FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:引け後の米MSCIの銘柄入れ替えへの警戒感

前日まで上昇が続いていた反動で利益確定や戻り待ち売りが優勢となった。指数イベントを意識した売りも出て、日経平均株価の下げ幅を広げた。前日まで5営業日で600円程度上昇しており、鉄鋼株や海運株を中心に幅広い銘柄に売りが広がった。また、テクニカル的には25日SMA(26日時点で2万8716円)に接近していることも戻り待ちの売りを誘った。さらに、本日は大引け後に米MSCIが大型株・中型株からなる『標準指数』で日本株29銘柄を除外する。銘柄入れ替えに伴う売りへの警戒感も相場の重石となった。結局、前営業日比93円安の2万8549円と6営業日ぶりに反落した。東京証券取引所が発表した5月第3週の海外投資家は2269億円の売り越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:109.10円前後でもみ合う展開

ドル/円は、前日のNY市場で米長期金利の上昇を眺めたドル買いが優勢だった流れを引き継ぎ109.21付近まで小幅に値を上げた。しかし、20日につけた109.30円が上値目処として意識されると上げは一服した。その後は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いフローが持ち込まれ、109.05円付近へ軟化した。米通商代表部(USTR)のタイ代表は中国との通商・経済関係について『非常に大きな課題に直面しており、幅広い面での注意が必要だ』との見解を示したものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.10円前後で取引された。28日にFRBが物価指標として注目している個人消費支出(PCE)コアデフレータが発表されるため、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.2195ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本政府は5月の景気判断を下方修正

5月の月例経済報告によると、総括判断を『持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している』と3カ月ぶりに下方修正した。月例経済報告の項目別では、個人消費は、4月時点の『このところ弱含んでいる』から、『このところサービス支出を中心に弱い動きとなっている』とし、判断を3カ月ぶりに引き下げている。業況判断については、『厳しさが残るなかで、持ち直しの動きに足踏みがみられる』とし、4カ月ぶりに下方修正した。輸出については、4月時点の 『増加のテンポが緩やかになっている』から、『緩やかな増加が続いている』と表現が変更されている。輸出については6月以降、状況のさらなる改善が期待されるが、内需は厳しい状態が続くとみられる。なお、東京五輪の開催の是非について市場の見方は一様ではないが、市場参加者の間からは『仮に開催中止が決まっても、景気の統括判断が上方修正される保証はない』との声が聞かれている。

 

トルコ総選挙対策としての利下げ圧力強まる可能性も

エルドアン大統領は昨日、大統領選や議会選挙は予定通り2023年に実施すると述べた。一部では総選挙の前倒しが予想されていたが、足もとで大統領や与党・公正発展党(AKP)の支持率低下に歯止めがかからず、まずは人気回復に努める必要がある。国民の機嫌を取るため、今後エルドアン大統領は持論『金利を下げればインフレも低下する』をより強く中銀に押し付けてくる可能性がある。

 

ネガティブ材料にも反応なしない南アランド

昨日、再び電力の負荷制限(ステージ1)が17時から行われたが、市場の反応はなかった。ネガティブなニュースが流れても、ランド買いが続いている。本日は南アの生産者物価指数(PPI)が発表されるが、先週発表された消費者物価指数(CPI)への反応も限られたことを考えると、大きな動きを期待するのは難しい。

・4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.8%/前年比6.8%)

 

メキシコのネガティブ要因

オランダの石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルとメキシコ国営会社ぺメックスが共同所有する米国テキサス州ディアパークにある製油所の持ち分をぺメックスが全て買い取り、100%の権益を取得することになった。日量34万バレルの原油精製能力をいかして、ロペスオブラドール大統領が目標とする自給自足への道を進んでいるわけであるが、世界的には石油から電力へと移行するなかで、逆行する行動が果たして功を奏するのか注目される。

 

米連邦航空局(FAA)によるメキシコ航空安全性評価の格下げ報道が波紋を広げている。FAAはメキシコ当局の安全監督が国際民間航空機関(ICAO)の安全基準に満たないとして、現在の最上位評価である『カテゴリー1』から『カテゴリー2』に引き下げる見通しである。引き下げが実施されると、メキシコの航空会社は新規の米国便を追加することができず、両国の航空会社間のコードシェアリング(共同運行)協定に基づく相互の便の座席販売などが制限される。メキシコ観光業にとって最大のお得意先である米国からの観光客減少を招くような事態は避けたいところである。航空安全性評価の行方と問題の早期決着を図れるか注目される。

 

2023年以降の米利上げ観測が強まる

米国市場で、2024年1月を超える金の米フェデラルファンド(FF)金利先物が下落した(利回りは上昇)。19日に4月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表されて以降、23年1月期日のFF金利先物が織り込む0.25%の利上げ確率は100%(1回)を割り込んだまま、22年中の利上げ見送りの可能性を残している。26日にも米連邦準備理事会(FRB)のクオールズ副議長が量的緩和縮小(テーパリング)の議論開始に慎重な姿勢を示したが、24年1月、25年1月、26年1月を期日としたFF金利先物が織り込む利上げ確率が急上昇した。テーパリングが先送りされればされるほど、聖女化の後の利上げペースが加速することを織り込み始めた。3月FOMC時のドットチャートでは4人のタカ派が22年利上げを予想し、23年を予想したのは7人だった。4~7人を『a number of』とFRB用語では記すとされるが、6月FOMCで示されるドットチャートで23年の利上げを予想する参加者が『many』(8~10)、『most』(8~13人)、『majority』(13~14人)と増えるかが注目される。

 

米国市場では1-3月期国内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前期比年率+6.4%だった。巨額の財政出動と新型コロナウイルスのワクチン普及を背景に個人消費の伸びが加速したことが高い成長率につながった。改定値では一部項目で上方修正される可能性があるが、全体の数値は速報値と同水準となる可能性が高いとみられる。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲5.2)
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18:30   4月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.8%/前年比6.8%)
○18:45   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   4月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.20%)
○20:00   ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○21:30   1-3月期米GDP改定値(予想:前期比年率6.5%)
           個人消費(改定値、予想:前期比11.0%)
           コアPCE(改定値、予想:前期比2.3%)
○21:30   4月米耐久財受注額(予想:前月比0.8%/輸送用機器を除く前月比0.8%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:42.5万件/368.0万人)
○22:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○23:00   4月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.8%/前年比なし)
○28日02:00   米財務省、7年債入札

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