FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米景気回復期待広がり2万9000円台回復

前日の米国株上昇の流れを受けて急反発して始まった後も上げ幅を拡大し、立ち合い時間中としては11日以来となる2万9000円台を回復した。その後も、高値圏での推移を継続した。国内での新型コロナウイルスワクチン接種の進展による経済正常化への期待感が相場を支援したほか、外国為替市場でドル/円相場が円安に振れたことで輸出関連株も買われた。また、MSCIの銘柄入れ替えを通過したことで、リスクを取りやすくなった投資家もいるとの見方もあった。結局、前日比600円高の2万9149円で終了した。

 

東京外国為替市場:110.00円に接近すると上値重く上げは一服

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、109.96円付近まで値を上げた。日経平均株価の大幅高でリスク選好が高まったことも、円売りを誘った。ただ、心理的節目の110.00円に接近すると上げは一服した。その後は、短期筋による利食い売りも見られ、109.90円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても109.90円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。NY市場ではFRBが物価指標として重視している4月PCEコア・デフレーターの発表があるため、様子見ムードが強まった。ユーロ/ドルは、1.21ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル/円の月末絡みの米HFと本邦輸出勢の対峙

昨日はドル/円が円安方向にブレイクした。欧州市場に入ってからの米系ヘッジファンド(HF)勢によるアウトオブザマネーのドルコールの大量買いが観測された。市場では『ストライクが110.00円とか110.50円だったので、そんなに上を何故そんなに急に買ってくるのか?』との声も聞かれていが、『米予算教書の詳細』といった起爆剤がその謎買いの答えとなった。日常的に今日日のないふりをされていることが多いドル/円にとって、米系HFの買い仕掛けというスイッチ一つで上抜けの大相場となった。いつもながら、今回も後になって『何だ知っていたんじゃない』ってことになっている。いずれにしても、直近では、『月末絡みの本邦輸出の売りが110.00円付近にかなりまとまって置かれている』状況である。米HF勢と本邦輸出勢の対峙といった面白い展開となってきている。

 

日銀の総資産は昨年度のGDPの1.3倍に増加

日銀は昨年度・2020年度の決算を発表し、大規模な金融緩和で資産の買い入れを続けた結果、今年3月末時点の総資産の合計額は714兆5566億円で前の年度から110兆720億円、率にして18%増加した。これは、昨年度の日本のGDP=国内総生産の1.3倍の規模となる。新型コロナウイルスの感染拡大で買い入れを増やしたETF=上場投資信託の時価総額は51兆円余りに上っている。

 

トルコ政府の暴露動画で政権支持率低下

トルコでは今、以前はエルドアン大統領の支持者として知られ、現在はドバイに逃亡している犯罪組織のリーダーの暴露動画が話題になっている。そこでは、トルコ政府高官が汚職のみならず殺人やコカイン密売などにも関与していると告発されている。ソイル・トルコ内相も関わったと名指しされ、このところの政権支持率低下の要因ともなっている。この疑惑から国民の気を逸らすために、今後エルドアン大統領がどのような手段を使ってくるかが注目される。もし『ばら撒き政策』などに頼るようであれば、財政赤字を圧迫することになり、リラの買い難さを増すことになる。

 

南アのPPIは市場予想を下回るも反応薄

昨日は南アの4月卸売物価指数(PPI)が発表され、前月比+0.7%(予想:+0.8%)、前年比+6.7%(予想:+6.8%)と市場予想よりも弱い結果となったが指標への反応はほぼなかった。なお、ムボウェニ南ア財務相は財政再建計画を着手しているが、コロナ禍対策の5000億ランドの景気刺激策以外は支出の抑制、特に賃金の抑制計画をしていると報じられている。いまだに公務員組合との交渉の進展もないことで、今後の労使交渉には注目される。

 

海外の証券会社はメキシコのGDPの見通しを引き上げ

26日に発表された1-3月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値は速報値からは上方修正される結果になった。また、同時に発表された2020年のGDPは前年比-8.3%と約90年ぶりの落ち込みとなり、新型コロナの恐ろしさを改めて実感する形となった。1-3月期GDPの上方修正を受けて海外の大手証券は次々にメキシコのGDP見通しを引き上げており、今後の成長期待を高めることになる。

 

今年のジャクソンホール会合は対面方式

米カンザスシティー地区連銀は27日、ワイオミング州の避暑地、ジャクソンホールで世界の中央銀行首脳らを集めて開催する経済シンポジウムについて、8月26-28日に対面形式で開くと発表した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大を受け、テレビ会議方式で開催していた。カンザスシティー地区連銀は声明で『全ての公衆衛生と安全ガイドラインに従う』と表明した。オンライン形式で中継される基調講演について追って情報を提供するとした。

 

ベイデン政権と米共和党のインフラ投資案では大きな開き

米上院共和党は、9280億ドル規模の新たなインフラ投資計画を提示した。バイデン大統領の掲げる大型インフラ投資計画『米雇用計画』への対案となるが、規模や財源をめぐり双方の提案にはなお大きな開きがある。バイデン大統領は先週、共和党との超党派の合意に向けて、同計画の規模を当初の2兆2500億ドルから1兆7000億ドルに縮小した。

 

米国市場では4月PCEコア価格指数が公表

3月実績は前年比+1.8%だった。追加経済対策に伴う3回目の直接給付が寄与し、個人消費が大きく増加したことがコア価格指数の上昇につながった。4月については、昨年3月以降における新型コロナウイルスのパンデミックでインフレ圧力が大幅に低下していることから、ベース効果が作用して高い伸び率となる見込みである。

 

発表される4月PCEコア価格指数などを含めて、今後発表されるインフレ関連の指標は総じて強含みとる可能性が高いが、市場参加者は個人消費の動向にも注目している。物価高を警戒して個人消費が弱含みとなった場合、インフレ見通しに影響を与える可能性がある。また、インフレ率の高止まりは想定内との見方も多いことから、米長期金利は1.7%近辺までの上昇は予想されるが、それ以上の金利高については相応の材料が必要になるとの見方も出ている。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独輸入物価指数(予想:前月比1.1%/前年比10.0%)
○15:45   1-3月期仏国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.4%)
○15:45   5月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.4%)
○15:45   4月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   4月仏消費支出(予想:前月比▲4.0%)
○16:00   5月スイスKOF景気先行指数(予想:136.0)
○16:00   4月トルコ貿易収支(予想:31億ドルの赤字)
○16:00   ビルロワ仏中銀総裁、発言
○16:30   1-3月期スウェーデンGDP(予想:前期比1.1%)
○17:00   5月ノルウェー失業率(予想:3.5%)
○18:00   5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:112.1)
○18:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲5.1)
○21:30   4月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
       4月米個人所得(予想:前月比▲14.1%)
       4月米PCEデフレーター(予想:前年比3.5%)
       4月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.6%/前年比2.9%)
○22:45   5月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:68.0)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:83.0)
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)
〇バイデン米大統領、2022会計年度予算案を公表

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