FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウイルスの感染再拡大やワクチンの遅れを嫌気した売り

寄り付きは前週末の米国株高を好感して続伸スタートとなったものの、その後上げ幅を縮小し、マイナス転換した。国内での新型コロナウイルスの感染再拡大やワクチン供給の遅れが嫌気され、利益確定売りが優勢になった。市場では、台湾の株式市場が急落した流れを嫌気しているとの声も聞かれた。日経平均の下げ幅は一時400円を超えた。結局、前営業日比259円安の2万7824円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下から109円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、1009.50円付近まで上昇した。しかし、14日に発表された4月米小売売上高などの指標が総じて弱い数字だったこともあり、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、109.30円付近へ軟化した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

14日時点のドル買い比率は56.4%に低下

QUICKが17日算出した14日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は56.4%と前の週末から6.5%ポイント低下した。先週は米連邦準備理事会(FRB)による量的金融緩和の縮小観測から円相場が弱含んだ。相場の流れに逆らう『逆張り』の戦略が多いとされる個人投資家の間では、円買い・ドル売りに持ち高を傾ける動きが目立った。

 

米国当局がセブン&アイの買収に難癖:米企業買収の動きに変化の可能性も

セブン&アイは昨年8月、米コンビニ『スピードウェイ』の買収について同コンビニを傘下に持つ米石油精製大手マラソン・ペトロリアムと210億ドルで合意した。買収資金はセブン&アイと米セブン―イレブンがそれぞれ普通社債と金融機関からの借り入れで調達したとされ、先週14日付けで買収完了が発表された。しかしながら、その買収について、米連邦取引委員会(FTC)の委員らが14日、反トラスト法(独占禁止法)違反の懸念があるとの声明を発表したと複数のメディアが報じた。取引の違法性を訴えた声明に対し、米セブン―イレブン側が『買収は合法的』とのコメントを公表している。一方、セブン&アイは19日に予定されていた中期経営計画の公表を延期した。210億ドルの巨額買収ではあるが、資金調達は普通社債と借り入れ、そして米セブン―イレブンも絡んでいることで、為替市場にインパクトを与えるほどの日本から米国への資金移動(円売りドル買い)なかったと推測される。ただ、もしFTCが『買収が違法』と判断した場合には、念のためドル円の値動きには注意しておきたい。また、企業買収に対し、今回のように米規制当局がいちいち難癖をつけてくるようなことが続けば、米企業の買収を躊躇する動きもでてくるかもしれない。もしそうなればだが、買収に絡むドル需要が減少に傾くことにもなる。

 

トルコはラマダン明けで相場変動に注意

今週からトルコ勢がラマダン(断食月)明けの祝日から相場に戻ってくる。エルバン・トルコ財務相は認めていないが、トルコ中銀は3月下旬からリラ支えのために為替介入を再開していると見られており、週明けのトルコ勢の動きが警戒される。もっとも介入の効果が長続きするとも思えず、投機筋にリラの売り場を提供するに留まる可能性もある。 先週発表された3月トルコ経常収支では、全体の赤字幅は市場予想よりも小さかったものの、ポートフォリオ投資の流出額が過去最大となったことが話題となった。エルドアン大統領がトルコ中銀総裁を突然入れ替えたことを嫌気し、外国人のトルコ離れが急速に進んだ。トルコ中銀の独立性への不信感を拭うことが、外国人の投資を呼び込むための最優先事項となる。 

 

南アの4月CPI次第では利上げ圧力増す可能性も

今週は19日に4月消費者物価指数(CPI)と3月小売売上高が発表されるが、特にCPIに注目したいところである。3月CPIはSARBの目標レンジ(3.0%-6.0%)内に戻したが、この流れが継続されるかがポイントとなる。先週発表された米国のCPIが大幅に上振れたように、南アCPIも上昇傾向をたどれば、SARBに対する利上げ圧力が増す可能性がある。また、CPI発表翌日の20日にはSARBの金融政策委員会(MPC)が開かれる。政策金利は据え置かれるが、CPI次第では声明文の内容に変化があるかもしれない。。

 

メキシコの金融政策の緩和サイクルは終焉との思惑:ペソの下支え

メキシコの金融政策を巡る思惑も今後のペソ相場を下支えする可能性がある。メキシコ銀行(中央銀行)は14日、政策金利を4.00%で据え置いた。声明文では『インフレ率は予想を上回るペースで加速しているものの、2022年の4-6月期から物価目標に向けて収束していく』との見解を示し、足もとで中銀の物価目標(3%の±1%)上限を大幅に上回った4月CPI(前年比6%超の上昇)に関しては一時的なものとの判断を下した。ただ、その一方で中銀は『インフレリスクのバランスは上向き』との見方も示しており、市場では緩和サイクルは終わったとの思惑も広がっている。一部金融機関などでは年内にも利上げが実施されると見込む向きもあり、こうした市場の思惑は高金利通貨の側面もあるペソの下値を支えることになる。

 

アルケゴスから百度株など購入:ソロス・ファンド・マネジメント

著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資会社『ソロス・ファンド・マネジメント』が破綻した米アルケゴス・キャピタル・マネジメントが放出した百度を含む多数の株式を買い入れた模様である。取得対象にはテンセント子会社のテンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループ(TME)や唯品会(VIPS)などの中国企業が含まれる。香港経済紙『信報』が伝えた。米証券取引委員会(SEC)が14日に公開した資料によると、ソロス・ファンド・マネジメントは今年1-3月期に7700万米ドル相当の百度株と、4600万米ドル相当の唯品会株、3400万米ドル相当のTMEを購入した。他に1億9400万米ドルでバイアコムCBS株を取得した。

 

欧米市場イベント

○15:30   4月スイス生産者輸入価格
○15:30   4月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比8.95%)
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:29.14万件)
○21:30   3月対カナダ証券投資
○21:30   5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:23.7)
○23:00   5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○23:05   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○18日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比▲1.2%)
○18日05:00   3月対米証券投資動向
○ノルウェー(憲法記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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