FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ワクチン接種進展によって経済正常化への期待

前日の米国株式市場では、主要3指数がそろって小幅に反落した。ただ、複数の米FRB高官が物価上昇圧力を問題視しない姿勢をあらためて示し、10年債利回りは2週間ぶりの低水準を付けた。日経平均株価はマイナスで寄り付いた後に切り返し、プラス圏に浮上した。ただ、前引けにかけて勢いは衰えた。半導体関連の一角がマイナス圏に沈んで日経平均は徐々に上げ幅を縮め、もみ合い相場となった。ただ、新型コロナウイルスのワクチン接種が一段と進めば、国内の感染者が減って経済の正常化が進むとの観測から、鉄道やサービスといった内需関連株の一部に買いが集まった。結局、前営業日比88円高の2万88642円と5日連騰となった。21日申し込み時点の信用評価損率はマイナス8.94%と前週のマイナス9.8%からマイナス幅が0.86ポイント縮小した。改善したのは4週間ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:108円台後半で方向感ないもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じたことに支えられ、108.83円付近まで小幅に値を上げた。しかし、このところFRB当局者によるハト派的な発言が相次ぎ、米国の低金利政策は当面続くとの思惑から上値を追う動きは限られた。その後は、持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、108.70円台を中心とした狭い値幅で取引された。午後に入っても108.80円前後で方向感に乏しい展開が続いた。ユーロ/ドルは、前日に発表された独経済指標の強い数字を好感したユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.2260ドル付近へ上昇した。

 

4月全国スーパー売上高は前年同月比で増加

日本チェーンストア協会が発表した4月の全国スーパー売上高は1兆815億円だった。既存店は前年同月比6.0%増となり、2ヵ月連続のプラスだった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で大きく落ち込んだ前年の反動で『衣料品』や日用雑貨など『住関品』の販売が伸びた。一方、全体の構成比率が7割近い『食料品』は3.2%減だった。

 

ECB緩和策縮小は時期尚早:ギリシャ中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中央銀行総裁は25日、ユーロ圏では新型コロナウイルスワクチン接種が進んでいるものの、域内経済はなおパンデミック(世界的大流行)の影響を受けているため、緩和策を縮小すべきではないと述べた。ECBは6月10日の理事会で、景気改善を踏まえた上で緊急債券購入のペースを見直す方針である。感染者が減少する中、域内では成長率とワクチン接種率が上がっている。ただ、ストゥルナラス総裁はロイターとのインタビューで、景気回復はなお脆弱で、予見可能な将来にインフレが上昇することを示す証拠がないため、ECBが緊急債券購入のペースを落とすのは時期尚早だと指摘した。

 

トルコ中銀はさらにエルドアン大統領色が強まる

エルドアン大統領は25日、4人いるトルコ中銀副総裁のうちの1人を解任した。トルコ中銀の新たな副総裁に任命されたトゥメン氏は、一部通信社の報道によれば、アンカラにある大学の経済学部長とされ、2002年から18年まではトルコ中銀で様々な役職を経験してきた。ただ、現在はエルドアン大統領の顧問も務めており、大統領の意向に沿った意見を金融政策委員会(MPC)で発言すると予想される。現在MPCメンバーは7名いるが、そのうちカブジュオール中銀総裁を含め3名が3月下旬以降にエルドアン大統領から新たに任命された。トルコの世論調査ではエルドアン大統領の支持率が下げ止まらず、大統領は金利を引き下げることで人気回復を目論んでいるように見える。今後は大統領から中銀に対する緩和圧力がより強まってくる可能性が高まる。一方、商品価格の上昇でトルコのインフレ改善余地はあまりなく、大統領の望みとは逆に利上げの必要性が高まっているのは明らかである。もし、大統領の影響力が増してしまったMPCが正統的な金融アプローチを無視するようなことがあれば、リラ売りが加速する可能性もある。当然にトルコ中銀としても通貨安は避けたいはずである。次回の金融政策決定会合・6月17日までに金融当局が市場の警戒感をどのように払拭するのかが注目される。 

 

現在のランド買いは後付けの様相

S&Pとフィッチが格下げをしなかったこと、財政状況が以前より良いこと、今年2回の利上げの可能性があることなどがランド買いとのレポートもある。ただし、格下げはなかったものの、依然として南ア債は上述2社にムーディーズを含めた3大格付け会社はジャンク債扱いにしている。また、財政もあくまでも『以前と比較して』良いという状況、利上げに関しても前回の南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)ではインフレ予測を引き下げていることで、かなりあやふやである。しかも、どれも昨日起きたことでもなく、このようなレポートのランド買い要因はかなり『後付け』と言えそうである。

 

格付け会社ムーディーズはメキシコのGDP成長率見通しを示す

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはリポートで、今年のメキシコの国内総生産(GDP)成長率が5.6%に達するとの見通しを示した。理由として2020年からのプラスのキャリーオーバー効果とメキシコの輸出に対する米国の強い需要を挙げた。2022年にはキャリーオーバー効果が薄れるため、GDP成長率を2.9%と予想している。

 

米ホワイトハウスでは住宅価格の上昇を懸念

S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが25日発表した3月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(全米)は前年同月比13.2%上昇した。上昇率は2005年12月以来、約15年ぶりの大きさとなった。主要20都市を対象にした指数では13.3%上昇し、市場予想(12.3%)を大きく上回った。この指数では上昇率は2013年12月以来の大きさだった。

米ホワイトハウスのサキ報道官は、バイデン政権が国内の住宅価格の上昇を注視しており、住宅に手が届かなくなってきていることを懸念していると述べた。新型コロナウイルスのパンデミックにより在宅勤務が増え、より広い住宅を求める人が増加しているほか、パンデミック禍での供給の混乱により木材などの物資が不足しており、サキ報道官はこれらの「供給と需要の問題」が価格上昇につながっているとしている。

 

欧米市場イベント

○未定     5月月例経済報告
○15:45   5月仏企業景況感指数(予想:98)
○15:45   5月仏消費者信頼感指数(予想:97)
○16:30   4月スウェーデン失業率
○18:00   ビルロワ仏中銀総裁、発言
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   1-3月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.6%/前年同期比▲3.5%)
○23:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、発言
○23:30   EIA週間在庫統計
○27日02:00   米財務省、5年債入札
○シンガポール(べサックデイ)、インド(釈迦生誕日)、休場

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