FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:ポジション調整売りでNYダウは終日軟調

NYダウは469.64ドル安の30932.37ドル、ナスダックは72.91ポイント高の13192.34ポイントで取引を終了した。米長期金利上昇への警戒から、寄り付き後下落した。月末でヘッジファンドなどが損失確定のための持ち高解消に動いたなどとの憶測も重しとなり、NYダウは終日軟調推移した。前日に発表した2022年1月期通期の1株利益見通しが予想を下回ったセールスフォース・ドットコムが6%超の急落となり、相場を押し下げた。ゴールドマン・サックスやキャタピラーなど景気敏感株にも売りが出たほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などディフェンシブ株にも売りが集まった。原油価格の下落を背景にシェブロンなど石油株も安かった。ただ、米国債相場が行き過ぎ感などから反発し、金利が低下に転じたため足元で大きく下げていたアップルやマイクロソフトなどを中心にハイテク株が買い戻され、ナスダック総合指数は概ねプラス圏で推移した。VIX指数は28.89から27.95へ低下した。

 

NY外国為替市場:米長期高止まりとリスク回避のドル買い

ドル/円は、米10年債利回りが前日に一時1.6085%前後まで急騰したことを受けて、この日もドル買いが継続した。NY市場に入り、NYダウが一時490ドル超下落すると、リスク回避のドル買いが活発化し一時106.69円と昨年8月28日以来約半年ぶりの高値を付けた。市場では『米連邦準備理事会(FRB)が年内に資産購入の減額を議論するとの観測が高まっており、パウエルFRB議長の緩和継続姿勢に懐疑的になりつつある』との声が聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇基調に対する警戒感から世界各国の株式相場が下落すると、投資家が運用リスクを取りにくくなるとの見方から安全資産とされるドルが買われた。ユーロ/ポンドの下落につれたユーロ売り・ドル買いも出て、一時1.2062ドルと日通し安値を付けた。ユーロ/ポンドは『月末特有のユーロ売り・ポンド買いのフローが観測された』との声も聞かれ、一時0.8656ポンドまで下落した。 

 

原油や銅など商品相場の下落を背景に、資源国通貨が軟調に推移した。豪ドル/米ドルは一時0.7693米ドル、NZドル/米ドルは0.7223米ドル、米ドル/カナダドルは1.2749カナダドル、米ドル/南アランドは15.1972ランドまで米ドル高に振れた。

 

NY原油先物市場は大幅反落:ドル高と株安を嫌気した売り

NY原油先物市場は61.34ドル-63.57ドルのレンジ相場となった。昨日に続いて為替市場でドルが対ユーロで上昇し、ドル建ての原油は割高感から売りが先行した。石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国で構成する『OPECプラス』が3月4日の会合で、現行の協調減産措置を4月から緩和するとの観測が出ていることも原油の上値を圧迫した。アジア市場からじり安となり、ニューヨーク市場では欧米株安やドル高を嫌気してポジション調整的な売りが一段と強まる展開となった。米国の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比4基増加の309基となった。

 

NY金先物市場は大幅続落:ドル高を嫌気した売り優勢

NY金先物市場は1714.90-1773.80ドルのレンジ相場となった。昨日に急上昇した米長期金利が本日は低下気味も引き続き高い水準でとどまり、ドルが対ユーロで大幅に上昇し、ドル建ての金は大幅に続落した。アジア市場で1773.80ドルまで買われたが、ユーロ安・ドル高を意識して上値は次第に重くなった。ニューヨーク市場では、安全逃避的なドル買いが観測されており、米国債の需要が増えたことから、金先物は一時1714.90ドルまで一段安となった。

 

米国債券市場は3営業日ぶりに大幅反発:デュレーション調整による買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは3営業日ぶりに大幅反発(利回りは低下)した。米10年債利回りは前営業日比0.11%低い(価格は上昇)1.41%で終了した。前日に急落した反動で短期的な戻りを期待した買いが入ったほか、市場では『月末を迎えて、機関投資家が保有する債券の平均残存年限を維持するための買いを入れた』との指摘があった。

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