FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末の手仕舞い売りもあり上値の重い展開

前日の米国株式市場が上昇したことを好感し、グロース株中心に底堅い地合いを維持した。ただ、週末とあって手仕舞い売りもみられ、後場にかけて模様眺めムードが強くなるとの見方も出ていた。一時300円を超す上昇となったものの、前場中盤からは伸び悩む動きに変わった。5月末までの東京や大阪の緊急事態宣言期間が延長されるとの観測が嫌気された。時価水準より戻り売り圧力が強くなるとの警戒感も生じた。結局、前営業日比219円高の2万8317円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:アジア株下落でリスク回避の円買いやや優勢

ドル/円は、日経平均株価の反発に支えられ、108.90円付近まで小幅に上昇した。しかし、前日に発表された5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が予想を大きく下回り、米FRBのテーパリング観測がやや後退していることから上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら108.85円付近で取引された。午後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、108.70円近辺へ下落した。中国や香港の株価がさえない動きだったことも、円買いを誘った。ユーロ/ドルはフランスやドイツの5月PMI速報値を控えて様子見ムードが広がり、1.223ドル台を中心とした狭いレンジ内でもみ合った。

 

海外投資家は8ヵ月ぶりに日本株売り越し

東京証券取引所が20日発表した5月第2週(10-14日)の投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場+1-2部と新興市場の合計)によると、ワクチン接種の遅れを懸念した外国人投資家の売りが広がり、海外投資家が4215億円と大幅に売り越し、売越額は8ヵ月ぶり高水準だった。この週は新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言の延長、ワクチン接種の遅れから日本の景気回復鈍化との見方が広がりワクチン接種加速で経済再開が早まる欧州や米国などへ資金移動が広がった。

 

欧州市場では5月マークイットユーロ圏製造業PMI

4月実績は62.9となった。新型コロナウイルスのワクチン接種拡大によって製造業の企業景況感は改善しつつある。雇用情勢の急速な改善は期待できないものの、新規受注はまずまず順調とみられており、5月は4月実績に近い数値となる可能性がある。

 

トルコでは特別消費税引き上げでインフレ率も上昇

トルコでは20日にガソリンや軽油、液化石油ガスなどに課される特別消費税が引き上げられた。一部通信社の調査によれば、今回の増税でインフレが0.4%程度押し上げられると見るエコノミストが多い。トルコ中銀が追加利上げに踏み切れず物価対策に手詰まり感がでるなかで、更なるインフレ悪化となれば、通貨リラの重石になる。また、昨日トルコ中銀が発表した外貨準備の保有高は、グロスで488.6億ドルと前週から4%ほど増加した。もっとも年初来では依然として減少しており、外貨準備高枯渇に対する警戒感は高まったままである。リラ安値圏での推移が続くようであれば、準備高不足を狙った投機筋のリラ売りにも注意しておきたい。

 

南ア準備銀行の金融政策委員会の政策金利は据え置き

南ア準備銀行(SARB)は市場予想通り3.5%に政策金利を据え置いた。金融政策委員会(MPC)メンバー5名の全会一致で決定された。SARBインフレ見通しは2021年が前回予測4.3%から4.2%へ下方修正されたものの、22年は4.4%、23年が4.5%と変更はあなかった。またコアインフレ予想も今年は3.3%から3.0%へ引き下げられたが、22,23年は前回と変わらず4.0%と4.3%だった。また、SARBは今年の成長見通しを3.8%から4.2%へ上方修正した。原油価格が上昇し総輸入額も増加しているのにもかかわらず、堅調なコモディティ価格が経済の好循環に繋がっているとの見解を示した。ただし、パンデミック前の水準に戻るにはしばらく時間がかかり、22年は2.3%と成長が鈍化し、23年は2.4%成長との予想をたてた。

 

メキシコの下院議員選挙の世論調査には注意が必要

6月6日に迫っているメキシコ連邦下院議員選挙ですが、最新の世論調査によると与野党の支持率が接近している。メキシコ連邦下院は定数が500議席(選挙区300議席、比例代表200議席)だが、世論調査によるとロペスオブラドール大統領が率いる国民再生運動(Morena)は現在の256議席から230議席へと議席数を減らし、単独過半数を失う見込み。現在連立を組んでいる労働党(PT)やメキシコ環境主義緑の党(PVEM)を含めても315議席と過半数は維持できるものの、現在の334議席からは議席を減らすとの予想になっている。さらに別の世論調査ではMorenaの予想議席数が195議席、Morena-PVEM-PT同盟でも242議席と過半数に届かないという驚きの結果が伝わった。
ロペスオブラドール大統領が依然として60%強という高い支持率を維持しているため、連立与党が過半数を失うという結果は想定し難いが、メキシコの政権基盤が安定していることが現在のペソの下支え要因となっている面もあるだけに、今後の世論調査にも注意が必要となる。

 

米国市場では5月マークイットサービス業PMIが公表

4月実績は64.7だった。新型コロナウイルスのワクチン接種が急速に拡大しており、経済制限措置が緩和されている。対面型のサービス業の企業活動は拡大しており、個人消費は持ち直していることから、5月は4月実績と同水準か、やや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比4.5%/前年比36.8%)
○15:00   4月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比4.4%/前年比31.7%)
○15:30   1-3月期スイス鉱工業生産指数
○16:15   5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:58.5)
○16:15   5月仏サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○16:30   5月独製造業PMI速報値(予想:65.9)
○16:30   5月独サービス部門PMI速報値(予想:52.0)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:62.5)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:52.3)
○17:30   4月香港CPI(予想:前年同月比0.6%)
○17:30   5月英製造業PMI速報値(予想:60.5)
○17:30   5月英サービス部門PMI速報値(予想:62.0)
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:30   3月カナダ小売売上高(予想:前月比2.3%/自動車を除く前月比2.2%)
○22:45   5月米製造業PMI速報値(予想:60.2)
○22:45   5月米サービス部門PMI速報値(予想:64.5)
○22:45   5月米総合PMI速報値
○23:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲6.8)
○23:00   4月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.0%/年率換算609万件)
○22日01:15   カプラン米ダラス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22日02:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)財務相理事会(非公式、22日まで)

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