FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安の流れを引き継ぎ大幅続落

前日の米国株式市場はインフレ懸念による金融緩和の早期解除への警戒感から大幅安となった。日本株もこの流れを引き継ぐ展開になった。東京市場でもハイテク株との連動性が高いソフトバンクグループや半導体関連銘柄の売りが膨らんだ。国内では新型コロナウイルスの感染が広がり、経済活動の制約が強まるとの観測から、小売や鉄道といった内需関連銘柄の売りも目立った。結局、前営業日比699円安の2万7448円と、約4ヵ月ぶりの安値水準で終了した。海外投資家の5月第1週は2152億円の買い越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:109円台半ば近辺でもみ合う展開

ドル/円は、NY市場で発表された4月消費者物価指数(CPI)の強い数字で上値を試す展開となった流れを引き継ぎ、一時109.78円まで上昇して約1ヵ月ぶりの高値をつけた。しかし、日経平均株価の大幅安や米長期金利の上昇一服を眺めた利食い売りなどに押されて109.48円まで軟化した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、109.65円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、109.70円前後で取引された。今晩発表される4月米生産者物価指数(PPI)を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.20ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英中銀委員はインフレ見通しについては懸念せず

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)金融政策委員会のハスケル委員は12日、英国の中期的なインフレ見通しについてあまり懸念していないとした上で、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)による生産能力への影響を注視する姿勢を示した。英中銀は先週、インフレ率が2021年末に現在の0.7%から2.5%を上回る水準に上昇した後、22年には中銀目標の2%に戻るとの見通しを示した。
ハスケル委員は、ダートマス大学タックビジネススクール主催のオンラインパネル討論会で『インフレについてそれほど懸念していない』と述べた。

 

トルコ外相が4年ぶりにサウジを訪問:関係改善に向けての第一歩

トルコでは本日から砂糖祭(ラマダン明けの祭り)の祝日に入るため、リラ円は13円前後で様子見ムードが広がりそうである。チャブシオール・トルコ外相は10‐11日とサウジアラビアを訪問した。トルコ外交のトップがサウジを訪問したのは約4年ぶりとなる。サウジ外相と会談を終えたチャブシオール外相は、両国が関係改善に向けて第一歩を踏み出したとの認識を示した。トルコは長年敵対してきたエジプトとも溝を埋め始めており、これまで懸念された周辺諸国との対立が緩和に向かうことはリラにとってポジティブな要因である。

 

南アの労使協議は音信不通の状態

数週間にわたっている南ア政府と南ア公務員組合(PSA)の労使協議では、続報は流れていない。一方、物別れによるストライキ突入との報道もないが、協議の進展の声も聞こえてこないので、引き続き協議の動向にも注目である。

 

米4月CPIは2009年6月来最大:米FRBは緩和政策維持の可能性が強い

4月消費者信頼感指数(CPI)は予想以上の伸びで、前月比+0.8%と、伸びは3月+0.6%から鈍化予想に反して拡大した。金融危機による景気後退から脱した2009年6月来で最大となった。前年比では+4.2%と、13年ぶり最大の伸びとなった。また、FRBが最も注視している変動の激しい食品や燃料を除いたコアCPIは前年比では、+3.0%と、伸びは3月+1.6%から予想以上に拡大し1995年5月来で最大を記録した。市場エコノミストがFRBの緩和縮小が必要との見方をさらに強める中、FRB高官はおそらく、インフレの上昇は一時的で、パンデミック終息まで政策を修正する必要はないとの見方を再確認する可能性が強い。

 

米財政赤字は過去最大を更新する可能性高い

米財務省は、米国の4月の財政赤字が2255.79億ドルとなり、2020年10月から21年4月までの累積財政赤字が1兆9318億ドルに拡大したと発表した。過去最大の財政赤字を記録したトランプ政権下の2020会計年度(19年10月~20年9月)の赤字は3兆1319億ドルで、2020年4月までの7カ月間では1兆4814億ドルだった。バイデン米政権下での2021会計年度の財政赤字は、米国救済計画(1.9兆ドル規模)や米国雇用計画(2.26兆ドル規模)、米国家族計画(約1.8兆ドル)などにより、過去最大を更新する可能性が高まっている。バイデン米政権の大規模財政支出を米国債に依存する場合、非居住者による米国債投資を誘引するには、高金利かドル安誘導が必要となる。イエレン米財務長官は低金利での調達を望んでいることから、ドル安誘導政策への警戒感が高まることなる。さらに、米国の『双子の赤字』の拡大を受けて、2011年8月のような米国債の格下げというドル安要因にも要警戒となる。

 

米与党内からもパレスチナ問題収拾の声高まる

バイデン米政権は、イスラエルとパレスチナの衝突激化を受けて、歴代政権に比べて消極的だったパレスチナ問題への対応の見直しを迫られている。緊張緩和に向けて関係国への働き掛けを強め始めた。バイデン政権は、パレスチナ国家樹立を認める『2国家共存』を支持すると表明した。トランプ前政権が停止したパレスチナ支援を再開するとも発表したが、問題の根本的解決を図る中東和平の仲介には後ろ向きな構えを貫いてきた。だが、今月に入り、イスラム組織ハマスによるパレスチナ自治区ガザからのロケット弾攻撃や、これに応じたイスラエル軍のガザ空爆と、情勢は急速に悪化している。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によれば、与党・民主党内では、事態収拾に向けより積極的な役割を果たすようバイデン氏に求める声が高まっている。

 

欧米イベント

○21:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○21:30   4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比5.8%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比3.8%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:49.0万件/365.0万人)
○23:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○24:00   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○14日01:00   ベイリーBOE総裁、パネルディスカッションに参加
○14日02:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○14日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:4.00%で据え置き)
○14日05:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○シンガポール(ハリラヤプアサ)、トルコ(砂糖祭)、スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場

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