FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米中貿易摩擦再燃への懸念から売り優勢に

NYダウは218.45ドル安の23664.64、ナスダックは45.27ポイント高の8854.39ポイントで取引を終了した。米経済活動の再開を期待してハイテク株を中心に買いが先行し一時170ドル超上げたものの、取引開始前に発表された米雇用指標の大幅悪化が投資家心理の重しとなり買いは長続きしなかった。トランプ米大統領が『中国は貿易協定を維持するかもしれないししないかもしれない』などと述べると、米中貿易摩擦再燃への懸念から売りが加速し引けにかけて下げ幅を広げた。 VIX指数は33.61から34.12へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ドルは円以外の通貨に対して底堅く推移

ドル/円は、ユーロ/円や資源国のクロス円が下落した影響を受けたほか、サポートとして意識されていた4月29日の安値106.36円を下抜けたことでテクニカル的な売りも出やすく、一時105.96円と3月17日以来の安値を付けた。ただ、ドルは円以外の通貨に対しては底堅く推移したため、ドル/円の下落スピードは緩やかだった。なお、この日発表の4月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数は前月比2023.6万人減と予想の2100万人程度減を上回ったものの、データがある2002年以降で最大の落ち込みとなった。市場では『過去に例を見ない数字となりマーケットも反応のしようがなかった』との声が聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、欧州時間に一時1.0782ドルと4月24日以来の安値を付けたものの、NYの取引時間帯に入るとショートカバーが先行した。メルケル独首相の発言を受けて1.0827ドル付近まで値を戻した。ただ、ドルはオセアニア通貨や資源国通貨に対して底堅く推移したことから、ユーロ/ドルの戻りも限定的となっている。なお、メルケル独首相はこの日、新型コロナ対策として実施してきた商店の営業制限を撤廃し、全ての商店の営業再開を許可すると発表した。世界主要プロスポーツで初となるドイツ・リーグ(ブンデスリーガ)の再開についても無観客を条件に許可するとした。  

 

NY原油先物市場は反落:需要の低迷の思惑から利益確定売り

NY原油先物市場は22.58ドル-26.08ドルのレンジ相場となった。4月ADP全米雇用報告で非農業部門の民間就業者数は2023.6万人減と、記録的な減少幅となり、週末の米4月雇用統計への懸念が高まった。米雇用市場の悪化が景気後退、エネルギー需要の低迷につながるとの思惑も高まり、原油は利益確定売りが優勢となった。また、ユーロ安も嫌気された。米エネルギー省(EIA)が発表した原油在庫は459.0万バレルの積み増しとなったが、市場の反応は限られた。 

 

NY金先物市場は続落:ドル高や米長期金利上昇を嫌気

NY金先物市場は1683.00-1716.60ドルのレンジ相場となった。欧米で経済活動の再開に向けた動きが加速していることで、投資家のリスクオフムードが後退し、安全資産の金に売りが入った。メルケル独首相の『新型コロナウイルス封じ込め措置を緩和する』、『すべての店舗が再開可能』などの発言が伝わった。ユーロ安・米ドル高の相場展開を嫌気して節目の1700ドルを下回った。ニューヨーク市場で1683.00ドルまで下げ幅を広げており、米長期金利の上昇も売り材料となった。

 

米国債券市場は続落:米財務省の債券発行増額を嫌気した売り

米国債券市場で長期ゾーンは3日続落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)0.70%で終了した。米財務省が20年物国債の発行について、市場の想定を上回る額を示したほか、10年債や30年債の発行額も大幅に増やすと発表した。国債発行の急激な増加による需給の緩みが意識されて、長期債を中心に売りが出た。 

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