FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米FOMC議事要旨公表待ちで上値の重い展開

米国株が取引終盤に大きく崩れたことを嫌気して、寄り付きから300円を超る下落となった。その後、節目の28000円を下回り、下げ幅を500円超に拡大した。マザーズ指数が売り先行からプラス転換するなどポジティブな動きも見られたことから、下では押し目買いが入って急速に値を戻した。しかし、28000円を大きく上回ってきたところでは売り直される展開になった。今晩は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(4月27-28日開催分)の公表を控えており、市場では公表後の米金利や株価の反応を見極めたいとの声が聞かれた。ビットコインの下落も重荷になった。結局、前日比362円安の2万8044円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台後半の狭いレンジ相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.07円付近まで値を上げた。日経平均株価の下げ幅縮小で、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ただ、前日の欧州市場でつけた高値109.08円が意識されると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、108.95円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。米FOMCの議事要旨公表を控えて、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスワクチン接種が順調に進んでいるため、経済の正常化が早まるとの思惑からユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.2240ドル付近へ上昇した。

 

ビットコインは2月以来の安値

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインが再び大きく下落している。情報サイトのコインデスクによると、日本時間19日午後にドル建て価格は1ビットコイン=4万ドルを割り込み、2月以来の安値水準となった。米テスラのイーロンマスク最高経営責任者(CEO)が前週、環境問題への懸念からビットコインでの決済停止を発表したことを受けた持ち高整理の売りが続いている。足元では中国などが仮想通貨での決済禁止などの規制を強めるのではないかとの警戒感もある。

 

中国のメーデー連休は活況:ワクチン普及で経済活動がほぼ回復

中国も今年は日本と同じく1-5日がメーデー連休となったが、コロナ禍から経済活動がほぼ回復している中、あっちこっちで活気が溢れた。中国文化観光部の統計によると、メーデー連休の5日間で約2億3000万人が国内旅行に出かけ、昨年の同じ時期に比べると119.7%増加した。同国内観光収入は1300億元を超え、138%以上の増加となった。2019年に比べても、フライトの予約は180%、ホテルの予約は40%以上増加したことが明らかになった。4月29日から5月6日までの8日間の国内鉄道旅客数は延べ1億1700万人で、2019年同期から1154万人(11%)増加した。また、メーデー連休の興行収入が約16億300万元と、同期の記録を更新した。中国映画市場のゴールデンタイムの一つであるメーデーが今年は5連休となり、消費が著しく促され、上映本数、興行収入、来場者数、上映回数などにおいて史上最高を記録した。

 

トルコ観光業には辛いニュースが続く

ロシアが来月1日までとしていたトルコへの航空便の運航停止を少なくとも6月半ばまで延長すると伝わった。ロシアがトルコへの運航停止期間を延長したことは、ロシアを上顧客としているトルコ観光業を失望させることになった。また、欧州域内では移動の制限が緩和されているものの、トルコに対する渡航制限はまだ厳しい国が目立つ。欧州サッカー連盟(UEFA)はチャンピオンズリーグ決勝の開催地をイスタンブールから他地域に変更、モータースポーツ最高峰のF1もトルコ・グランプリ(GP)開催が中止との見方が強まるなど、トルコ観光業にとって辛いニュースが続く。トルコにとって主要な外貨獲得手段の1つである観光セクターの回復が見込まれないようであれば、リラ相場の本格的な反発も望めそうにない。やはり、新型コロナウイルスの感染抑制が急務となってくる。そういった意味では、米ファイザーとコロナワクチンを共同開発した独ビオンテックCEOがトルコのパンデミック会議に参加するというのは、ワクチン普及の加速化に繋がる明るい材料かもしれない。

 

南アでは4月分消費者物価指数が公表:金融政策にも影響

南アフリカの2月のCPIは、前年比で南ア準備銀行(SARB)の目標とする3.0-6.0%を下回る+2.9%という結果となったが、3月は+3.2%まで回復した。そして、本日発表される4月分は+4.3%まで上昇が予想され、市場の一部ではインフレを警戒する声も出始めた。もし、市場予想よりも上回る結果となれば、明日20日に南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が行われることで、政策金利変更はないとしても、その声明への注目度がより高まることになる。

・17:00 4月南アフリカCPI(予想:前月比0.5%/前年比4.3%)

 

メキシコは好材料でペソ底堅い展開

メキシコ中銀が先週の金融政策決定会合でタカ派的な見解を示したことで、利上げ観測が浮上していることも支えとなるなど、ペソにとって現在、好材料がそろっている。また、格付け会社フィッチがメキシコの格付け据え置きを発表するとともに最新の経済見通しも発表した。今年の経済成長率については、従来の+4.2%から+5.0%に大幅に引き上げたほか、他国と比べて債務比率が低いことを強みとして評価するなど、総じてみるとポジティブな内容となった。 

 

米4月住宅着工件数は着工が進まず予想以上に減少

米商務省が発表した住宅着工件数は前月比-9.5%の156.9万戸となった。3月の173.3万戸から予想以上に減少した。住宅着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数は前月比+0.3%の176万戸と、3月175.5万戸からかろうじて増加も予想は下回った。今後の住宅着工件数は増加も低調な伸びにとどまる可能性が示唆された。需要は相変わらず強く、在庫が不足する中、住宅建設業者は生産を鈍化させている。木材価格など材料費の急騰や、土地や人手不足で、着工が進まないことが原因になっている。

 

米国市場ではFOMC議事要旨を公表(4月27-28日開催分)

議事録公表を控えて、ハト派な内容を織り込み、米国債相場も堅調推移を維持する可能性がある。このためドルの上昇も限定的か。FRBはこの会合で、市場の予想通り政策金利を据え置き、また、月1200億ドルの資産購入規模を維持した。さらなる著しい進展が見られるまで、国債購入ペースを維持する方針を再表明した。ワクチンが奏功し、経済やインフレに関して判断を若干引き上げた。年内の強い成長を予想しているが、インフレに関してはサプライサイドの混乱で2%超上昇後は、混乱の鎮静化に伴いインフレも落ち着くと、今年の上昇が『一時的』との見方を維持している。

 

欧米イベント

○15:00   4月英CPI(予想:前月比0.6%/前年比1.5%)
○15:00   4月英CPIコア指数(予想:前年比1.3%)
○15:00   4月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.8%/前年比2.4%)
○15:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00   4月南アフリカCPI(予想:前月比0.5%/前年比4.3%)
○18:00   4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.6%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:30   4月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比3.2%)
○23:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   デコス・スペイン中銀総裁、議会証言
○20日00:35   ボスティック米アトランタ連銀総裁、インタビュー
○20日00:50   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○20日02:00   米財務省、20年債入札
○20日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27日-28日分)
○香港、韓国(釈迦誕生日)、トルコ(青年とスポーツの日)、休場

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