FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米パウエルFRB議長発言を嫌気して売り強まる

NYダウは516.81ドル安の23247.97ドル、ナスダックは139.38ポイント安の8863.17ポイントで取引を終了した。新型コロナウイルスの感染第2波への不安感や米中対立への懸念が高まる中、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が新型コロナによる米景気の下振れリスクを強調したことが売りを誘った。市場では「著名投資家のデビッド・テッパー氏が『株は買われすぎ』と指摘したことも嫌気された」との声が聞かれ、指数は一時700ドル近く下げた。VIX指数は33.04から35.28へ低下した。

 

NY外国為替市場:パウエル米FRB議長発言でドルは行って来い相場

ユーロ/ドルは、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で『新型コロナウイルスの感染拡大で長期の経済的打撃への懸念が高まった』『見通しは極めて不透明、下向きのリスクが大きい』『景気悪化の長期化回避のため追加政策が必要となる可能性』などと述べると、米長期金利の低下とともにドル売りが先行し、一時1.0896ドルと日通し高値を付けた。ただ、1.09ドル台に乗せることは出来なかった。同議長が質疑応答で『マイナス金利に対するFOMCの見解は変わらず』『マイナス金利は現時点で検討対象ではない』と述べ、マイナス金利導入に否定的な見方を示すとドルを買い戻す動きが優勢となり一時1.0812ドルと日通し安値を付けた。市場では『NYダウが一時700ドル近く下落したことを背景にリスク回避目的のドル買いが入った』との声も聞かれた。なお、トランプ米大統領は前日にツイッターへの投稿で「他国がマイナス金利の恩恵を得ているなら、米国もその『ギフト』を受け取るべきだ」と主張し、FRBにマイナス金利政策の導入を要求していた。 

 

ドル/円は、パウエルFRB議長の発言後に一時106.74円と日通し安値を付けたものの、同議長がマイナス金利導入に否定的な見方を示すと、全般ドル買い戻しが進んだ流れに沿って一時107.14円付近まで持ち直した。もっとも、NY中盤以降は107.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。株安に伴うリスク回避の円買いとドル買いが綱引きする格好でもみ合いの展開となった。なお、この日発表された4月米卸売物価指数(PPI)は前月比1.3%低下と予想の0.5%低下を下回り、統計がさかのぼれる2009年12月以来の落ち込みとなった。前年同月比では約4年半ぶりの大幅低下となった。

 

NY原油先物市場は反落:株安などを嫌気した利益確定売り

NY原油先物市場は24.79ドル-26.45ドルのレンジ相場となった。米エネルギー省(EIA)発表の週間石油在庫で原油が1月以来の取り崩しとなったことを好感し、6月限は26.45ドルまで上値を伸ばした。もっとも、買い一巡後は上値を切り下げる展開になった。パウエルFRB議長は『米経済の見通しは極めて不透明、下向きのリスクが大きい』との見解を示しており、原油需要の回復も遅れるとの見方が重石となった。株安やユーロ安を意識して利益確定を狙った売りが増えており、通常取引終了後の時間外取引で一時25ドルを下回った。

 

NY金先物市場は反落:リスク回避の動きが高まり安全資産の金買い

NY金先物市場は1701.60-1726.50ドルのレンジ相場となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で、新型コロナウイルス感染拡大による経済ダメージの長期化懸念を示し、安全資産の金に買いが集まった。その後、為替相場でドル高が進むとドル建ての金先物も売りに押されたが、米中対立が解消されていないことや、軟調な株式市場が金相場の下値を限定させた。

 

米国債券市場は上昇:米景気の下振れリスク発言受け買い優勢に

米国債券市場で長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.02%低い(価格は上昇)0.65%で終了した。パウエル米FRB議長がこの日の講演で新型コロナウイルスによる米景気の下振れリスクを強調したことで、安全資産とされる米国債に買いが入った。ただ、米30年債入札後は債券売りが出てやや伸び悩んだ。30年債入札について『低調』との受け止めもあった。

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