FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:アジア株安を嫌気した利益確定売り

本日米国株式市場が休場となるほか、売り買いともに手掛かり材料に乏しく、様子見ムードが強まった。前週末の急伸を受けて朝方には利益確定売りが先行したが、押し目買いも入って下げ止まり、安値圏でもみ合った。また、市場では週末に米雇用統計発表を控えていることで動きにくさもあるとの声も聞かれた。中国・上海の株式相場が安く推移する場面が目立ったことも意識され上値の重い展開になった。結局、前営業日比289円安の2万8860円で終了した。

 

東京外国為替市場:月末に絡む値動きも手掛かり材料乏しい展開

ドル/円は、本邦輸出勢から月末に絡むドル買い・円売りフローが持ち込まれ、109.64円付近まで下落した。日経平均株価の下落幅が200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。ただ、先週末に発表された米経済指標は総じて好調で、米景気回復期待が高まっているため、下値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価やNYダウ先物のの動向を睨みながら、109.70円前後で取引された。本日は英米で休場となるため、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、新規の手掛かり材料に乏しく1.2195ドル前後で小幅な値動きに終始した。

 

緊急事態宣言延長でGDP予想を下方修正:JPモルガン証券

政府は28日、本日期限を迎える9都道府県に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言を6月20日まで延長すると決めた。JPモルガン証券は28日付リポートで、緊急事態宣言の延長を受けて、国内4~6月の実質総生産(GDP)成長予想を前期比年率換算2%増から1%増に下方修正した。主にサービス消費の回復が遅れている点が挙げられた。GDPの半分以上を占める個人消費が3%増から1%増に引き下げられている。一方で、世界的な回復基調から生産活動や設備投資の回復基調は変わらないともした。7月以降については、緊急事態の解除に伴って消費が回復する可能性が高いとした一方、ワクチン接種が十分に進んでいない中でのオリンピック開催によるウイルス拡散の懸念が残ることから、消費マインドの改善に歯止めがかかる可能性が高いとの見方も示されている。消費の本格回復は大多数の高齢者への予防接種が完了し、病床のひっ迫感が解消された9月以降になるとも予想した。10月までに開催される衆院総選挙を前に、東京五輪後の旅行助成プログラムも再開される可能性が高いとの見方が示された。7~9月期は6%増、10~12月期は12%増の成長が予想されている。

 

4月の品目米貿易統計ではベルギーからワクチン輸入

財務省が28日発表した4月の品目別貿易統計によると、人用ワクチンの輸入額は770億4887万円だった。前月比で3.7倍、前年同月と比べると26倍に急増し、比較可能な1988年以降で最高額となった。今年2月に始まった新型コロナウイルスワクチンの輸入が本格化し始めたためとみられ、国別ではベルギーからの輸入が大半を占めた。
ベルギーからのワクチン輸入額は633億2393万円となった。同国は米製薬大手ファイザー、米バイオ医薬品企業モデルナが開発したワクチンを日本に輸出しており、前月から5.9倍、前年同月からは71倍に急増した。

 

コモディティの強気相場は中国勢の影響なし:GSレポート

米ゴールドマン・サックスは、コモディティー価格の決定で中国はもう中心的な役割を担っていないと指摘、先進国の需要回復ペースを踏まえると、中国は買い手として西側諸国の消費者から締め出されているとの見方を示した。同社は27日付のリポートで『コモディティーの強気相場説は、中国の投機家や中国の需要拡大に関するものではない。希少性と先進国主導の回復に関するものだ』と指摘した。コモディティー価格は、中国政府が国内の投機に警告を発した後、下落したが、『原油、銅、大豆といった主要コモディティーが辿る基本的な道筋は、依然として下半期の逼迫拡大という方向に向かっており、供給サイドの対応で現在の強気相場が終わるという証拠は乏しい』としている。

 

 

トルコでは5月インフレ指標が最も注目:実質金利マイナス懸念

今週トルコでは、週初に1-3月期国内総生産(GDP)や5月トルコ製造業PMIが発表されるが、やはり週半ばの5月インフレ指標が最も注目される。4月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比で17%台まで上昇したが、商品価格が高止まりする中で今回も更なる上振れが予想される。カブジュオール・トルコ中銀総裁は四半期インフレレポート発表時に、インフレは4月を頭に低下に転じるとの見解を示した。ただ、先行指標とされる生産者物価指数(PPI)が5月も前年比37%近くまで上昇が見込まれており、現状ではインフレ改善の後ずれは避けられそうにない。5月CPI次第では、トルコが実質金利マイナスに再突入する懸念も高まってくる。そうなれば、先週対ドルで過去最安値を更新したリラは、対円でも昨年11月に記録した最安値が視野に入ってくる。なお一部報道では、トルコの企業は6月、合計で69億ドル規模の外貨建て債務を返済またはロールオーバーしなければならない。トルコ国内からのドルやユーロ買い圧力が強まる可能性は高く、また米金利の上昇にはドルリラが敏感に反応する可能性がある。

 

南アの今週の注目点:1-3月失業率

今週の注目経済指標は1日に1-3月期失業率である。ここ最近の指標はパンデミック中で、就職をあきらめている失業者が失業申請を行わず、表面上の失業率は抑えられている。10‐12月の失業率は32.5%となったが、拡大失業率は42.6%に上るとの声もでている。市場が失業率の結果で反応できるかは未知数だが、注目指標ということは間違いない。また、失業者は約720万人ですが、そのうちの半数以上の52.3%は教育レベルが低い失業者、若年層(15-24歳)は62.3%、25-34歳は41.2%となるなど、失業率の内訳の数値も要注目である。経済指標以外では、引き続き電力の負荷制限が続いていること、公務員を含め労使交渉がもめていることでストライキの可能性がでてきていること、ウイルスの感染第3波(日本は第4波とされていますが南アは第3波)の可能性が高まっていることなどには引き続き目を配る必要がある。

 

メキシコ政権は選挙法により干ばつ対応出来ず

メキシコでは過去30年間で最悪とも言われている干ばつの状況に陥っている。農業災害保険が先日打ち切られたばかりとあって農民は農業省に資源の再配分を呼びかけるなど、支援を求めているが、政府は対応していない。いや、対応できないというのが正しい言い方である。来月6日に中間選挙があり、選挙規則として政治宣伝の普及は禁止されているが、こういった災害対応なども発信できないというのが理由である。ロペスオブラドール大統領は毎日、朝に記者会見を開いているが、これをオンラインで流すこと自体も違反しているのではとの意見が国立選挙研究所(INE)から出るほど、政治からの国民への情報伝達についてかなりナーバスになっている。とはいえ、歴史的な干ばつに対する対応を選挙があるとはいえ、緊急措置を取らない状況を作り上げている。

 

米国市場では今週末に5月雇用統計が公表:ネガティブさプライズに警戒

米5月雇用統計の予想は、失業率が5.9%で4月の6.1%から低下、非農業部門雇用者数が前月比+62.1万人で4月の前月比+26.6万人からの増加が見込まれている。4月速報値の修正値を見極めながら、4月同様のネガティブサプライズに警戒したい。ポジティブサプライズだった場合は、パウエルFRB議長はコロナ以前の雇用水準を回復するまでは、ゼロ金利政策の継続を示唆しており、金利上昇やドル上昇は限定的となりそうだ。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月南アフリカマネーサプライM3
○16:00   1-3月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比6.3%)
○17:00   4月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比9.6%)
○17:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比2.3%)
○21:00   4月南アフリカ貿易収支(予想:375億ランドの黒字)
○21:00   1-3月期インドGDP(予想:前年同期比0.9%)
○21:30   1-3月期カナダ経常収支(予想:25.0億カナダドルの黒字)
○21:30   4月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比1.7%)
○21:30   4月カナダ原料価格指数(予想:前月比1.7%)
○英国(スプリング・バンク・ホリデー)、米国(メモリアルデー)、休場

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