FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:パウエル議長の会見を受け買戻し

NYダウは232.79ドル安の33979.33ドル、ナスダックは53.16ポイント高の13626.48ポイントで終了した。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えた調整売りに寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)はFOMCで予想通り政策金利を据え置いたが、声明や見通しでタカ派色を想定以上に強めたため年内の追加利上げを警戒した売りに拍車がかかった。その後、パウエル議長が会合後の会見で7月はライブ会合になるとの言及にとどめ追加利上げを明確化しなかったため下げ止まり、終盤にかけて株式相場は下げ幅を縮小した。ナスダック総合指数はプラス圏に回復しまちまちで終了した。VIX指数は14.61から13.88へ低下した。

 

NY外国為替市場:米利上げの長期化観測からドル買い優勢に

ドル/円は、5月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると、米長期金利の低下とともにドル売りが先行した。米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を控える中、ポジション調整目的のドル売りも出て、一時139.29円と日通し安値を更新した。ただ、FOMCの結果が伝わると買い戻しが優勢になった。米連邦準備理事会(FRB)は13‐14日開いたFOMCで市場予想通りFFレートの誘導目標を5.00‐5.25%に据え置いた。ただ、同時に公表された政策金利見通し(ドット・チャート)では2023年末の予想中央値が5.6%と3月の5.1%から引き上げられ、年内に0.25%の利上げが2回実施される可能性が示唆された。米利上げが長期化するとの観測からドル買いで反応し、一時140.18円付近まで値を上げた。なお、パウエルFRB議長は会見で『ほぼすべての当局者が年内のさらなる利上げは適切だと判断』『インフレ率を2%に戻すには長い道のりがある』『インフレリスクは依然として上向き』『利下げについては2年ほど先の話』などと語った。

 

ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続を見込んだユーロ買いが先行したあとは、米インフレ指標の下振れを受けて全般ドル売りが進行した。前日の高値1.0824ドルを上抜けて一時1.0864ドルと5月17日以来の高値を付けた。ただ、FOMCの結果を受けて米利上げが長期化するとの観測が高まるとドルを買い戻す動きが優勢となり、一時1.0802ドル付近まで伸び悩んだ。

 

NY原油先物市場は反落:米金利上昇による景気鈍化懸念から売り優勢に

NY原油先物市場は68.07ドル‐70.49ドルのレンジ相場となった。米週間原油在庫が積み増しへ転じたことや、引けにかけてドル買い戻しが強まりドル建て原油価格に割高感が生じたことが重しになった。米連邦公開市場委員会(FOMC)で今後の年内2回利上げの可能性が示され、金利上昇による景気鈍化がエネルギー需要を圧迫するとの見方もあった。ロンドン市場で70.49ドルまで買われたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控えて売りが強まり、FOMC会合の結果判明後(通常取引終了後の時間外取引)に68.07ドルまで値を下げた。その後68.80ドルまで戻しており、下げ幅はやや縮小した。

 

NY金先物市場は4日ぶりに反発:時間外取引で売り強まる

NY金先物市場は1952.50‐1973.90ドルのレンジ相場となった。弱い米卸売物価指数(PPI)を受けた米金利低下・ドル売りや、インフレ指標が目先的に落ち着きを示し米金利の据え置きが確実視されるなか金相場は底堅く推移した。金利低下が金利の付かない資産である金の相対的な投資妙味を高めたほか、ドル軟化がドル建て金相場の割安感を意識させて買い意欲を誘う材料となった。米国市場の序盤にかけて1973.90ドルまで買われたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控えて売りが強まり、FOMC会合の結果判明後(通常取引終了後の時間外取引)に1952.50ドルまで値を下げた。ただ、その後1964.90ドルまで戻し、調整的な売りは一巡した。

 

米国債券市場はまちまち:米FOMCを挟んで売買交錯

米国債券市場で中期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.01%高い(価格は下落)4.68%で終了した。また、長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)3.79%で終了した。米インフレ指標の下振れで買いが先行したものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて米利上げが長期化するとの観測が高まると一転下落した。ただ、パウエルFRB議長が会見で『7月FOMCでの利上げはまだ決まっていない』との見解を示すと買い戻しが優勢となり、再び上昇に転じた。

 

7月の25bpの利上げ確率を引き上げ:エバコア

米連邦準備理事会(FRB)が13~14日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り、11会合ぶりに利上げを見送った。その一方、合わせて公表された四半期経済見通し(SEP)のドットプロットで参加者による23年末の政策金利の予想中央値で5.6%となり、年内に2回の追加利上げが示された。FOMC後の記者会見でパウエル議長が7月会合での利上げについて『まだ決まっていない』と述べたが、CMEグループのFedウォッチで7月FOMCでの25bp利上げ織り込み度は60.3→64.5%にやや上昇した。エバコアISIは14日付のリポートで「声明文自体は明らかにタカ派的ではなかったものの、新しいSEPのドットプロットは中央値で今年あと2回の利上げを支持し、予想していた1回ではなかった。ターミナル・レートを5.6%にするという強いタカ派シグナルを発信し、パウエル議長はそのグループに入る可能性が高いことがドットから読み取れた」との見解を示した。リポートでは、パウエル議長からのメッセージを考えれば、FOMCはより多くの情報を評価するために、1回おきに利上げを行うという既定のペースに減速し、累積的にデータに依存することになると指摘した。しかし、「ほとんどの当局者は、これまでの情報に基づき、あと2回は利上げが必要だと評価しているということだろうと思われる」と指摘。7月に25bpの利上げが行われる確率を75%程度に引き上げなければならないのは明らかだとしつつ、2回目の利上げに関しては経済指標次第とみていた。

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