FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米金融引き締めの長期化懸念が重し

NYダウは74.08ドル安の33852.66ドル、ナスダックは36.08ポイント高の13591.75ポイントで取引を終了した。パウエル議長が欧州中央銀行(ECB)フォーラムでの討論会で追加利上げを示唆したため警戒感から売られ、寄り付き後は下落した。同時に、議長がリセッションが最も高い可能性のシナリオだとは思わないと経済の柔軟性を強調すると相場は下げ止まった。NYダウは終日軟調推移となったが、ハイテクの買戻しが続きナスダック総合指数はプラス圏を回復し相場を引き続き支援し終了した。VIX指数は13.74から13.43へ低下した。

 

NY外国為替市場:日米金融政策の違いが意識され円売り優勢に

ドル/円は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がポルトガルのシントラで開催中の欧州中央銀行(ECB)フォーラムで『大半の当局者は年内にあと2回の利上げを見込んでいる』『(7月、9月の)連続利上げの可能性を選択肢から排除しない』と述べた一方、植田日銀総裁は『基調的インフレ率が目標の2%を下回っているため、金融緩和を続けている』と述べ、緩和維持の正当性を主張した。日米金融政策の違いが改めて意識されると円売り・ドル買いが優勢となり、一時144.62円と昨年11月以来の高値を付けた。ただ、買い一巡後はやや伸び悩んだ。政府・日銀が昨年9月、24年ぶりに円買い介入を実施した水準である145円に接近したことで介入への警戒感が強まった。市場では『チャート上で重要なポイントである2022年10月27日の安値145.11円がレジスタンスとして意識されている』との声も聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、欧州債利回りの低下などを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行した。市場では『月末・四半期末を控える中、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだドル買いのフローが観測された』との指摘もあり、一時1.0897ドルと日通し安値を更新した。ただ、フィキシング通過後は1.09ドル台前半で下げ渋った。米10年債利回りが3.70%台まで低下したことも相場を下支えした。

 

NY原油先物市場は反発:需給ひっ迫懸念から買い優勢に

NY原油先物市場は67.05ドル‐69.73ドルのレンジ相場となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計で原油在庫が大きく減少したことで需給ひっ迫懸念から買いが優勢となった。ロンドン市場の序盤にかけて67.05ドルまで売られたが、米国市場では供給超過の懸念は後退したことで69.73ドルまで反発した。通常取引終了後の時間外取引でも69ドル台を維持した。

 

NY金先物市場は小幅に続落:米長期金利低下が下支え

NY金先物市場は1911.40‐1926.10ドルのレンジ相場となった。対ユーロなどでドル高が進んだため、ドル建てで取引される金の割高感が意識された。一方で、米長期金利が低下したため、金利を生まない金には下支え要因となった。アジア市場で1926.10ドルまで買われたが、米国市場の序盤にかけて1911.40ドルまで反落した。ドル高が嫌気された。通常取引終了後の時間外取引では主に1920ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は反発:金融引き締め長期化から景気への懸念から買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.04%低い(価格は上昇)4.72%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.05%低い3.71%で終了した。米金融引き締め長期化による景気悪化への警戒から、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。7年債入札が「好調」と受け止められたことも相場の支援材料となった。

 

パウエル議長は連続利上げを選択肢から外さない:ECBフォーラム

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は28日、欧州中央銀行(ECB)主催の国際金融会議「ECBフォーラム」のパネル討議に参加した。利上げを1会合おきに実施するかと聞かれ、その可能性もあるが「連続で実施することを選択肢から決して外さない」と答えた。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では11会合ぶりとなる政策金利の据え置きを決めたが、政策金利見通しは年内に2回の0.25%の追加利上げが適切との見方が示されていた。パウエル議長は「労働市場は非常に強い」と述べ、インフレについて「我々が想定していたよりもしつこいことがわかった」との認識を示し、政策目標の2%に戻るまでに時間がかかるとの見方を改めて強調。「今年または来年に2%に戻るとみていない」とも語った。インフレが2%に達する道筋がみえるまでは、「引き締め水準を維持する必要がある限りは(政策金利を高いままに)とどめる」との考えを示した。

カテゴリー: 朝の市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ