FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発の買い戻しが優勢

前日の米国株式市場で主要3指数が反発した流れを引き継ぐ展開になった。日経平均は3日間で約2070円下げた反動もあり買い戻しが入った。また、決算を手掛かりとした個別物色の流れも継続した。市場では、急な下げに対する突っ込み警戒感に加え、週末とあって買い戻す動きも活発化した。これまでの下落を考えれば、自立反発の域を出ていないとの声もあった。NYダウ先物やアジア株が上昇したのも支援材料になり、午後には一時700円近くまで拡大した。結局、前営業日比636円高の2万8084円と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:109円半ば近辺でもみ合い相場

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、109.65円付近まで上昇した。日経平均株価の大幅反発でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、前日の海外市場でつけた109.69円が上値の目処として意識されると上げは一服した。その後は、週末を控えて利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、109.60円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均は米長期金利を睨みながら、109.50円台と中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を眺めたユーロ買い・ドル売りが入り、1.2095ドル付近へじり高となった。

 

インド変異株は抗体をかわしワクチン効果を低減

米紙NYタイムズによれば、「インド変異株のうち『E484Q』は抗体をかわしワクチン効果を低減させる。ワクチン接近を完全に済ませた37人の医師が感染し発病している。しかも、『L452R』は日本人の6割が持つ種類の白血球攻撃を逃れ、感染力が高い」という。米ジョンズ・ホプキンス大学によれば、変異株が猛威をふるうインド感染『第2波』は収まる気配がなく、9日の新規感染者は36.6万人と5日ぶり40万人を割り込んだが、19日連続で30万人を超え、累計感染者は2266万人に及ぶ。インドで二重変異体が初めて見つかったのは3月末、当初は感染急増と因果関係なしとされたが、新規感染者・死者数が4月初旬から約6倍の爆発的な増加となり、もはや『二重変異株』の影響が確実視されている。

 

ヘッジファン運用有資産は3月末過去最高

米ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によれば、2021年1-3月期末の世界のヘッジファンドの運用資産が3兆8014億ドル(約410兆円)と前年比3割増え過去最高を更新した。未曾有のコロナ禍から『K字』経済回復では企業業績に明暗が分かれているが、銘柄選別に強みを持つファンド勢には追い風となり1-3月は運用成績も15年ぶり高水準となった。ヘッジファンドへの資金の流れは20年4-6月期までは9四半期連続の流出超だったが、今年1-3月の資金流入は61億ドルと3四半期連続の流入超となり、改めてコロナ過剰流動性相場により人気の回復が顕著化することなった。

 

トルコリラ離れを止めるには中銀の独立性を証明する必要

商品価格が高止まり、またリラ安が続いているため、トルコのインフレがより加速する可能性が強まっている。それにもかかわらず、エルドアン大統領の圧力により追加利上げができないと見られているトルコ中銀への不信感は募るばかりである。外国人投資家のトルコ離れを止めるには、今後は中銀がその独立性を証明する必要がある。 なお、複数のメディアが報じていまるが、欧州サッカー連盟(UEFA)は今月末の欧州チャンピオンズリーグ決勝の開催地をトルコ・イスタンブールからポルトガルのポルトに変更した。モータースポーツのF1トルコ・グランプリ(GP)もキャンセルが確定的と伝わっている。どちらもトルコにおける新型コロナウイルス感染拡大が影響しており、同国観光業にとって回復への大きなきっかけを逃すことになる。

 

南アフリカのネガティブ要因

政府と南ア公務員組合(PSA)の労使協議行き詰まりによるストライキ・リスクがひとつある。そして、もう一つは新型コロナウイルスの感染が再び懸念されていることである。14日間の新規症例を比較すると、直近では24%以上新規の症例が増加したという結果が出ている。ムキゼ保健相は第3波とはまだ認めていないが、今後再びロックダウンを行う可能性も否定はできないことはリスクとなりそうである。

 

メキシコ政府に米石油会社からの苦情:米国側から制裁を受ける可能性も

ロペスオブラドール大統領による国営エネルギー企業の保護政策に対し、米石油会社の不満が高まっている。米石油会社のロビイストは米政府に対して書簡を送付した。米石油会社はメキシコ政府が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に反して、米石油セクターの投資家と輸出業者を差別していると主張している。貿易協定を順守するようメキシコ政府に要請することを求めた。今回の非難の的となったのは4月にメキシコ連邦議会が可決した炭化水素法の改定案である。米石油会社は同法案によってメキシコ国内で国営石油企業ぺメックスの1強支配がさらに進むことになり、エネルギー部門への新しい民間投資が妨げられていると述べている。また、メキシコ経済界からも米国がメキシコ製品への関税などで制裁措置を行う可能性があるため、米石油会社からの苦情を過小評価するべきではないとの懸念が伝わっている。メキシコでは新型コロナウイルスによる景気後退からの回復において、米国への輸出に大きく依存している面があり、米国側から制裁を受けるような事態は避けたいところである。

 

米4月PPIは3月分からは伸び鈍化:インフレ懸念が一旦後退

労働省が発表した4月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.6%になった。伸びは3月+1.0%から鈍化したが予想は上回った。前年比では+6.2%と、伸びは3月+4.2%から予想以上に拡大し、少なくとも2010年来で最大になった。変動の激しい燃料や食品を除いたコアPPI指数は前月比+0.7%と、3月から鈍化予想に反して同水準を維持した。前年比では+4.1%と、3月+3.1%から伸びが拡大した。

 

米国市場では4月小売売上高を公表

3月実績は前月比+9.7%の大幅増となった。新型コロナウイルス追加経済対策で実施された国民への現金給付や新型コロナウイルスのワクチン接種拡大が消費押し上げに寄与した。4月については、ワクチン接種拡大による個人消費の押し上げが引き続き期待されており、前月比プラスとなる可能性がある。

 

米国市場では5月ミシガン大学消費者信頼感指数は公表

前回4月実績は88.3だった。また、参考となる4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は3月実績を上回った。新型コロナウイルスワクチン接種拡大によって消費者心理や雇用環境は改善しつつあることから、5月の数値は4月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○15:30   4月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比8.95%)
○17:30   1-3月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比5.3%/前年同期比7.8%)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月22日分)
○21:30   3月カナダ製造業出荷(予想:前月比3.5%)
○21:30   3月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○21:30   4月米輸入物価指数(予想:前月比0.6%)
○21:30   4月米小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比0.7%)
○22:15   4月米鉱工業生産指数(予想:前月比1.0%)
        設備稼働率(予想:75.0%)
○23:00   3月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:90.4)
○15日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、討議に参加
○インド(イスラム教断食明け祭)、トルコ(砂糖祭)、休場

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