FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:目先の材料なく上値の重い展開

欧米の企業景況感指数の上昇を手掛かりにグローバルな景況感改善で恩恵を受けやすい自動車や海運中心に買いが集まり国内で新型コロナウイルス大規模ワクチン接種が始まったことも支援材料として意識された。ただ、市場ではNYダウ先物や台湾株は小幅高、暗号資産を代表するビットコインは小幅安など、目先の材料もなく海外市場の動きもない中では、動きようがないとの声もあった。もっとも、高値では戻り待ちの売りや利益確定の売りも出やすく上げ幅は限られた。結局、前営業日比46円高の2万8364円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:資源国通貨安で円買いがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、109.00円付近へ小幅に値を上げた。しかし、今晩の米国株価動向やFRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて108.85円付近へ値を下げた。銅やアルミニウムなどの下落を眺めた資源国通貨安・円高が波及した面もあった。午後は、日経平均株価の伸び悩みや米長期金利低下がドル売り・円買いを誘い、108.77円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、1.21ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ビットコインに対する逆風が続く:高値から約半値落ち

米電気自動車大手テスラのイーロンマスク最高形成責任者(CEO)が今月、テスラ車の購入でビットコインの受付を停止したと明らかにするなど、同氏の一連のツイートを受けてビットコインは売り圧力にさらされている。中国の金融安定発展委員会が21日、東医や金融リスクの防止に向け、ビットコインのマイニングや取引を取り締まる方針を示したことも重石となっている。劉鶴副首相が委員長を務める同委員会は、規制を強化する必要がある資産としてビットコインを挙げた。このほか、中国の金融業界3団体は先週、銀行と決算企業による暗号資産間れサービスについて、これまでよりも厳しい禁止措置を発表した。さらに米国でも財務省が20日、1万ドル以上の暗号資産を送金する場合に内国歳入庁(IRS)への報告を義務付ける案を示し、米FRBは暗号資産が金融安定に潜在的なリスクをもたらす可能性に言及した。

 

トルコのインフレ悪化と今後の経済指標に注目

トルコでは先週、ガソリンや軽油、液化石油ガスなどに課される特別消費税が引き上げられた。一部通信社によるエコノミスト調査によれば、今回の増税でインフレが0.4%程度押し上げられるとされている。また建設資材の高騰などで同国住宅価格の上昇が止まらないこともインフレ悪化への悪循環となっている。カブジュオール・トルコ中銀総裁は金融引き締めスタンスの継続を強調しているが、エルドアン大統領に睨まれて追加利上げに踏み切れそうにない。それどころか逆に、低下傾向の支持率を回復させるためにエルドアン大統領が利下げを強く求める可能性もあり得る。先週発表されたトルコの5月消費者信頼感指数は2年ぶりの低水準となり、景気回復の鈍さが示された。今週は同月設備稼働率や経済信頼感指数で足もとの状況を確認することになる。

 

南アのインフレ動向に注目:27日4月生産者物価指数

南アの消費者物価指数(CPI)は市場予想より上振れ、SARBのインフレ警戒による利上げ論の要因となっている。原油価格の上昇に連れた輸送費(+10.6%)の高騰、食品価格が前年比+6.3%となり、45カ月ぶりの数値を記録したことが要因となっている。一方で、3月の小売売上高は前年比でマイナスとなった。市場が懸念する、高インフレ下の経済の停滞が現実的になってきている。市場では政策金利より高いインフレ率を警戒する声が高い。若干ながら利上げ期待論の方が強いことはZARの支えとなる。なお、今週27日の4月生産者物価指数(PPI)が注目される。

 

メキシコが2年連続で海外駐在員が選ぶ居住地ランキング2位

ドイツのミュンヘンに本部を置くウェブサイト「インターネイションズ(InterNations)」が発表した海外駐在員が選ぶ住みやすい・働きやすい居住地ランキングで、台湾に続いてメキシコが2年連続で59か国中、2位に選ばれた。駐在員の85%がメキシコに定住しやすいと述べており、それは世界平均の23%高い結果になった。しかしながら、『安全とセキュリティ面』では59カ国中の51位、『環境の質』では42位とかなり悪く、水や衛生のインフラについての不満も多くある。しかし、それを補う以上の魅力がメキシコにはあるとの意見が圧倒的に多く、今後のメキシコ経済を占ううえで、この結果はポジティブなニュースである。

 

米国が人権侵害から北京オリンピック外交的ボイコット呼び掛け

ペロシ米下院議長は、中国当局による新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に、来年2月の北京オリンピックに選手以外の政府代表団の参加を見送るように主要国に『外交的ボイコット』を呼び掛けた。中国政府は強く反発しており、関連するヘッドラインに要警戒となる。

 

米FOMCの議事要旨公表から市場の見方に変化

連邦準備制度理事会(FRB)は19日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27-28日会合分)の中で、メンバーのほとんどが依然、インフレを一時的と見ており、圧力を懸念していないことが明らかになった。また、経済がFRBの目標である最大雇用や物価安定目標に向けて著しい進展を見せるまでにはかなりの時間を要する可能性が強いと見ており、大規模緩和を維持する姿勢を再表明した。同時に、複数の参加者は、もし、委員会の目標に向けて経済が急回復を継続した場合、今後の会合で、資産購入ペースの修正に関する計画協議を開始することが適切になるかもしれないと指摘した。また、4月会合で初めて、メンバーは資産購入ペースの修正に言及している。米国債市場では当初、緩和縮小観測を受けて一時売りが加速する局面もあったが、その後は、堅調な推移となっている。今までのように、インフレが上昇しても対応しないと強固な姿勢を見せるのではなく、むしろ、柔軟なFRBの姿勢を歓迎した。政策立ち遅れを警戒した債券売りが後退している。

 

欧米市場イベント

○22:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、カンリフBOE副総裁、ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、サンダース英MPC委員、議会に出席
○24:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○25日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○ノルウェー、スイス、ドイツ(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、カナダ(ビクトリア・デー)、休場
○欧州連合(EU)首脳会議(25日まで)

 

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