FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ワクチン接種の拡大で経済正常化への期待

米国株式市場は、週内に発表される経済指標をにらみ、小幅高で終了した。今週は3日に週間失業保険申請件数と5月のADP全米雇用報告、4日に5月雇用統計の発表を控え、方向性がつかみにくくなっている。日本株も、米雇用統計を見送りの材料としてとらえるムードもあった。ただ、ワクチン接種の拡大で経済正常化が進むとの見方から、景気敏感株を注視に底堅い展開となった。上げ幅は一時200円を超えた。結局、前営業日比111円高の2万9058円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りで109円台後半で推移

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.70円付近へ上昇した。日経平均株価は続伸で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。午後に入ってもこの流れは続き、米長期金利が小幅に上昇すると、さらにドル買い・円売りが進んで109.77円付近まで値を上げた。ただ、今晩発表されるADP全米雇用リポートや米ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。ユーロ/ドルは、上値の重さが意識されユーロ売り・ドル買いが持ち込まれ、1.2195ドル近辺まで下落した。

 

20年度需給ギャップは1980年度以降で最大のマイナス

内閣府は2日、2021年1-3月期の国内総生産(GDP)1次速報を基に新たに推計した『需給ギャップ』がマイナス4.7%になったと発表した。需要不足となるのは6四半期連続となった。2020年度はマイナス6.1%と、試算を始めた1980年度以降で最大のマイナス幅となった。需給ギャップは日本経済の需要と供給のバランスを示したもので、需要が供給を下回ればマイナスとなり、物価に下押し圧力がかかりやすいとされる。

 

仮想通貨ドージコイン急騰:コインベースが取り扱い開始

暗号資産(仮想通貨)のドージコインベースが2日の取引で31%急騰し、0.41ドルを付けた。暗号資産交換所大手の米コインベースがプロトレーダー向けのプラットフォーム『コインベース・プロ』でドージコインの取り扱いを開始すると表明したことを受け、買いが入った。コインゲッコー・ドットコムによると、この価格に基づくドージコインの時価総額は540億ドルと、暗号資産としては6番目の規模となった。

 

金ETFから資金が流出:ドル安で実物資産は堅調の中

2日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から資金が流出した。2億4897万ドルの流出となり、過去1ヵ月で3億ドル超の流入が続いているものの、やや一服感が出た。この日のGLDは反発し、前日比0.48%高の178.77ドルで終了した。ドル指数が90を割り込んで年初来の安値圏にある中、実物資産のGLDは堅調だったが高値圏では利食いが出やすいようでフローが流出した。前年は米FRBの金融緩和の長期化期待で好調な流入となったが、年初来では12億ドル超の流出に転じている。

 

イラン核合意再建:イラン大統領選前の妥協を目標

イラン核合意の当事国である英仏独中ロとイランは2日、米国の復帰による合意再建を目指し、ウィーンで合同委員会を開いた。ロイター通信によると、議長役を務める欧州連合(EU)欧州対外活動庁(EEAS)のモラ事務局次長は記者団に、来週行われる見通しの次回会合での妥結を『確信している』と語った。米国も委員会外でイランを除く各国と協議した。ロイターによれば、次回会合は10日が有力だが、最終確定ではない。また、英仏独は交渉の行方についてEU当局より慎重な見方を示しているという。各国は反米保守強硬派が優勢となっている18日のイラン大統領選前の妥結を目標にしており、残された時間は少ない。イランのアラグチ外務次官は2日、合同委開始に先立ち『全関係国が相違は解消不能ではないと思えるところまできた』と記者団に語った。

 

トルコではインフレ指標が公表:市場は大注目の指標

本日のリラ相場は欧州序盤に発表されるトルコの5月インフレ指標が注目される。同月消費者物価指数(CPI、前年比)は+17.25%と前回+17.14%から上振れが予想されている。商品価格が上昇傾向を強め、リラ安が長期化するなか、金融当局が物価高への危惧を和らげるのは容易ではない。また、インフレの先行指標とされる生産者物価指数(PPI、前年比)も4月が35%台だったところから、5月は36%台までの上昇が確実視されている。カブジュオール総裁は昨日、『第3四半期末か第4四半期にインフレが大幅な低下傾向に入ると見込む』と述べたが、大幅な低下が後ずれする可能性は捨てきれない。

 

ベージュブックは物価圧力上昇示すもサプライズなし

米連邦準備制度理事会(FRB)は4月初旬から5月後半にかけて集められた情報をもとに集計された地区連銀経済報告(ベージュブック)で全米地区の経済が緩やかなペースで拡大していることが明らかになった。さらに、数地区は、ワクチン接種ペースの加速やパンデミック対策の規制の緩和が経済にプラスの影響を与えたとし 経済成長は引き続き堅調だと楽観的な見解を示した。注目の物価圧力は『前回に比べてさらに上昇した』と言及されている。 ベージュブックの結果は6月15-16日に開催されるFOMCで金融政策決定の材料となる。回復ペースの加速や物価圧力を示すインフレの一段の高進を示唆する結果が、現状でFRBの考えを大きく変えることは困難と見られる。FRBはいずれ多くの労働者が職場に復帰しサプライチェーンの逼迫もいずれ緩和すると予想している。現在、いくらかの物価圧力が見られるものの、持続的とは考えていないと繰り返している。

 

欧米市場イベント

○16:00   5月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月1.32%/前年比17.25%)
○16:50   5月仏サービス部門PMI改定値(予想:56.6)
○16:55   5月独サービス部門PMI改定値(予想:52.8)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:55.1)
○17:30   5月英サービス部門PMI改定値(予想:61.8)
○20:30   5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   5月ADP全米雇用報告(予想:65.0万人)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比5.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:39.0万件/361.5万人)
○22:45   5月米サービス部門PMI改定値(予想:70.1)
○22:45   5月米総合PMI改定値
○23:00   5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:63.0)
○24:00   EIA週間在庫統計
○4日01:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○4日01:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○4日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○4日02:50   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○4日04:05   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○ポーランド(聖体祭)、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

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