FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は上昇:米金融引き締め長期化への懸念和らぎ買い

NYダウは168.59ドル高の33833.61ドル、ナスダックは133.63ポイント高の13238.52ポイントで取引を終了した。朝方発表された経済指標が労働市場の軟化を示したことで、連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期化への懸念が和らぎ、寄り付き後は上昇した。新規失業保険申請件数が急増し、2021年10月以来の高水準となった。米長期金利が低下しハイテク株に買い戻しの動きが見られたほか、中小型株に買いが入り相場を支えた。来週に連邦公開市場委員会(FOMC)や物価関連指標の発表を控え動きづらい展開が続いているが、主要株式指数は終日堅調に推移した。VIX指数は13.94から13.65へ低下した。

 

NY外国為替市場:米長期金利低下で全般ドル売り優勢に

ドル/円は、前週分の米新規失業保険申請件数が26.1万件と予想の23.5万件より弱い内容だったことが分かると、米金融引き締め長期化への懸念が和らぎ、米長期金利が低下。全般ドル売りが優勢となり、一時138.81円と日通し安値を更新した。その後の戻りも139.01円付近にとどまった。

 

ユーロ/ドルは、低調な米労働指標をきっかけに米長期金利が低下するとユーロ買い・ドル売りが先行した。そして、2日の高値1.0779ドルを上抜けて一時1.0787ドルまで上値を伸ばした。なお、欧州時間に発表された1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値は前期比▲0.1%と速報値から下方修正され、2四半期連続のマイナス成長となったが相場の反応は限られた。市場では『すでにドイツなどがGDPの下方修正を発表していたことで、ユーロ圏全体のマイナス成長もある程度想定されていたようだ』との声が聞かれた。

 

NY原油先物市場は反落:需要減少の可能性とドル安を嫌気した売り

NY原油先物市場は69.03ドル‐73.28ドルのレンジ相場となった。一部報道で米国とイランの間で暫定的に核合意が結ばれると報じられると、69.03ドルまで一時急落した。しかし、ホワイトハウスが『米国とイランが制裁緩和で合意に近づいているとの報道は誤り』との声明が発表されると、下げ幅を縮めた。需要減少の可能性は残されており、ロンドン市場で73.28ドルまで買われたものの、米国市場の中盤にかけて売りが強まり、一時70ドルを下回った。ただ、ドル安や株高を意識した買いが入ったことで一時71.65ドルまで戻しており、通常取引終了後の時間外取引では主に71ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は反発:米長期金利低下とドル安を好感した買い

NY金先物市場は1955.20‐1985.70ドルのレンジ相場となった。前週分の米新規失業保険申請件数が2021年10月以来の水準まで悪化すると、米長期金利が低下に転じ、金先物は反発した。その後も米金利は低下傾向を辿り、米10年債利回りは昨日カナダ中銀が利上げを発表する前の水準まで戻したことで、金先物も上げ幅を広げた。米金利の低下が一服した後も、ドル安が多くの通貨で進んでいることで、ドルで取引される金先物は割安感が出たことも支えになった。アジア市場の序盤に1955.20ドルまで下落したが、米長期金利の伸び悩みやドル安を受けた買いが入ったことで米国市場の中盤にかけて1985.70ドルまで買われた。その後は、株高を意識した売りが観測されており、1976.80ドルまで下げており、通常取引終了後の時間外取引では1980ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場は反発:低調な米雇用指標を受け買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)4.53%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%低い3.72%で終了した。前週分の米新規失業保険申請件数が低調だったことを受けて、米金融引き締め長期化への懸念が和らぐと債券買いが広がった。

 

ユーロ圏GDPはマイナス成長へ下方改定でテクニカルリセッション入り

8日に発表された1~3月期のユーロ圏の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比0.1%減と速報値の0.1%増から下方修正され、マイナス成長に落ち込んだ。市場予想のゼロ%も下回った。2022年10~12月期も横ばい(ゼロ%)から0.1%減へと下方修正された。2四半期連続のマイナス成長となり、機械的に景気後退とみなすテクニカルリセッションに入った。ドイツの低迷が主因で、ドイツのGDPは22年10~12月期が0.5%減、1~3月期も0.3%減と2四半期連続のマイナス成長でテクニカルリセッションに入った、値上がりが続く食料品や衣料品で買い控えた広がり、個人消費が冷え込んだ。

 

米失業保険申請が急増で21年10月以来の高水準:US Dashboard

8日に発表された5月28日~6月3日の週間の米新規失業保険申請件数は26万1000件と市場予想の24万件を上回り、2021年10月下旬以来の高水準となった。前週比で2万8000件増と大幅な伸びとなり、増加幅は約2年半ぶりの大きさだった。対象期間がメモリアルデーの祝日を含み、申請件数が祝日前後で不安定になる傾向がある。季節調整前の申請件数は21万9391件と前週比で1万535件増え、4週間移動平均でも23万7250件と前週比で7500件増えた。労働需給が緩和する方向にあるとの見方が強まった。増加している企業のレイオフ発表が実際の雇用削減につながってきたとの指摘もあった。5月21‐27日の週の総受給者数は175万7000人と前週比で3万7000人減った。

 

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