FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:金融システムの健全性が確認され買い優勢に

NYダウは269.76ドル高の34122.42ドル、ナスダックは0.42ポイント安の13591.33ポイントで取引を終了した。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がスペイン中銀で行った講演でも少なくとも年内2回の利上げが必要となる可能性に言及したため金利先高観に売られ、寄り付き後は下落した。しかし、1-3月期国内総生産(GDP)や個人消費確定値が予想を上回り国内経済が想定以上に強いことが証明されたほか、FRBの本年の健全性審査(ストレステスト)を全対象銀が通過し金融システムの健全性が確認されたため特に金融が買われNYダウは上昇に転じ、終日堅調に推移した。一方、長期金利の上昇でハイテクは伸び悩みプラス圏を回復できず、まちまちで終了した。VIX指数は13.43から13.54へわずかに上昇した。

 

NY外国為替市場:日米金融政策の違いが意識される展開

ドル/円は、1-3月期米国内総生産(GDP)確定値や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことが分かると、米金利の上昇とともに全般ドル買いが先行し、一時144.90円と昨年11月以来の高値を更新した。その後の下押しも144.53円付近にとどまり、引けにかけては144.89円まで再び強含んだ。日米金融政策の違いが意識される中、押し目買い意欲も旺盛だ。なお、米10年債利回りは一時3.8658%前後と3月10日以来の高水準を付けた。

 

ユーロ/ドルは、21時発表の6月独消費者物価指数(CPI)速報値が予想を上回ったことを受けてユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.0941ドルと日通し高値を付けた。ただ、その後発表された米経済指標が良好な内容だったことが伝わると、全般ドル買いが優勢となり一時1.0860ドルと日通し安値を更新した。

 

NY原油先物市場は小幅に続伸:原油在庫の大幅減少が下支え

NY原油先物市場は68.93ドル‐70.60ドルのレンジ相場となった。28日のEIA週間在庫統計による原油在庫の大幅減少が引き続き支えとなり、一時70.60ドルまで上昇する場面があった。ただ、米金利の大幅上昇に伴って対ユーロなどでドル高が進むと、ドル建てで取引される原油には割高感が生じた。米国市場の前半にかけて70.60ドルまで買われた後、一時68.93ドルまで反落したが、供給超過の懸念は後退しつつあることから、押し目買いが観測され、反転。通常取引終了後の時間外取引で69.96ドルまで戻した。

 

NY金先物市場は3日続落:米長期金利上昇やドル高を嫌気した売り

NY金先物市場は1900.60‐1921.30ドルのレンジ相場となった。良好な米経済指標を受けて米長期金利が大幅に上昇したため、金利を生まない金には売りが持ち込まれ、約3カ月半ぶりの安値を付けた。米国市場の序盤にかけて1900.60ドルまで売られた後、1921.30ドルまで反発したが、ドル高や米長期金利の上昇を受けて伸び悩み、通常取引終了後の時間外取引では主に1915ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は大幅反落:米景気が底堅いとの見方が広がり売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは大幅反落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.15%高い(価格は下落)4.87%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.13%高い3.84%で終了した。1-3月期米国内総生産(GDP)確定値や予想を上回ったことが分かると、米景気が底堅いとの見方が広がり債券売りが優勢となった。利回りは一時3.8658%前後と3月10日以来の高水準を付けた。

 

7月米FOMCで25bpの利上げを予想:スタンダードチャータード

英スタンダードチャータードは29日付リポートで、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備理事会(FRB)が25bpの利上げを行うと予想した。従来予想は据え置きだった。これまでに発表された米経済指標は利上げを支持するのに十分な強さを保っていると指摘した。29日に米商務省が発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP)確定値は年期比年率換算2.0%増と、改定値(1.3%増)から大幅な上方修正となった。また、パウエルFRB議長の発言から、経済が急激に悪化しない限り利上げが既定路線であることが示唆されているとの見方も示した。利下げ開始時期について、従来予想の2023年10~12月から24年1~3月に変更した。7月発表の米雇用統計が市場予想を下振れるリスクが残るとしつつも、非農業部門雇用者数が前月比で15万人を下回らない限り、7月のFOMCで利上げに踏み切ると見込んだ。

 

米失業保険と新規申請が大幅減:US Dashboard

29日に発表された米新規失業保険申請件数は23万9000件と前週から2万6000件減少した。減少幅は2021年10月以来の大きさで市場予想26万4000件を下回った。4週間移動平均は1500件増え、25万7500件となったが、総受給者数は1万9000人減り、174万2000人となった。申請件数の大幅減は奴隷解放記念日(ジューンティーンズ)の祝日も影響しているとみられるが、米労働市場の強さが示される結果となった。

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