FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:中東情勢の緊迫化を嫌気した売り優勢

NYダウは233.92ドル安の28634.88、ナスダックは71.42ポイント安の9020.77で取引を終了した。米国防総省は2日夜、トランプ米大統領の指示でイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。一方、イランの最高指導者ハメネイ師は米国への『厳しい報復』を宣言した。中東地域を巡る地政学的リスクの高まりを背景に、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め売りが優勢となった。 その後は下げ幅をやや縮小して、もみ合う展開となった。VIX指数は12.47から14.02へ上昇した。

 

NY外国為替市場:中東情勢の緊迫化警戒からリスク回避の円買い

ドル/円は、米軍がイラクの首都バグダッドでイラン革命防衛隊の精鋭組織の司令官を殺害したと伝わり、中東情勢が緊迫化するとの警戒感が高まった。欧州時間には一時107.87円まで値を下げた。しかし、NY市場に入り、一時は360ドル超下落した現物のダウ平均が急速に下げ幅を縮めるとドル/円にも買い戻しが入り108.26円付近まで下げ渋ったものの、12月米ISM製造業景気指数が47.2と予想の49.0を下回り、10年ぶりの低水準を付けたことが分かると再び弱含んだ。NYタイムズの記者が『未確認ながら、イラクにある米軍基地が弾道ミサイルの攻撃を受けた』とツイートすると瞬間的に円買い・ドル売りで反応し、一時107.78円と昨年10月10日以来約3カ月ぶりの安値を付けた。もっとも、米中貿易協議進展への期待が根強い中、引けにかけては下げ幅を縮めた。『107円台では押し目を拾いたい向きもいる』との指摘もあった。
 なお、複数の米メディアによると『米政府は米兵3500人程度を中東地域に追加派遣する』イラン革命防衛隊の精鋭組織『コッズ部隊』の司令官の殺害を踏まえ、同国による報復攻撃に備える狙いがある。ただ、イランは司令官殺害に猛反発しており、米軍増派はイランの挑発行動を助長する恐れもある。 

ユーロ/ドルは、中東情勢の緊迫化への警戒から、『有事の買い』を集めるドルは円以外の主要通貨に対しては買い先行し、一時1.1125ドルと日通し安値を付けた。ただ、そのあとは予想を下回る12月米ISM製造業景気指数がユーロ買い・ドル売りを誘い、一時1.1180ドルと日通し高値を付けている。
 12月10日-11日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では『現在の金融政策は適切』『大きな変化がない限り、金利は当面適切な水準』との見解が示されたが、相場の反応は限られた。

 

NY原油先物市場は大幅続伸:中東情勢の緊迫化で地政学リスクの買い優勢

NY原油先物市場は61.13ドル-64.09ドルのレンジ相場となった。中東情勢の緊迫化を背景に時間外取引から買いが先行した。また、米エネルギー情報局(EIA)が発表した在庫統計で、原油在庫が1146.3万バレルの取り崩しと、市場予想より大幅に減少したことも、原油の買いを後押しした。 ただ、米供給管理協会(ISM)が3日公表した昨年12月の製造業景気指数は2009年6月以来となる47.2に低下したことから、原油先物は62ドル台に下げる場面があった。米国内の石油掘削装置(リグ)稼働数は前週末比7基減少の670基となった。

 

NY金先物市場は大幅高:中東情勢の緊迫化警戒から買い優勢

NY金先物市場は1530.40-1556.60ドルのレンジ相場となった。トランプ米大統領の指示により、米軍は空爆でイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官らを殺害し、中東の地政学リスクへの警戒感が高まったことを背景に、金先物は大幅続伸した。

 

米国債券市場は続伸:中東情勢の緊迫化で安全資産の債券買い

米国債券市場で長期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.08%低い(価格は上昇)1.79%で終了した。中東情勢の緊迫化や米株安で安全資産とされる米国債に買いが集まった。米10年債利回りは一時1.7846%前後と昨年12月12日以来の低水準を付けた。 

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