FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:利上げサイクル終了の期待から買い優勢に

NYダウは428.73ドル高の34408.06ドル、ナスダックは156.34ポイント高の13782.82ポイントで取引を終了した。連邦準備制度理事会(FRB)が6月連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の追加利上げの可能性を示唆したことを警戒した売りが続き寄り付き後は下落した。その後、長期金利の低下が安心感に繋がり買いが再燃し、上昇に転じた。新規失業保険申請件数の予想以上の増加で利上げサイクル終了に近いとの期待も強まり相場を一段と後押しし、終盤にかけて上げ幅を拡大して終了した。VIX指数は13.88から14.50へ上昇した。

 

NY外国為替市場:対ユーロ中心にドル安が進行

ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)はこの日、定例理事会を開き市場予想通り0.25%の利上げを決めたと発表。声明では『理事会は今後の決定でインフレ率を目標の2%へ戻すため政策金利が十分に制約的な水準になるよう確実にする』と指摘し、インフレ抑制へ一段の引き締めを示唆した。また、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で『7月も利上げを継続する可能性が極めて高い』『(利上げの)一時停止は検討していない』などと語った。米連邦準備理事会(FRB)が前日に利上げを見送った一方、ECBは利上げを継続した。欧米金利差縮小への思惑からユーロ買い・ドル売りが優勢になると、一時1.0953ドルと5月11日以来約1カ月ぶりの高値を更新した。

 

ドル/円は、NY市場に限れば上値の重さが目立った。ECB定例理事会の結果とラガルド総裁の発言が伝わると、対ユーロ中心にドル安が進行した。円に対してもドル売りが先行し、一時140.16円付近まで下押しした。米長期金利の低下も相場の重しとなった。
なお、米10年債利回りは一時3.70%台まで低下した。前日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が公表した政策金利見通し(ドット・チャート)では年内に0.25%の利上げが2回実施される可能性が示唆されたものの、市場では『米CPIや米PPIの下振れを踏まえるとFRBが再度利上げに踏み切ることには懐疑的』との声が聞かれた。

 

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは堅調だった。前日NY市場終盤に急落した反動で買い戻しが優勢となり、対ドルで2万5484ドル前後、対円で357万円台まで反発した。「資産運用会社のブラックロックはビットコインの価格に連動した上場投資信託(ETF)の上場申請を準備している」との観測報道も買い戻しを誘った。

 

NY原油先物市場は反発:中国の需要の根強さが示され買い優勢に

NY原油先物市場は68.14ドル‐71.15ドルのレンジ相場となった。中国で原油需要の根強さを示す指標が発表となり相場を下支えした。5月中国石油精製量は前年同月比+15.4%の6200万トンと、3月に記録した6330万トンに次ぎ過去2番目の高水準となった。アジア市場で68.14ドルまで売られたが、ユーロ高を意識した買いが強まり、米国市場の後半にかけて71.15ドルまで上昇した。通常取引終了後の時間外取引では70ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は続伸:米金利低下とドル安を好感した買い

NY金先物市場は1936.10‐1972.80ドルのレンジ相場となった。弱い米指標を受けて米金利が低下した。米金利低下によるドル安や、ECB利上げおよび追加利上げ観測により上昇したユーロに対するドル弱含みが金相場を支援した。金利低下は金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味を高めた。ドル安はドル建て金価格の割安感につながり投資家の買いを誘った。米国市場の序盤にかけて1936.10ドルまで売られたが、まもなく反転し、1972.80ドルまで買われた。ユーロ高・米ドル安の相場展開となったことが意識されたようだ。通常取引終了後の時間外取引では主に1971ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は上昇:米利上げ長期化観測後退から買い優勢に

米国債券市場は中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)4.65%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%低い3.72%で終了した。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容となったほか、5月米輸入物価指数が予想を下回ったことが伝わると、米利上げ長期化観測が後退し債券買いが進んだ。

 

5月米小売売上高は予想に反して増加:US Dashboard

15日に発表された5月の米小売売上高は、前月比で0.3%増えた。市場予想では0.2%の減少が見込まれていた。前年同月比では1.6%増と4月の1.2%増から伸びが加速しており、米個人消費の底堅さが示された。ガソリンスタンドが前月比で2.6%減少する一方、自動車・同部品の伸びが1.4%増えた。自動車・同部品を除いた売上高は0.1%増、ガソリンも除くと0.4%増えた。

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