FITS エコノミックレポート

★米国市場はキング牧師誕生日のため休場

米国株式市場、原油市場、金市場、米国債券市場は休場

★NY外国為替市場：休場だったことから動意に乏しい展開

ドル/円は、日本株相場の上昇などを背景に円安・ドル高が進んだ東京市場の流れを海外市場でも引き継いだ。ナイト・セッションの日経平均先物が堅調に推移し、3万6170円まで上昇したことも相場の支援材料となり、前週末の高値145.57円を上抜けて一時145.94円まで上値を伸ばした。ただ、米国市場がキング牧師誕生日で休場となる中、一目均衡表雲の下限145.96円や節目の146.00円がレジスタンスとして意識されると上昇は一服した。

ユーロ/ドルは、東京市場から続く円安・ドル高の流れがユーロドル相場にも影響し、対ユーロでもドル買いが先行し、一時1.0934ドルと日通し安値を更新した。ただ、欧州中央銀行（ECB）高官らが利下げに慎重な姿勢を示すと下げ渋った。米連邦準備理事会（FRB）の早期利下げ観測も根強く、相場を下支えした面があった。もっとも、本日は米国市場が休場だったことから動意に乏しく、狭い範囲での動きにとどまった。今日の高値は東京時間に付けた1.0968ドルで値幅は0.0034ドル程度だった。

★中国景気の4割が悪化見込む：日系企業団体が調査

中国に拠点を置く日系企業の団体、中国日本商会は15日、在中日系企業を対象としたアンケート調査の結果を公表した。2024年に中国の景気が悪化すると見込む企業の割合は全体の39％を占めた。不動産不況が続く中、厳しい見通しが示された。
回答のうち、「悪化」は12％で、「やや悪化」は27％。「改善」と「やや改善」は合計で25％だった。23年の対中投資については「投資額を減らす」「投資はしない」との回答が48％を占め、「大幅に増加させる」「増加させる」の15％を上回った。
調査は昨年11月23日～12月13日に約8000社を対象に実施。1713の有効回答を得た。

★米利下げ到来なら企業利益は減少も、強気予想は「嵐の前の静けさ」か

米国の底堅い景気に支えられ、株式相場は企業の利益予想と連動し上昇しているが、歴史に照らし合わせれば、迫りつつあるとみられる利下げによってこのシナリオは崩れる可能性がある。市場は金利低下を熱望しているが、それは企業収益にとって実際には良いことではないかもしれない。通常、米連邦公開市場委員会（FOMC）が利下げするのは景気が後退に向かう局面であり、アナリストの楽観的な予測はこの点を考慮していないようだ。米国では、インフレ率と生産者物価が総じて低下傾向にあることからFOMCは早ければ３月に利下げに踏み切るとの見方もある。
ソシエテ・ジェネラルのクオンツ・ストラテジスト、アンドルー・ラプソーン氏はリポートで「利益の減少と金利は密接に連動する傾向にある」と指摘。現在の予測は「非常にバラ色の見通し」を反映しているという。同氏は「これは嵐の前の静けさなのか」と続けた。

★為替は米指標とFRB政策見通しに一喜一憂が続く

今週の為替相場で注目されるのは、米国の経済指標だ。前週はCPI（消費者物価指数）が予想を上回り、一旦はFRBの3月利下げ観測後退とドル高に作用した。しかし、週後半にはPPI（生産者物価指数）が予想を下回ったことで、改めて3月利下げ観測の高まりとドル安という上下動になっている。今週も米国の指標とFRBの先行き政策動向に、一喜一憂の展開が続く。

今週は最新の1月分指標が、16日にNY連銀製造業景況指数、17日に住宅市場指数、18日にフィラデルフィア連銀製造業景況指数、19日にミシガン大学消費者信頼感指数などで予定されている。1月指標はFRB利下げ期待の高まりや原油などの資源下落、昨年11月からの米長期金利低下と米株高などが支援材料となりやすい。一方で今週は昨年12月分の指標が、17日に小売売上高、輸入物価、鉱工業生産、18日に住宅着工件数、19日に中古住宅販売などで予定されている。12月指標は昨夏までのFRB利上げの遅行影響や、7－10月にかけての長期金利急上昇の打撃余波などにより、減速リスクが注視される。
FRBの先行き政策に関しては、前週末12日のPPI下振れにより、先物市場などでは3月利下げの確率が79％に上昇した（前日は73％）。同時に年内には0.25％ポイントの利下げが少なくとも6回実施され、年末までにFF政策金利が3.6％に低下するとの見方が織り込まれつつある（現状は5.25－5.50％）。
今週も米指標やFRB幹部発言などで一喜一憂が想定されるが、市場の利下げ期待はやや前のめりとなっている。今週以降は過度な利下げ期待の「後退余地」が、ドル高や円安の要因として注目されやすい。