンドはロックダウン(都市封鎖)措置の完全解除を見極める動きが予想される。英政府の予定通り21日に抑制措置が完全解除される見通しが強まればポンド買い、解除が遅れるとの懸念が高まれば売りに押される可能性が高い。ハンコック英保健相は抑制措置を解除できるかどうかを14日に正式に判断するとしており、今週末までにはおおむね意見がまとまることになる。英国では1日、コロナによる死者が昨年3月のコロナ流行以降初めてゼロになるなど、ワクチン普及の効果が表れているものの、感染力の強いインド変異株が拡大し始めている。英政府の発表によれば、最近の新規感染者のうち、最大75%が変異株によるものとなっている。ジョンソン英首相は2日に『現時点で完全解除を阻むデータは示されていない』と述べた一方で、『慎重な対応が必要で、もう少し待つ必要がある』との見解を示した。

 

ECBとカナダ中銀の金融政策会合に注目

今週は欧州中銀(ECB)、カナダ中銀が金融政策決定会合を予定している。特に、ワクチンの普及で経済活動の再開が進み、欧州でも回復加速期待が広がっており、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の行方に注目が集まっている。一方で、ECBのラガルド総裁は、FRB高官達と同じく、緩和策の修正を協議するのは時期尚早と断固とした方針を示している。今回の会合では、景気の判断や見通しを若干引き上げる可能性があるものの、大規模緩和を据え置き、緩和策の修正は特に示唆しないと考えられる。ユーロの上値も抑制される可能性が強い。

 

10日の米5月財政赤字と米5月消費者物価指数に注目

10日に発表される米5月財政赤字では、2021会計年度(20年10月-21年9月)の財政赤字が過去最大ペースで増加していることから、バイデン米政権の大規模財政支出の米議会での審議が難航する可能性がある。8月に復活する債務上限適用措置がドルの上値を抑える要因となる可能性もある。ただ、同日に発表される予定の米5月消費者物価指数(CPI)は、4月の前年比+4.2%と同様にベース効果などでインフレ率の高進が警戒されており、強い数字となった場合は15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング(資産購入の段階的縮小)協議への警戒感を高めることになる。

 

欧米市場のイベント

○14:45   5月スイス失業率(季節調整前、予想:3.1%)
○15:00   4月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%/前年同月比77.8%)
○15:30   5月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○8日01:00   5月ロシアCPI(予想:前月比0.6%)
○8日04:00   4月米消費者信用残高(予想:200.0億ドル)

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