FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:米重要インフレ指標控え方向感出ず

NYダウは55.69ドル安の33618.69ドル、ナスダックは21.50ポイント高の12256.92ポイントで取引を終了した。地銀セクターの回復で金融不安が緩和したため、寄り付き後は上昇した。その後、債務不履行リスクを警戒した売りに押され下落に転じた。さらに、FRB銀行融資担当者調査で融資基準が一段と厳格化されたことやビジネス融資需要の弱さが証明されると、売り圧力がさらに強まり下落幅を拡大した。ただ、今週予定されている消費者物価指数(CPI)などの重要インフレ指標発表を控え下値も限定的となり、終盤にかけて下げ幅を縮小した。ナスダック総合指数はプラス圏を回復し、まちまちで終了した。VIX指数は17.19から16.98へ低下した。

 

NY外国為替市場:債務上限問題がドル相場の重しに

ドル/円は、米10年債利回りが3.51%台まで上昇したことなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行すると、一時135.23円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値135.30円付近がレジスタンスとして意識されると失速した。米債務上限問題を巡る懸念からNYダウが一時160ドル超下落したことも相場の重しとなり、一時134.66円付近まで下押しした。ただ、アジア時間に付けた日通し安値134.64円や前週末NY時間高値からの下押しレベルである134.63円がサポートとして働くと買い戻しが優勢になった。米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いも出て135.18円付近まで持ち直した。なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した2023年第1四半期の融資担当者調査(SLOOS)によると、融資基準の厳格化および商業・産業向け貸し出し需要の軟化が報告されたものの、相場の反応は限られた。

 

ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇を材料にユーロ売り・ドル買いが先行した。ユーロ/円やユーロ/豪ドルなどユーロクロスの下落につれた売りが出ると一時1.1000ドルと本日安値を付けた。

 

NY原油先物市場は続伸:米景気後退への懸念和らぎ買い優勢に

NY原油先物市場は71.04ドル‐3.69ドルのレンジ相場となった。前週末に米労働市場の強さを再確認し、景気後退への懸念が和らいだことがこの日も相場を支えた。足もとの相場下落が『行き過ぎだった』との思惑が広がっていることも買い戻しを誘い、全般にショートカバーの動きが目立った。米国経済の大幅な悪化に対する警戒感は低下し、米国市場の前半にかけて73.69ドルまで買われた。ただ、ドル高や米長期金利の上昇を意識した売りも観測されており、通常取引終了後の原油先物は上げ渋った。

 

NY金先物市場は反発:米長期金利上昇を嫌気した売り

NY金先物市場は2022.00₋2037.10ドルのレンジ相場となった。米連邦債務上限問題への警戒感から安全資産とされる金需要が高まった。もっとも、米金利が上昇幅を拡大すると、金利を生まない金の買い意欲も後退。取引時間の終盤はやや上値が重くなった。アジア市場の序盤に2022.00ドルまで下げた後、米国市場の後半にかけて2037.10ドルまで買われた。しかしながら、6月も利上げを継続する可能性は残されており、ドル高や米長期金利の上昇を意識して通常取引終了後の時間外取引で2027.40ドルまで売られている。

 

米国債券市場は続落:需給悪化懸念から売り優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは続落(利回りは上昇)した。米2年債利回りは前営業日比0.09%高い(価格は下落)3.99%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.07%高い3.51%で終了した。アップルなど複数の起債が決まり、需給の緩みが意識されると売りが優勢となった。今週予定されている3・10・30年債入札を前に、需給悪化を警戒した売りも出た。

 

米融資態度悪化も想像ほど深刻ではない:JPモルガン

米連邦準備理事会(FRB)が8日発表した銀行融資担当者調査(SLOOS)は、企業向け融資を『厳しくした』から『緩めた』を引いた値が46ポイントと2022年10~12月から1.2ポイント上昇した。四半期に1度公表されるSLOOSは今回の回答期間が3月27日~4月7日と23年の米銀破綻以降初めての調査となったことから、市場では注目が集まっていた。JPモルガンは8日付リポートで、銀行はほぼすべてのカテゴリーの借り手に対し、総じて貸出基準を引き締めたと総括した。一方で、前回調査で既に貸出態度が引き締められていたことを考慮すると、大きな変化がなかったとも指摘。また、米銀破綻による銀行ストレスから想像されるほど、融資基準の引き締めは深刻ではなかったとの見方も示した。一方で、融資側ではなく需要側に当たる小企業のローン需要はマイナス53.3%と09年以降も低い水準に落ち込んだほか、不動産ローンや消費者ローンに対する需要も非常に低調であったことから、融資の供給・需要の両サイドから「見通しについては厳しい絵を描いているように見える」との見方も示した。

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