FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:材料難から方向感のない展開

NYダウは91.74ドル高の33665.02ドル、ナスダックは171.52ポイント安の13104.9ポイントで取引を終了した。目新しい材料がない中、寄り付き後は小幅に上昇した。前日に続き製薬会社のメルクなど、ディフェンシブ銘柄が売られた一方、出遅れ感のあった景気敏感株の買いが目立った。景気敏感株が支えとなったNYダウは続伸。建機のキャタピラーや工業製品・事務用品の3M、原油相場の上昇を受け再生可能燃料会社のシェブロンが買われた。一方のナスダックはマイクロソフトやアップルなど大型ハイテク株の下落が重石となり、終日軟調に推移した。VIX指数は13.96から13.94へわずかに低下した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇からドル買い優勢に

ドル/円は、NY勢参入直後は全般ドル売りが優勢となり、前日の安値139.10円を下抜けて一時139.03円まで値を下げた。ただ、139.00円に観測されているオプション絡みの買いが入ると持ち直した。カナダドル/円中心にクロス円が上昇した影響も受けて、前日の高値139.99円や節目の140.00円を上抜けた。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て、一時140.25円まで上値を伸ばした。なお、米10年債利回りは3.79%台まで大幅に上昇した。前日の豪準備銀行(RBA)に続き、カナダ銀行(BOC)のサプライズ利上げを受けて、米金融引き締めの長期化観測が高まった。市場では『利上げサイクルがまだ終わっていないことを思い起こさせるものだった』との声が聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、WTI原油先物価格の上昇を背景に対資源国通貨中心にドル安が進むと、ユーロに対してもドル売りが先行し、一時1.0740ドルと日通し高値を更新した。
ただ、買い一巡後は徐々に上値が重くなった。米長期金利の大幅上昇をきっかけにドル買いが優勢となり、一時1.0691ドル付近まで下押しした。

 

カナダドルは堅調だった。対米ドルでは一時1.3322カナダドル、対円では104.88円まで値を上げた。BOCはこの日、政策金利を現行の4.50%から4.75%に引き上げることを決めたと発表。市場では金利据え置きを予想する向きが多かっただけに、カナダドル買いで反応した。なお、声明では今後の政策運営について『コアインフレの動向と物価見通しを引き続き評価する』との見解を示したほか、『超過需要やインフレ期待、賃金の伸び、企業の価格戦略が物価目標の達成に整合的かどうかをとりわけ慎重に見極め』と指摘した。

 

NY原油先物市場は反発:供給超過の懸念が和らぐ

NY原油先物市場は71.01ドル‐73.19ドルのレンジ相場となった。時間外のアジア市場では中国の貿易統計が輸出入とも減少したことで、中国のエネルギー需要の先行き警戒感から原油先物は軟調な動きだった。しかし、欧州入り後からは徐々に買い戻しが入り、米エネルギー省(EIA)が発表した原油在庫が取り崩しになったことも支えになり、反発して引けた。原油需要の大幅な増加は期待できないものの、供給超過の懸念は和らいでおり、底堅い動きを維持した。アジア市場の終盤にかけて71.01ドルまで売られた後、米国市場の後半にかけて73.19ドルまで反発。ただ、買い戻し一巡後は伸び悩み、通常取引終了後の時間外取引では主に72ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は3営業日ぶりに反落:米ドル高や米長期金利上昇を嫌気

NY金先物市場は1955.70‐1986.50ドルのレンジ相場となった。ドル売りが進んだことで、一時金先物は堅調な動きを見せた。しかしながら、カナダ銀行(BOC)が予想に反し政策金利を引き上げると、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え米金利も大幅に上昇し、金先物も米金利の動きに歩調を合わせるように売りに押された。NY午後に入るとドル高が進んだこともあり、ドルで取引される金先物は割高感から下げ幅を広げ、大幅に反落して引けた。米国市場の序盤にかけて1986.50ドルまで買われたが、米長期金利の上昇を嫌気した売りが強まり、反落した。通常取引終了後の時間外取引で1955.70ドルまで一段安となった。

 

米国債券市場は下落:米金融引き締めの長期化観測から売り

米国債券市場で中長期ゾーンは下落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.07%高い(価格は下落)4.56%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.13%高い3.79%で終了した。前日の豪準備銀行(RBA)に続き、カナダ銀行(BOC)のサプライズ利上げを受けて、世界的な物価上昇圧力の根強さが改めて意識された。米金融引き締めの長期化観測を背景に債券売りが広がった。

 

カナダ銀行がサプライズ利上げ:ゴールドマン

カナダ銀行(BOC・中銀)が7日、据え置きを見込んでいた市場予想に反して25bpの利上げに踏み切り、政策金利を4.75%に引き上げた。利上げは3月来で、米連邦準備理事会(FRB)に先行して動くとされるBOCの利上げを受けて、この日の米債市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測から米長期金利が上昇した。ゴールドマン・サックスは7日付のリポートで「7月会合での利上げ再開という我々の予想より早く、利上げサイクルを再開させた」との見解を示した。リポートでは、BOCが供給が改善されたにもかかわらず労働市場がタイトであるとの見方を継続し、インフレ率が目標を大幅に上回って推移する懸念が高まっていることを認めたとしながら、「それにも関わらず、声明文は政策金利をさらに引き上げるための当面の準備について明示的に繰り返し述べていない」とも指摘した。今回のサプライズ利上げ、経済活動やインフレに対するタカ派的な見解を踏まえ、同社はBOCが7月会合で利上げを行い、ターミナル・レートは5%になるとの見方を示した。

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