FITS エコノミックレポート

週末の朝市場コメント!

米国株式市場は上昇:米中首脳会談への期待から切り返し

NYダウは274.17ドル高の34754.93ドル、ナスダックは279.06ポイント高の13893.84ポイントで取引を終了した。前日までの4日間で1500ドル強上昇していたため、週末を控えて利益確定目的の売りなどが先行しほか、ロシア軍が北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるポーランド国境近くのウクライナ西部を再びミサイル攻撃し、リビウ空港近くにミサイルが撃ち込まれたとの報道で状況悪化を警戒し、寄り付き後は下落した。しかし、ウクライナ戦争を巡る米中首脳会談への期待に下げ止まった。さらに、金利の低下で、ハイテク株が引き続き強く相場をけん引した。また、個別銘柄と指数を対象としたオプションが本日期限を迎え、トリプルウィッチングに絡んだ買いも見られ引けにかけて上げ幅を拡大した。VIX指数は25.67から23.87へ低下した。

 

NY外国為替市場:黒田日銀総裁の円安肯定発言で円売り優勢

ドル/円は、今週、米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めに動いた一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持したことから、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。黒田東彦日銀総裁が円安について『家計には必ずしもプラスではない』としながらも、『輸出増などを通じて経済全体に恩恵がある』と強調し、足もとの円安を肯定したことも円売りを誘った。また、FRB高官らから相次いで早期の米金融引き締めに前向きな発言が伝わったこともドル買いを促し、一時119.40円と2016年2月以来6年1カ月ぶりの高値を更新した。
 なお、ウォラーFRB理事は『今後数カ月は0.50%の利上げを複数回実施して、より早期に物価高にインパクトを与えるべき』との考えを示したほか、ブラード米セントルイス連銀総裁は『年内の残り6回会合のうち5回で0.50%の利上げが必要と考える』『FF金利の誘導目標は今年、3%以上に引き上げるべき』などと発言した。また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は『インフレ抑制のためにFRBはより積極的に行動する必要がある』と語った。

 

ユーロ/ドルは、複数のFRB高官から積極的な米金融引き締めに前向きな発言が伝わったことで、ユーロ売り・ドル買いが優勢となった。ロシアとウクライナの首都キエフでの攻防がこう着し、『消耗戦』の様相を帯び始めたこともユーロの重石になった。前日の安値1.1008ドルを下抜けて一時1.1003ドルまで値を下げた。ただ、両国の停戦交渉進展への期待も高まっており、売り一巡後は買い戻しが優勢になった。米長期金利の低下もユーロ買い・ドル売りを促し、1.1072ドル付近まで下げ渋る場面があった。なお、バイデン米大統領と習近平・中国国家主席はこの日、テレビ電話で会談し、ロシアによるウクライナ侵攻や米中関係について協議した。米ホワイトハウスは声明で『バイデン氏は米国や同盟国の見解を伝えるとともに、ロシアに科している代償を含め、侵攻を阻止するための対応について説明した』と明らかにしたほか、危機を外交的に解決することへの支持も強調した。

 

NY原油先物市場は続伸:ウクライナ情勢を意識した買い

NY原油先物市場は100.96ドル-104.67ドルのレンジ相場となった。エネルギー供給不足への懸念が根強いこともあり、時間外取引から底堅く推移。一時は106ドル台まで上昇する場面も見られた。アジア市場で104.67ドルまで買われた後、ニューヨーク市場の序盤にかけて100.96ドルまで下げたが、その後反転した。ウクライナ情勢は流動的であり、通常取引終了後の時間外取引で104.13ドルまで戻している。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比3基減少の524基となった。

 

NY金先物市場は反落:利益確定売りと株高を意識した売り優勢

NY金先物市場は1918.00-1946.20ドルのレンジ相場となった。ウクライナとロシアの停戦交渉に対する期待感が高まったことを受け、安全資産とされる金相場は売りに押された。また、これまで急ピッチで上昇してきた反動から週末を前に利益確定目的の売りも散見された。アジア市場の取引開始後に1946.20ドルまで買われたが、まもなく反落した。株高を意識して安全逃避的な買いは縮小した。通常取引終了後の時間外取引で一時1918.00ドルまで下げている。

 

米国債券市場はまちまち:ウクライナ情勢懸念から長期ゾーンに買い

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)1.94%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)2.15%で終了した。ウクライナ情勢を巡る懸念から長期債が買われ長期金利は低下した。一方、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢を背景に短期債は売られ(利回りは上昇)、利回り曲線の平坦化が進んだ。3年債利回りが一時10年債利回りを上回る『逆イールド』が発生した。 

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