FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ワクチン接種進展や原油相場の上昇を好感した買い

日本株は引き続き方向感が定まらない中、朝方は下振れして始まったものの、景気敏感株を中心に押し目買いが入り、自律的な切り返しとなった。物色面では、需給の良し悪しで明暗が分かれるケースが目立つとの声も聞かれた。また、新型コロナウイルスワクチンの接種進展を好感した買いが次第に優勢になった。原油相場の上昇を受けて資源株にも買いが入った。結局、前営業日比131円高の2万8946円と反発して終了した。信用評価損率は5月28日申し込み時点でマイナス8.82%と前週のマイナス8.94%からマイナス幅が0.12ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りも上値追いにはならず

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ109.65円付近へじり高となった。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏は転じたことも、リスク選好の円売りを誘った。午後に入ってもこの流れが続き、原油先物価格の上昇一服を眺めた資源国通貨に対するドル高も波及して109.73円付近まで上昇した。しかし、今晩の米国株か動向や米FRB当局者の講演を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋による利益確定などのドル売り・円買いもみられ、109.70円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.22ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内のコロナワクチン1回接種の人数は1000万超

新型コロナワクチン1回接種の人が1日時点で1000万人を超えたという。内訳は医療従事者が465万3566人、65歳以上の高齢者が573万4023人の合計1038万7589人となった。菅義偉首相は1日100万回の接種体制の構築を目指し、接種ペースの加速を指示してきた。

 

エルドアン・トルコ大統領の発言受けリラ急落

5月トルコ製造業PMIは49.3と約1年ぶりに景況感の境目となる50を割り込んだ。5月半ばまで実施されていたトルコ全土のロックダウン(都市封鎖)では製造業への規制は一部免除されていたが、やはりその影響は避けられなかった。一昨日のトルコGDPを受けてやや高まった同国経済への楽観的な見方も後退した。そして、その後の流動性が薄い時間帯に、エルドアン・トルコ大統領の発言『中銀総裁と話をした』『我々は金利を引き下げる必要がある』が伝わるとリラは急落した。エルドアン大統領や与党・公正発展党(AKP)への支持率低下が顕著な中、大統領は利下げをすれば人気回復に繋がると本気で信じている。3月以降、中銀・金融政策委員会(MPC)メンバーは全7名中3名も入れ替えられたが、金融緩和圧力をより強めるため更なるメンバー更迭もあり得る。中銀の独立性は完全に揺らいでおり、リラの買い難さは続く可能性が高い。

 

南アの1-3月期の失業率は史上最悪の結果

1-3月期の南ア失業率が市場予想よりは若干良かったものの、昨年10‐12月期に続いて2008年からの観測以来で最悪となる結果となった。南アの失業率は再び史上最悪の結果となった。しかも、若年層(15-24歳)の失業率は63.2%まで上昇している。政府は様々な対策をしているが、なかなか結果として表れない。また、一昨日経済協力開発機構(OECD)が発表した『G20国でパンデミック前のGDPまでいつ回復するか』との予想で、南アはアルゼンチンに次いで遅い『2024年第4四半期』という結果になった。

 

メキシコ当局は今後の成長について強気な見通し

メキシコ財務公債省の高官は昨日、2021年のメキシコGDPは6.5%の成長となり、予想よりも早く新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復できるだろうとの見解を示した。メキシコは昨年のGDPがマイナス8.2%と戦後最悪の落ち込みとなったものの、メキシコ当局は今後の成長について強気な見通しを維持している。なお、国際通貨基金(IMF)は今年のメキシコ成長率を5%台と予想している。

 

米国株は3週ぶりに売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの2日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は5月24~28日の1週間に米国株は20億3600万ドル売り越した。3週間ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は28日に発表された4月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が前年同月比3.1%上昇し、市場予想(3.0%上昇)を上回ったものの物価上昇は一時的と受け止められて長期金利が低下する中、S&P500指数が週間で1.16%高となって3週びりに上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が14億2800万ドルの売り越しで、2週ぶりに売り越し。機関投資家は1億7200万ドルの小幅買い越しで、3週連続の買い越しだった。個人投資家は14億7300万ドルの売り越しで、4週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは6億9300万ドルにとどまり、4週移動平均は10億ドルを割り込んだ。傾向としてはHFや個人投資家の大幅売り越しが顕著だった一方、企業の自社株買いが鈍化した。自社株は買いはコロナ禍で低調だった2020年の同時期と比べて32%増となっているが、コロナ禍前の2019年の同時期と比べれば24%減で回復は鈍い。

 

米5月ISM製造業景況指数では過熱感のない結果

米供給管理協会(ISM)が発表した5月ISM製造業景況指数は61.2と、4月60.7から予想以上に上昇した。重要な項目である新規受注は67と、4月64.3から予想以上に上昇した。一方、インフレ上昇が警戒される中、注目の支払い価格は88と、4月の89.6から予想以上に低下し、インフレ懸念が和らいだ。入荷遅延は78.8と1974年4月来の高水準となった。平均的な材料の出荷日数は85日に一段を拡大した。製造業の原材料不足が依然目立つ。雇用も50.9と、4月の55.1から大きく低下し、拡大と縮小の境目となる50割れ寸前まで再び悪化した。熟練労働者の確保が依然困難となっている。製造業指数の結果はまちまちでサプライチェーンの混乱の影響がいまだに観測される。FRBも当面、緩和姿勢を崩しそうもない。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独小売売上高指数(予想:前月比▲2.0%/前年比10.1%)
○15:45   4月仏財政収支
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:5億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4
○18:00   4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.9%/前年比7.3%)
○19:15   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   4月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○3日01:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○3日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○3日03:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、カプラン米ダラス連銀総裁、パネルディスカッションに参加

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ