FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント

米国株式市場は反落:米債務不履行懸念と米地銀への懸念再開で売り

NYダウは109.28ドル安の33426.63ドル、ナスダックは30.94ポイント安の12657.90ポイントで取引を終了した。債務上限問題の解決期待を受けた買いが続き、寄り付き後は上昇した。その後、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が追加利上げに慎重な考えを示し6月連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が後退したが、債務交渉が中断されたことが報じられ債務不履行懸念再燃で大きく売りに転じた。さらに、イエレン財務長官がさらなる銀行合併が必要になるかもしれないと大手銀の幹部に伝えたとの一部報道を受け地銀への懸念も再燃し、終盤にかけて一段安となり終了した。VIX指数は16.05から16.81へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇でドル下げ渋る

ドル/円は、米長期金利の指標である米10年債利回りが一時3.7186%前後と約2カ月ぶりの高水準を付けると円売り・ドル買いが先行し、一時138.65円付近まで値を上げた。ただ、アジア時間に付けた日通し高値138.73円や前日に付けた年初来高値138.75円がレジスタンスとして働くと失速した。米債務上限問題を巡る米政府と野党共和党の交渉について『共和党の交渉担当者が突然退席し、交渉が行き詰まっている』との報道が伝わると、米国株相場の失速とともにリスク回避の円買い・ドル売りが活発化した。イエレン米財務長官が銀行幹部らに『一連の銀行破綻を受け一段の銀行合併が必要になる可能性がある』と警告したことも投資家心理の悪化につながり、一時137.43円と日通し安値を更新した。もっとも、前日の安値137.29円や200日移動平均線が位置する137.10円がサポートとして働くと買い戻しが進んだ。米10年債利回りが再び上昇に転じたことも相場の支援材料となり、138.14円付近まで下げ渋った。

 

ユーロ/ドルは、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が『政策金利は依然として持続的に高水準である必要』と述べたほか、シュナーベルECB専務理事が『金利についてまだやるべきことがある』『金利を十分に景気抑制的な水準にする』と発言すると、ECBの利上げ継続観測が改めて意識されてユーロ買い・ドル売りが入った。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が『信用不安を考慮すると、政策金利は想定されていたほど上昇する必要がないかもしれない』と発言したこともドル売りを促し、一時1.0829ドルと日通し高値を更新した。ただ、米長期金利の上昇基調が継続したことから、引けにかけては伸び悩んだ。

 

NY原油先物市場は続落:米株安と米長期金利上昇を嫌気した売り

NY原油先物市場は71.18ドル‐73.58ドルのレンジ相場となった。米債務上限問題を巡る不透明感から株価下落とともに売りが強まった。米国市場の序盤にかけて73.58ドルまで買われたが、株安や米長期金利の上昇を意識した売りが増えたことでポジション調整に絡んだ売りが増えた。一時71.18ドルまで反落し、通常取引終了後の時間外取引では主に72ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は4営業日ぶりに反発:リスク回避ムードから買い優勢に

NY金先物市場は1956.30‐1987.40ドルのレンジ相場となった。米債務上限を巡る交渉が難航しているとの見方からリスク回避ムードが高まると、安全資産とされる金に買いが集まった。アジア市場で1956.30ドルまで売られたが、ドル高進行を意識した売りは一巡し、米国市場の中盤にかけて1987.40ドルまで反発した。その後は上げ渋り、通常取引終了後の時間外取引では主に1978ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:売り先行後に米債務上限問題の再懸念から買い戻し

米国債券市場で中期ゾーンは変わらずで終了した。米2年債利回りは前営業日比変わらずの4.26%で終了した。また、長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%高い(価格は下落)3.67%で終了した。前日に米金融引き締めの長期化観測が強まったほか、米債務上限問題を巡り与野党が合意できるとの楽観的な見方が広がり、債券売りが先行した。利回りは一時3.7186%前後と約2カ月ぶりの高水準を付けた。ただ、債務上限を巡る与野党協議が『中断した』と伝わると債券を買い戻す動きが広がり下値が堅くなった。

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