FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株市場は下落:世界的な景気減速懸念で売り優勢

NYダウは200.23ドル安の25473.23、ナスダックは84.46ポイント安の7421.46で取引を終了した。欧州中央銀行(ECB)はこの日の理事会で年内の利上げ断念と銀行への新たな資金供給策(TLTRO3)の導入を決めたものの、市場は『それだけ景気が悪い証拠』と受け止めた。欧州経済の成長不安が再燃し、世界的な景気先行き懸念が高まると米国株にも売りが波及した。米中貿易協議を巡る警戒感を背景にした売りも出て、指数は一時320ドル超下げた。 VIX指数は15.74から16.33へ上昇した。

 

NY外国為替市場:ECB理事会結果を受け全般ユーロ売り優勢

ユーロ/ドルは、ECBがこの日の理事会で年内の利上げ断念を決め、新たな資金供給策の導入を打ち出すと全般ユーロ売りが先行した。ECBがユーロ圏の成長およびインフレ率見通しを引き下げたことや、ドラギECB総裁の発言もユーロ売りを誘い一時1.1177ドルと2017年6月26日以来の安値を付けた。ECBはこの日の理事会で、政策金利の据え置き見通しを従来の『少なくとも19年夏まで』から『19年末まで』に先送りするとともに、新しい貸出条件付きの長期資金供給オペ(TLTRO3)を9月から開始すると発表した。くわえて、19年のインフレ見通しを12月時点の1.6%から1.2%、20年を1.7%から1.5%に下方修正した。GDP成長率見通しについても19年は1.1%(12月時点1.7%)、20年は1.6%(12月時点1.7%)とした。市場ではECBの物価・成長見通し引き下げについて『想定以上の引き下げ幅』との声が相次いだ。新資金供給策の導入についても、市場参加者は『それだけ景気が悪い証拠』と受け止めた。ドラギECB総裁は理事会後の会見で『先行きの成長リスクは依然として下向きに傾いている』と指摘し、『必要なら全ての手段を調整する用意がある』との見解を示した。

ドル/円は、 ユーロ/ドルの急落をきっかけに円売り・ドル買いが先行し一時111.86円と日通し高値を付けたものの、すぐに失速した。ユーロ/円中心にクロス円が下落した影響を受けたほか、NYダウが320ドル超下落したことなどが相場の重しとなり一時111.45円と日通し安値を付けた。米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りも入った。 

 

NY原油先物市場は反発:産油国の減産期待で利食いの買い戻し

NY原油先物市場は56.08-56.99ドルのレンジ相場となった。昨日米エネルギー省(EIA)が本日発表した週間石油在庫が市場予想を上回る積み増しとなったことで下落した原油先物だったが、本日は利食いの買いも入り反発した。また石油輸出国機(OPEC)の減産が順調に行われているとの報道も下支え要因となった。しかしECBが金利据え置きと貸出条件付きの長期資金供給オペ(TLTRO)の第3弾を発表したことで、ユーロを中心にドルが強含んだことで、ドル建てで取引される原油先物価格には割高感となったことで上げ幅を縮小させた。 

 

NY金先物市場は小幅反落:ドル高・ユーロ安を嫌気して弱含み

NY金先物市場は1280.80-1289.60ドルのレンジ相場となった。ECBが金利据え置きと貸出条件付きの長期資金供給オペ(TLTRO)の第3弾を発表したことで、ユーロを中心にドルが強含み、ドル建てで取引される金先物価格は割高感となったことで上値が抑えられた。 ただ、欧米株安を警戒して一部投資家によるリスク回避の買いも観測された。

 

米国債券市場は続伸:景気減速リスクを警戒した買い優勢

米国債券市場で長期ゾーンは4日続伸(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.05%低い(価格は上昇)2.64%で終了した。ECBが2019年の物価・成長見通しを大幅に引き下げたことで、景気減速リスクを警戒した買いが安全資産とされる米国債に広がった。

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