FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード強まり手仕舞い売りが優勢

前日の米国株式市場の下落を嫌気したほか、NYダウ先物やアジア株のさえない動きも重石となった。米雇用統計の発表を控え様子見みも強まり、マイナス圏でのもみ合い相場が続いた。市場では米雇用統計発表後の長期金利上昇が警戒されており、本格的な下落局面とみる向きは少ないが、一時的な値幅調整を警戒し、手仕舞い売りが優勢となった。一方、自動車や海運といった景気敏感株の一部に買いが入り、相場を支えた。結局、前営業日比116円安の2万8941円と3日ぶりの反落で終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムードから110.20円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され110.41円付近まで軟化した。日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、前日に発表されたADP全米雇用リポートや週間の米新規失業保険申請件数が強い数字となり、米景気は順調に回復しているとの見方から下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、110.20円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.20円台を中心とした狭いレンジでもみ合い相場になった。今晩発表される5月米雇用時計を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、前日に発表された米経済指標の改善でユーロ売り・ドル買い基調が続き、一時1.2106ドル付近まで下落して5月中旬以来の安値を付けた。

 

食料価格の指数は10年ぶりの高水準:インフレへのアレルギー高まる

市場関係者が警戒してきたインフレは現実になっている。世界各地で発表が始まった5月の消費者物価指数は上昇傾向が目立っている。食料価格の指数は約10年ぶりの高水準となった。新型コロナウイルスをきっかけに強まる商品市況を発端とした物価高は今後さらに次ぐく気配を見せる。インフレに対し市場関係者が抱くのは恐怖心である。インフレ懸念は経済の足かせになり、新興国には通貨安をもたらす。さらに現在は米FRBが大規模な金融緩和の『畳み時』を模索する段階で、市場はインフレへのアレルギーを高めている。

 

ロシア政府系ファンドはドル資産撤退

ロシア財務省は、政府系ファンド(SWF)『ナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)』からドル建て資産を排除する方針を明らかにした。米国から制裁の脅威が続く中、経済のドル依存低下を加速させる。NWFは同国の石油収入を運用しており、規模は1860億ドル(約20兆5100億円)程度である。ロシア財務省によると、同ファンドのドル資産保有は現在の35%からゼロになる。今後は資産の大半をユーロ、人民元、金で運用するとしている。今回の動きは、中国とロシアが関係強化を図る中で、人民元の役割をさらに強めそうだ。ロシアのアンドレイ・ベロウソフ第1副首相はサンクトペテルブルク経済フォーラムの合間に、『これは理にかなった決定であり、米国指導部から繰り返し受けている制裁の脅威に関連したものだ』と述べた。

 

トルコCPIは予想外に下振れ:エルドアン大統領への忖度との声も

5月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比で+16.59%と17%台の市場予想から下振れた。一方、同時に発表された5月生産者物価指数(PPI、前年比)は38%台と前回35%前半から大きく上昇し、2018年11月以来の水準を記録した。カブジュオール・トルコ中銀総裁は一昨日、市場の早期緩和への警戒感を和らげようとしていた。しかしながら昨日のCPIの結果を受けて市場では、現在19%の政策金利の引き下げ余地がでてきたとの見方も一部では浮上した。5月トルコPPIが約3%も前月から上昇したにもかかわらず、CPIが鈍化したのは不可解との声もでている。夏の利下げを求めるエルドアン大統領に忖度したのかもしれない。重要データの信憑性が疑われるようでは、金融当局への不信感や金融政策への不透明感が高まるばかりである。そういった中では、通貨リラを手放す動きが更に進んでしまうかもしれ ない。なお昨日トルコ中銀が発表した5月28日時点の外貨準備高は487.2億ドルと前週から1%弱ほど減少した。年初来では2.5%減、前年同時期と比べても約10%減と準備高枯渇への警戒感は引き続き強まったままである。

 

メキシコでは6日に下院議員選挙:単独過半数を失う見込み

最新の世論調査によるとロペスオブラドール大統領が率いる国民再生運動(Morena)は現在の256議席から議席数を減らし、単独過半数を失う見込みである(メキシコ連邦下院は定数が500議席)。もっとも、現在連立を組んでいる労働党(PT)やメキシコ環境主義緑の党(PVEM)を含めると過半数は確保できるとみられており、ロペスオブラドール大統領の推進している国家エネルギー戦略を可能とする憲法改正に必要な3分の2の議席を確保できるかが焦点とされている。

 

米国市場では5月雇用統計が公表

先行指標の中で雇用統計と最も相関関係が強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の5月分は前月比+97.8万人となった。伸びは4月+65.4万人から縮小予想に反して拡大し、2020年6月来で最大となった。さらに、5月29日までの先週分新規失業保険申請件数は前週比2万件減の38.5万件と、前回から予想以上に減少しパンデミックが始まって以降初めて40万件を割り込み、米国の労働市場が順調に回復している証拠となった。一方で、ISM製造業の雇用は50.9と、4月55.1から大幅低下。50割れとなった昨年11月来の低水準。活動の縮小を示す50割れ寸前となった。特に米国経済の7割を消費が占めるため注目となっていたISM非製造業の5月分の雇用も55.3と、4月58.8から低下した。パンデミックの混乱がまだ収束しておらず、季節調整なども複雑化しており、雇用統計でも変動の高さが警戒される。

市場予想:

失業率:5.9%(4月6.1%)非農業部門雇用者数:前月比+65.5万人(+92,6万人)民間部門雇用者数:前月比+60万人(+21,8万人)平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+1.6%(+0.7%、+0.3%)

 

欧米市場イベント

○17:30   5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:62.3)
○18:00   4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲1.2%/前年比25.5%)
○20:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○20:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:30   1-3月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.9%)
○21:30   5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲2.0万人/失業率8.2%)
○21:30   5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化65.5万人/失業率5.9%/平均時給、前月比0.2%/前年比1.6%)
○23:00   5月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00   4月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.2%)
○先進7カ国(G7)財務相会議(ロンドン、5日まで)

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