FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:材料に乏しく方向感欠く展開

前日の米国株式市場は休場で材料に乏しく、月初のポジション調整やリバランスが中心で方向感を欠く動きとなった。週後半には米国の重要指標の発表を控えているため、市場では『ひとまず連休明けの米市場の動向を見極めたいとの投資家が多く、動きにくい』との声が聞かれた。2万9000円台を手前にした上値の重さが確認されると、先物主導で売りが出て、下げ幅は200円を超える場面もあった。結局、前営業日比45円安の2万8814円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸出勢からドル売り・円買い

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、109.33円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅は一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、このところ発表される米経済指標の改善で、米景気は順調に回復しているとの見方から、下げは一服した。その後は値ごろ感からドルの押し目買いが入り、109.40円前後で取引された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.40円台を中心とした狭い値幅でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.22ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ECBは景気回復の裏付けない金利上昇には対処へ

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は31日、ユーロ圏の景気回復見通しは依然として不透明との認識を示し、ECBは経済状況によって正当化されない金利の大幅上昇に対処すると述べた。イタリア中銀の年次会合で講演し、2008-09年の金融危機時に金融刺激策の拙速な解除を行うことのリスクが示されたと指摘した。現在の状況下では回復の時期と強さが不透明なため、金融状況は長期にわたって緩和的でなければならないと述べた。『現在の経済見通しを踏まえると、大幅で持続的な金利上昇は正当化できず、対処が必要』との見解を示した上で『(ECBは)債券買い入れプログラムを最大限活用する』用意があると語った。

 

トルコGDPは好結果でも手放しでは喜べず

欧州序盤に発表された1-3月期GDPは前年比+7%と市場予想+6.3%や前回+5.9%から上振れた。リラ安を追い風に工業生産などの輸出関連が拡大し、全体の成長率を押し上げた。トルコGDPは好結果だったが、一部メディアが『実感なき高成長』と呼ぶように、決して手放しでは喜べない。失業率は改善には程遠い状況であり、また物価上昇が止まらないなかでトルコ国民の景況感は悪化したままである。今後はやはり、トルコ主要産業の1つであり、重要な外貨獲得手段でもある観光業の復活が待ち望まれるところである。

 

南アの感染による規制水準引き上げ:ランド相場の影響は軽微

南アでは昨日よりウイルス感染第3波(日本では第4波ですが、南アでは第3波となっている)の影響から、規制水準がレベル2に上がり追加規制が加わった。これにより夜間外出禁止令は1時間禁止時間が延長され23時から翌4時までとなり、レストラン、バーなどの時間制限(閉店時間)は22時までに前倒しされた。屋外のイベントは250人、屋内は100人までの集客となった反面、アルコール販売の規制は回避された。レベル2への引き上げにも関わらずランド相場への影響はほぼないことで、ランドの買い場探しは変わらない。

 

南アの1-3月期失業率が発表

市場予想は前回の32.5%よりも若干悪化するとなっている。ただし、最近はパンデミックの影響で就職活動すら諦めた見えない失業者が増えていることで、失業率の正確性に疑問符がついている。市場がどの程度指標で反応するのかは難しいところである。また、失業率発表の後にABSA製造業PMIも発表される。

 

メキシコでのインフレ懸念根強い:金融引き締めへの思惑も台頭

メキシコ国内では前週に発表された5月隔週メキシコ消費者物価指数(CPI)が前年比で5.80%と市場予想の5.66%を上回る結果となった。前回の6.12%からは鈍化したものの、依然としてインフレ率はメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%±1.0%)上限を大きく上回っており、国内でのインフレ懸念は根強く残っている。中銀は足もとの物価上昇について一時的なものとの見解を示しているが、一方でインフレリスクについては懸念を示しており、市場では金融引き締めへの思惑も台頭した。今後も中長期的なペソ相場のサポート要因として意識される。

 

米国ではワクチンの普及で旅行需要回復の兆し

米国で夏の始まりとされるメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の連休を迎える中、新型コロナウイルスワクチンの普及を背景に、昨年低迷していた旅行需要に回復の兆しが見られた。米国自動車協会(AAA)によると、31日までの3連休に自宅から50マイル(80キロ)以上離れた場所へ出かける旅行者数は3700万人(車での旅行者3440万人を含む)と、新型コロナ流行で落ち込んだ昨年から60%急増する見通しとなった。しかし、コロナ禍前の19年の水準は依然13%下回っている。米運輸保安局(TSU)は、先週末28日の国内空港利用者が約196万人だったと発表した。昨年3月7日以降で最多となる。 

 

5月雇用統計がFRBの政策を左右するか

6月4日に発表される5月の米雇用統計は、これまで1年以上にわたって米経済と市場を支えてきた金融緩和からの出口政策を模索する米連邦準備制度理事会(FRB)にとって、転換点となりそうである。5月分の雇用統計は、中銀当局者が現在注視している二つの重要な問いについて、理解を深める助けとなる。その一つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大で失われた雇用を、米労働市場がどれほど迅速に回復するのかといことである。二つ目は、最近のインフレ率上昇の要因になっている供給面の障害に緩和の兆候が見られるかである。これらの問いに対する答えは、FRBが債券の大量購入プログラムをいつ縮小させ始めるのか、FRBが将来の利上げに関しどう考えるのかとの観点を判断する手助けになる。

 

米国市場では5月ISM製造業景況指数が公表

4月実績は60.7で3月実績を下回った。長期化するさプアリチェーン目詰まりの問題や原材料不足によって生産が抑制されていることが要因。5月については半導体不足の複数の業種で生産抑制が続いているが、新規受注や雇用の数値は多少改善するとみられており、全体的には4月実績を多少上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.8%)
○15:30   4月スイス小売売上高
○16:00   1-3月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.4%/前年比▲0.2%)
○16:00   5月トルコ製造業PMI
○16:30   5月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:68.0)
○16:50   5月仏製造業PMI改定値(予想:59.2)
○16:55   5月独製造業PMI改定値(予想:64.0)
○16:55   5月独雇用統計(予想:失業率6.0%/失業者数変化▲0.9万人)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:62.8)
○17:30   5月英製造業PMI改定値(予想:66.1)
○18:00   4月ユーロ圏失業率(予想:8.1%)
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.9%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.9%)
○21:00   1-3月期ブラジルGDP(予想:前年同期比0.8%)
○21:30   3月カナダGDP(予想:前月比1.0%/前年比6.5%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比6.6%)
○22:45   5月米製造業PMI改定値(予想:61.5)
○23:00   4月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:00   5月米ISM製造業景気指数(予想:60.9)
○23:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、インタビュー
○24:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○2日03:00   5月ブラジル貿易収支(予想:95.00億ドルの黒字)
○2日03:00   ブレイナードFRB理事、講演
〇石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(テレビ会議)

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