FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米金融システム不安再燃から売り優勢に

NYダウは221.82ドル安の33309.51ドル、ナスダックは22.07ポイント高の12328.51ポイント高の12328.51ポイントで取引を終了した。地銀パックウェスト(PACW)の預金減少を受け金融不安が再燃し、寄り付き後は大幅下落した。日中も同セクターの下落が相場全体を押し下げ軟調に推移した。シリコンバレー銀破綻による損失を埋めるため、連邦預金保険公社 (FDIC)が大手銀に対し多額の追加負担を求める計画だとの報道も金融の懸念材料となり、下げ幅を拡大した。ただ、4月生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったため金利先高観の後退でハイテクの買いが続き相場を支援した。ナスダック総合指数はプラス圏を回復し、まちまちで終了した。VIX指数は16.94から16.93へわずかに低下した。

 

NY外国為替市場:米債務上限問題や金融不安からリスク回避のドル買い

ユーロ/ドルは、米債務上限問題を巡る懸念や米金融システム不安再燃への警戒から、NYダウが一時400ドル超下落するとリスク回避のドル買いが優勢となり、一時1.0900ドルと日通し安値を更新した。その後の戻りも1.0929ドル付近にとどまった。なお、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁はこの日、『サービスインフレを懸念』『追加利上げの可能性がある』『将来の利上げ規模はデータと信用状況に依存』などと述べたが、相場の反応は限られた。

 

ドル/円は、米地銀パックウエスト・バンコープの預金が約1割流出していたことが判明すると時間外のNYダウ先物の下落や米長期金利の低下とともに円買い・ドル売りが先行した。『米連邦預金保険公社(FDIC)が預金保険基金に関する発表を本日行う予定』との報道が伝わると134.63円付近まで瞬間的に反発したものの、戻りは限定的だった。4月米卸売物価指数(PPI)や前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも弱い内容となったことで再び売りが強まると、一時133.75円と日通し安値を更新した。ただ、4日の安値133.50円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。欧州通貨やオセアニア通貨に対してドル高が進んだ影響も受けて、一時134.59円付近まで持ち直した。なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.15まで上昇した。

 

南アフリカランドは対円で一時6.92円と2021年1月以来の安値を付けたほか、対ドルで19.3413ランドと20年4月以来の安値を更新した。株安を背景に投資家のリスク回避の姿勢が強まる中、ランドを含めた新興国通貨への売りが強まったほか、『米国は南アがロシアへ兵器を供給していると非難』との一部報道が嫌気された。

 

NY原油先物市場は続落:リスク回避のドル高を嫌気した売り優勢に

NY原油先物市場は70.63ドル‐73.50ドルのレンジ相場となった。米債務上限問題や金融システム不安などを背景に景気後退懸念が高まるなか、リスク回避目的の売りに押された。さえない米経済指標の発表が相次いだことも相場の重しになった。ロンドン市場で73.50ドルまで買われたが、米国市場の中盤にかけて70.63ドルまで反落した。戦略石油備蓄補充に絡んだ買いは一巡しており、ユーロ安も嫌気され、原油先物は伸び悩んだ。通常取引終了後の時間外取引では主に71ドルを挟んだ水準で推移した。

 

NY金先物市場は続落:ドル高・ユーロ安を嫌気した売り優勢に

NY金先物市場は2016.70₋2047.60ドルのレンジ相場となった。外国為替市場で対欧州通貨などを中心にドル買いが進んだことを受け、ドル建てで取引される金相場の割高感が意識された。米国市場の序盤にかけて2047.60ドルまで買われた後、ユーロ安を嫌気した売りが入ったことで2016.70ドルまで反落した。しかしながら、米長期金利の低下を受けて2027.80ドルまで戻した。通常取引終了後の時間外取引では主に2020ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:リスク回避と米経済指標の弱い結果を受け買い優勢に

米国債券市場で中期ゾーンは変わらずだった。米2年債利回りは前営業日比変わらずの3.91%で終了した。また、長期ゾーンは反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.06%低い(価格は上昇)3.38%で終了した。米債務上限問題を巡る懸念や米金融システム不安再燃への警戒から、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。4月米卸売物価指数(PPI)や前週分の米新規失業保険申請件数が予想よりも弱い内容となったことも債券買いを促した。

 

米失業保険申請件数は2種連続増加:US Dashbosrd

11日に発表された4月30日~5月6日の週間の米新規失業保険申請件数は前週比2万2000件増の26万4000件と市場予想の24万5000件を上回った。2週連続の増加で、2021年10月以来の高水準となった。労働市場の動向をより正確に反映するとされる4週間移動平均も24万5250件と前週比で6000件増加し、基調としての増加が示された。季節調整前の実数でも23万4084件と前週比で1万3969件増加した。米連邦順理事会(FRB)による累積的な利上げの効果が、労働市場にも波及し始めたと指摘された。

4月23日~29日の週間の総受給者数は181万3000人と前週比で1万2000人増加した。

 

米PPIは鈍化傾向が鮮明となり2年ぶり低水準:US Dashbosrd

11日に発表された4月米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇と市場予想の0.3%上昇を下回った。同年同月比でも2.3%上昇と市場予想の2.5%上昇を下回り、上昇率は10カ月連続で鈍化し2021年1月以降で最小となった。変動の激しい食品、エネルギー、運輸を除いたコアPPIでは前月比0.2%と3月の0.1%上昇からわずかに加速したものの、前年同月比では3.4%上昇と3月の3.7%上昇から上昇率を縮めた。

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