FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は大幅上昇:米景気に対する投資家の不安心理が後退

NYダウは1985.00ドル高の23185.62ドル、ナスダックは673.07ポイント高の7874.88で取引を終了した。前日に2352ドル下落し過去最大の下げを記録したうえ、約2年9カ月ぶりの安値を更新したあとだけに自律反発狙いの買いが先行した。世界の中央銀行による金融緩和策が相次いだことも相場の支援材料となり、一時1300ドル超上げた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が続き世界経済が景気後退入りするとの懸念は根強く、買い一巡後は84ドル高まで急失速した。もっとも、トランプ米大統領が『非常事態』を宣言し、連邦政府の予算を地方政府に振り向けられるようにしたほか、政策を総動員する姿勢を打ち出すと米景気に対する投資家の不安心理が後退し、買いが加速した。上げ幅は過去最大となり、上昇率は9.4%高と11年半ぶりの大きさとなった。VIX指数は 75.47から大幅57.83へ低下した。

 

NY外国為替市場:有事のドル買い強まる

ドル/円は、前日に2352ドル下落し過去最大の下げ幅を記録したNYダウがこの日は1985ドル上昇し過去最大の上げ幅を記録すると、投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぎ円を売る動きが広がった。半面、新型コロナウイルスの感染が『パンデミック(世界的な大流行)』となる中、世界的リセッション(景気後退)への懸念は根強く、市場では「通常は安全資産とされる円が買われる場面だが、今は状況が違う。リスク資産の急落で流動性が枯渇し始めており、『有事のドル買い』が進んだ」との声が聞かれた。ドル/円は円安とドル高の両方の様相が強まったことで一時108.50円と3日以来の高値まで急伸した。アジア時間に付けた日通し安値104.51円からほぼ4円の上昇となる。
 なおトランプ米大統領はこの日、ホワイトハウスで記者会見し、新型コロナ対応で非常事態を宣言した。最大500億ドルの連邦政府予算を活用し、検査や治療の態勢を強化する。さらに『全ての連邦学生ローンの金利支払い免除』と『石油大規模購入で戦略備蓄を拡大する』との方針を示した。米10年債利回りが一時1%台を回復したこともドルの支援材料となった。

ユーロ/ドルは、米連邦準備理事会(FRB)や中国人民銀行、ノルウェー中銀など各国中銀による金融緩和で欧州株相場は大幅に反発して始まったものの、終盤失速した。株式市場は依然として不安定な値動きが続き、債券や金などのリスク資産が売られる中、『金融市場では最も流動性の高い基軸通貨ドルに買いが入った』との指摘があった。『トランプ米大統領は国家非常事態を宣言するようだ』との報道が伝わると全般ドル買いが活発化し、一時1.1055ドルまで値を下げた。ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いも観測された。ただ、ユーロ/円やユーロ/ポンドなどユーロクロスが上昇した影響で、引けにかけては1.1118ドル付近まで下げ渋っている。

 

NY原油先物市場は小幅反発:引き続きサウジの増産が上値の重石

週末を控えて持ち高調整の買い戻しが先行し、大幅反発で始まった株式市場の動きもリスク資産である原油の買いを促した。NY勢の入り際には一時33ドル後半まで値を上げている。もっとも、サウジアラビアの増産が確実視されているなか供給過剰への警戒感は根強く、NY午後にかけては上げ幅を大きく削り安値引けとなった。米国内の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比1基増加の683基となった。

 

NY金先物市場は大幅下落:トランプ米大統領が国家非常事態宣言で売り優勢

NY金先物市場は1504.00-1597.90ドルのレンジ相場となった。通常取引開始前の時間外取引で1600ドルに接近する場面があったが、トランプ米大統領が国家非常事態を宣言するとの報道を受けて金先物の下げ幅は大幅に拡大し、一時1504.00ドルまで売られた。スタフォード法に基づき、連邦政府は州・地方自治体への支援を一段と強化する。通常取引終了後の時間外取引で1536.90ドルまで戻したが、株高やドル高を意識して金先物の戻りは鈍かった。欧米の株式相場は反発したものの、このところの急落で投資家の資産現金化の流れは止まらず、金への売り圧力は強まったままだった。

 

米国債券市場では反落:リスク回避が後退し安全資産の債券売り

米国債券市場で長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.14%高い(価格は下落)0.96%で終了した。各国中銀による金融緩和策を受けて投資家の不安心理が和らぎ、相対的に安全資産とされる米国債に売りが先行した。トランプ米大統領の会見後に米国株が上げ幅を広げると、債券相場は一段安となった。10年債利回りは一時1.0152%まで上昇した。

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