FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:NY州が出勤禁止令を出したことを嫌気した売り

NYダウは913.21ドル安の19173.98ドル、ナスダックは271.06ポイント安の6879.52ポイントで取引を終了した。朝方は、良好な2月中古住宅販売件数が好感されたことや、各国中銀がドル流動性供給拡充で協調行動を取っていることなどが好感されて、続伸して取引を開始した。その後しばらくはプラス圏とマイナス圏を行き来していたが、新型コロナウイルスによる景気減速懸念が根強い中、NY州が出勤禁止令を出すと売りが強まった。この日は先物やオプションなどの4つの満期が重なる『クアドルプル・ウィッチング』に当たり、相場が不安定になった面もある。VIX指数は72.00から66.04へ低下した。

 

NY外国為替市場:ドル確保の動きは止まらず

ドル/円は、アジア株の上昇を受けて、ここまで急ピッチで続いたドル高の巻き戻しが先行し、一時109.34円と日通し安値を付けたものの下値は堅かった。新型コロナウイルスの感染者急増を防ぐために、カリフォルニア州やニューヨーク州などが相次いで出勤禁止令を出すと、一時は440ドル超上昇していたNYダウが失速し990ドル超下落した。WTI原油先物価格が一時22%超急落し2002年2月以来約18年ぶりに20ドルを割り込んだことも意識されて、再びドル高が進んだ。投資家が株式や原油などリスク資産から資金を引き揚げる動きは止まらず、一時111.51円と2月24日以来の高値を付けた。
 米連邦準備理事会(FRB)はこの日、『日銀や欧州中央銀行(ECB)など他の5中銀を対象に、米ドルの資金供給策を拡大する』と発表した。FRBは5中銀を通じて日欧などの民間銀行にドルを融資しているが、これまで週1回のペースだった1週間物のドル供給を、23日から1日1回に増やした。16日の第1弾に続く措置で、国際金融市場の不安を抑える狙いだ。ただ、市場の反応は鈍くドル確保の勢いは収まらなかった。
 なお、この日の金融市場では『ゴールドマン・サックス(GS)がリポートで、4-6月期米国内総生産(GDP)を前期比年率24%減と予想した』ことや、来週26日に発表される新規失業保険申請件数について「GSは225万件と予測」『バンク・オブ・アメリカはさらに大きい300万件と予測した』ことなどが話題となっていた。

ユーロ/ドルは、アジアや欧州の株式相場が上昇したことで、投資家のリスク回避姿勢が和らぐとの見方から、欧州市場序盤には1.0831ドルまで値を上げた。ただ、NY市場では米国株や原油価格の下落を受けて再びユーロ売り・ドル買いが優勢になった。日米欧など6中銀によるドル資金供給策の発表にドル高抑制の効果はなく、市場では『金融市場の動揺で基軸通貨の需要が高まっている。ドルが驚くほど上昇している』との指摘があり、一時1.0638ドルと2017年4月以来2年11カ月ぶりの安値を更新した。

 

NY原油先物市場は反落:リスクヘッジの売りで一時20ドル割れ

NY原油先物市場は、前日、トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアの増産合戦による価格統制の争いに介入する可能性を示唆したことで堅調な動きをしていた原油先物だったが、週末を前にしてリスクヘッジの売りが出ると次第に上値が重くなった。引け前には下げ幅を大きく拡大した。なお引け後には一時1バレル=19.46ドルと2002年2月以来約18年ぶりの安値を付けた。米国内の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週比19基減少の664基となった。

 

NY金先物市場は続伸:ドルの買い戻しとともに上値重く

NY金先物市場は1457.50-1519.40ドルのレンジ相場となった。アジア時間では前日のFRBによる中銀に対する新たな資金供給を好感し、ドルが売られ金先物価格は徐々に上げ幅を広げ1519ドルまで上昇する場面があった。しかしながら、NYが参入するとドル不足解消は変わらず、ドルの買い戻しが優勢になると、徐々に金先物価格は上げ幅を縮めた。また、資産換金化を警戒した売りも観測された。

 

米国債券市場は大幅続伸:米国債市場の動揺が後退

米国債券市場で長期ゾーンは大幅続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.30%低い(価格は上昇)0.84%で終了した。米FRBがドル供給を拡充すると発表したことで、ここのところ売り一辺倒だった国債市場の動揺はひとまず落ち着いた。米国株の下落に伴う債券買いも入った。

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