FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は反落:対中対立激化懸念が高まり失速

NYダウは147.63ドル安の25400.64、ナスダックは43.37ポイント安の9368.99ポイントで取引を終了した。週次失業保険申請件数の減少傾向を好感したほか、米経済活動の再開で景気が回復に向かうとの期待から買いが先行した。また、ウイルス被害が大きかったNY市も6月初旬に第1段階の活動再開の可能性に市長が言及したことも好材料となり、一時210ドル超上げたものの、終盤失速した。トランプ米大統領が29日に対中政策に関する会見を行うと伝わると、米中対立激化への懸念が高まり売りが優勢となった。VIX指数は27.62から28.59へ上昇した。

 

NY外国為替市場:引けにかけてリスク・オンのドル売り後退

ドル/円は、NYウが一時210ドル超上昇するなど、米国株相場が上昇して始まると全般リスク・オンのドル売りが先行し、一時107.57円と日通し安値を付けた。ただ、ユーロ/円などクロス円の上昇につれた円売り・ドル買いも出たため下値は限定的だった。29日の米大統領会見への警戒感から米国株が失速したこともドル売りに歯止めをかけた。なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時98.35と3月30日以来の低水準を付ける場面があった。 

 

ユーロ/ドルは、世界的な経済活動再開に伴う景気回復への期待感から米国株相場が堅調に推移すると、リスク・オンのドル売りが先行し、一時1.1093ドルと3月30日以来約2カ月ぶりの高値を付けた。市場では『欧州連合(EU)の欧州委員会が示した復興計画案を好感したユーロ買いが続いている』との指摘があったほか、『200日移動平均1.1012ドルや一目均衡表雲の上限1.1066ドルを上抜けたことでテクニカル的な買いが加速した』との声が聞かれた。ただ、引けにかけてはやや伸び悩んだ。『トランプ米大統領が29日に対中政策に関する会見を行う』と伝わると、米中対立激化への懸念が高まり米国株が失速。リスク・オンのドル売りが後退した。 

 

NY原油先物市場は反発:世界の経済活動再開期待から買い優勢

NY原油先物市場は31.14ドル-34.21ドルのレンジ相場となった。この日、米エネルギー情報局(EIA)が発表した在庫統計で、原油在庫は792.8万バレルの積み増しと大幅増加したものの、経済活動再開によるエネルギー需要の高まりへの期待や、9-10日の石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国で構成する『OPECプラス』会議で協調減産が合意されるとの思惑も支えとなり、反発した。また、オクラホマ州クッシングの在庫は減少を続けており、原油先物は底堅い動きを見せた。米中関係の悪化は懸念材料だが、世界的な経済再開の動きを好感した買いが増えている 。

 

NY金先物市場は小幅上昇:米中関係悪化を意識した買い優勢

NY金先物市場は1720.00-1743.70ドルのレンジ相場となった。本日閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代)で香港における『国家安全法制』を導入する決定を採択し、トランプ米政権が対抗措置をとることが見込まれ、米中関係の一段の悪化への懸念で買いが先行した。ただ、経済活動再開への期待を背景としたリスク選好の売りも入り、上値は限られた。市場では、米中関係の悪化を意識した安全逃避の買いが増えたことによって、ニューヨーク市場の序盤で1743.70ドルまで買われた。ただ、その後は利食い売りが増えたことや、米長期金利の反発を受けて金先物の上げ幅は縮小した。 

 

米国債券市場は小幅反落:引けにかけて米中関係悪化警戒感から買い戻し

米国債券市場で長期ゾーンは小幅反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.01%高い(価格は下落)0.69%で終了した。米経済活動の再開で景気が回復に向かうとの期待から安全資産とされる米国債に売りが出たものの、米中関係悪化への警戒感から債券買いも入ったため下値は限定的だった。 

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ