FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:米中対立への懸念の高まりを嫌気

NYダウは313.98ドル安の26264.04、ナスダックは132.52ポイント安の7823.78で取引を終了した。10日に始まる米中閣僚級貿易協議の進展期待が後退し、売りが先行したことで一時330ドル超下落した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で短期金利の乱高下を防ぐため『FRBの保有資産拡大が必要』と表明すると、金融緩和期待から買い戻しが入り56ドル安まで下げ幅を縮めた。ただ、米政府がウイグル族弾圧に関わったとされる中国政府高官へのビザ発給を制限する方針を示すと、米中対立への懸念が再燃し再び310ドル超下落した。また、中国側は通商会談日程の短縮など何らかの報復措置を検討していることが伝わり、投資家心理の悪化から終日軟調推移となった。VIX指数は17.04から20.28へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米中対立激化懸念からリスク回避の円買い

ドル/円は、10日に始まる米中閣僚級貿易協議の進展期待が後退し、欧州時間から円高・ドル安が進行した。NY勢が加わる時間帯に入っても日米株価指数先物の下落や米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが優勢となり、一時106.81円まで値を下げた。ただ、前日の安値106.57円が目先サポートとして意識されると徐々に買い戻しが優勢になった。ポンドやユーロに対してドル高が進むと、円に対してもドル買いが優勢になった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受けて、金融緩和期待から米国株が急速に下げ渋るとドル/円にも買い戻しが入り一時107.30円付近まで値を上げた。もっとも、米政権が中国新疆ウイグル自治区で続くイスラム教徒の少数民族ウイグル族などへの弾圧を巡り、関与した中国政府当局者や共産党関係者へのビザ発給を制限すると発表すると、米中対立への懸念が再燃し一時106.95円付近まで急落した。なお、パウエルFRB議長は講演で短期金利の乱高下を防ぐため『FRBの保有資産拡大が必要』と表明した。具体策については『近日公表する』とした。ただ、『量的緩和(QE)と混同するべきではない。これは技術的な問題』と述べ、QE再開との見方は否定した。また、金融政策については『適切に行動する』と強調した。

ユーロ/ドルは、欧州市場では一時1.0996ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.1001ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。ポンド/ドルの下落につれたユーロ売り・ドル買いが強まると、一時1.0941ドルと日通し安値を更新した。

 

NY原油先物市場は小幅続落:米中通商協議への警戒感から売り優勢

NY原油先物市場は51.81ドル-53.27ドルのレンジ相場となった。10日からの米中閣僚級通商協議への警戒感が高まったことが投資家心理を圧迫し、原油相場は続落した。また、9月の米卸売物価指数(PPI)がさえない結果になったことや、米原油在庫増への懸念も原油の上値を圧迫した。また、為替相場でユーロ安・米ドル高に振れたことも嫌気しされた。

 

NY金先物市場は横ばい:米国株安が意識され1500ドル台回復

NY金先物市場は1492.10-1515.30ドルのレンジ相場となった。中国が米国による中国企業の禁輸措置に対して内政干渉だと批判し、米中通商協議への警戒感が高まり、逃避資産の金は買いが先行した。米国株安を意識して通常取引終了後の時間外取引で1515.30ドルまで上昇した。

 

米国債券市場は反発:米中対立懸念の高まりから買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米10年物債券金利は前営業日比0.03%低い(価格は上昇)1.53%で終了した。米商務省は前日に中国のウイグル族などへの弾圧を理由に中国の監視カメラ大手や政府機関などに事実上の禁輸措置を課すと発表した。本日は米国務省が『ウイグル族など少数民族への弾圧複数の中国高官に対するビザ発行を制限する』と表明した。米中対立が一段と厳しくなるとの懸念が広がり、安全資産とされる米国債に買いが集まった。 

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ