★日経平均株価:貿易摩擦激化と世界景気先行き不透明感から売り
トランプ米大統領の鉄鋼・アルミ関税引き上げ保護主義政策による貿易摩擦激化と世界先行き不透明感にリスク回避の動きが強まりう、売りが優勢となった。結局、前週末比139円安の2万1042円と4日続落で取引が終了した。
★東京外国為替市場:ドル/円は105円半ばでもみ合い相場
ドル/円は、本邦実需勢などのドル買い・円売りに支えられ、105円台半ばから105.70円付近まで上昇した。ただ、トランプ米大統領の保護主義的な通商政策で、貿易摩擦が激化するとの懸念からドルの反発は限られた。その後は、米長期金利が低下したことや日経平均株価が下げ幅を広げたことで、ポジション調整などのドル売り・円買いに105円台半ばへ押し戻された。ユーロ/ドルは、ドイツ大連立政権の発足を好感したユーロ買い・ドル売りが一巡、1.23ドル台前半で小動きとなった。イタリアの総選挙後の不安定な政局に対する懸念からユーロ売りも散見された。
★動き出した日本の個人投資家:外国人投資家の売りを吸収
株式市場は2月に入って世界的に調整色を強め、日経平均株価も3月2日時点で年初来7.0%下落した。需給面の主因は外国人投資家であり、年初から現物市場で1.27兆円、先物使用で4.13兆円売り越した(2月23日時点)。この売りを吸収したのが、日銀のETF買入と共に、個人投資家や投資信託である。年初来、現物市場で各々9470億円、4160億円買い越した。
★イタリア総選挙では『五つ星運動』が躍進
イタリア総選挙では、反エスタブリッシュメント(既成勢力)政党が躍進した。同国有権者は長引く景気悪化や増税、移民流入を理由に、既存の主要政党を拒否、同国政治の行方は混沌としている。5日午前3時(日本時間同日午前11時)時点で、総選挙の勝者とみられるのはユーロ懐疑派の『五つ星運動』と、中道右派連合の一角を成す反移民の『同盟』。これら両党が中道グループの票を奪ったため、中道左派を含めた3陣営のいずれも過半数に達せず、政権発足まで連立交渉が続く見込みとなっている。
★8日のECB定例理事会でフォワードガイダンスの変更なしの見方
エコにミスとはECBが8日に開催される定例理事会でフォワードガイダンスを変更するとの予想を撤回した。エコノミストらはECBが債券購入についてのガイダンスを6月までに変更するとみている。購入終了の期日設定は7月までの実施を予想している。また債券購入終了後も『相当期間』据え置くとしている政策金利のガイダンスが変更されるのは9月になると見込まれる。世界的に株価が不安定になっていることから、わずかな変化も市場の過剰反応を引き起こす可能性があり、慎重姿勢とならざるを得ない。
★トランプ減税の多くは自社株買いに
トランプ減税の多くは自社株買いに向かう。2018年には17年の2倍以上の1710億ドル(約18.4兆円)が発表されている。トランプ減税は、①企業が非常に割安な金利で債務を発行、②自社株買いや配当金として投資家に還元する、③高リスク企業の高利回り債を小幅スプレッドで取得、④それら資産のオフショア保有の必要がなくなるなどに集約される。つまり、米大手企業とその大多数の労働者の命運は基本的に切り離されており、トランプ減税で浮いた収益で従業員の賃金が大幅に増えるわけでもなければ、設備投資に投下されるわけでもなく、主として自社株買いに向かう。
★米国市場では2月ISM非製造業景況指数が公表
米2月ISM非製造業景況指数は58.7と、1月の59.9から弱含む見通しとなっている。足もとは米港k株の調整局面入りとみられ、経済指標の悪化が株安につながればドル売りを誘発する可能性がある。
★欧米イベント
○17:50 2月仏サービス部門PMI改定値(予想:57.9)
○17:55 2月独サービス部門PMI改定値(予想:55.3)
○18:00 2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:56.7)
○18:30 2月英サービス部門PMI(予想:53.3)
○19:00 1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.1%/前年比2.0%)
○24:00 2月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(総合、予想:58.9)
○6日03:15 クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○中国全国人民代表大会(全人代)開幕
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