FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場はまちまち:金融システムの混乱を警戒した売り

NYダウは228.96ドル安の33301.87ドル、ナスダックは55.19ポイント高の11854.35ポイントで取引は終了した。予想を上回ったハイテク決算を好感し寄り付き後は上昇した。その後、経営難に見舞われている地銀のファースト・リパブリック(FRC)の存続性が一段と危ぶまれ、金融システムの混乱を警戒し売りが加速し、NYダウが大幅下落に転じた。一方、一部ハイテク企業の良好な決算や利上げ観測の後退でナスダック総合指数はプラス圏を維持した。主要株式指数はまちまちで終了した。VIX指数は18.76から18.84へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇でドル買い下支え

ドル/円は、米10年債利回りが3.43%台まで上昇したことをきっかけに円売り・ドル買いが先行し、一時133.94円と日通し高値を付けた。ただ、『米政府は米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の救済について、現時点では消極的』との報道が伝わると、米金融システム不安再燃への警戒から一転売りが優勢になった。米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重しとなり、133.02円と日通し安値を更新した。節目の133.00円手前では買い戻しが入ったほか、米10年債利回りが3.45%台まで上昇したことを受けて133.88円付近まで持ち直す場面もあったが、日通し高値133.94円目前で失速した。『FRCは米連邦準備理事会(FRB)貸出へのアクセスを制限される可能性』との一部報道が伝わり、NYダウが290ドル超下落したことも相場の重しとなり、133.48円付近まで押し戻された。なお、市場では『明日の1-3月期米国内総生産(GDP)速報値や28日の3月米個人消費支出(PCE)などの米重要指標の発表を控えているほか、27-28日の日銀金融政策決定会合を前に、様子見ムードが強く神経質な動きとなった』との声が聞かれた。

 

ユーロ/ドルは、欧州時間発表の独仏消費者信頼感指数の上振れを手掛かりにユーロ買い・ドル売りが先行し、一時1.1095ドルと昨年3月31日以来約1年1カ月ぶりの高値を更新した。米地銀の経営や米債務上限問題など米経済を巡る不透明感が強まっていることもドル売りを促した。ただ、買い一巡後は上値が重くなった。欧州株安やNYダウの失速でリスク回避のドル買いが入ったほか、米長期金利が上昇に転じたことが相場の重しとなり、1.1032ドル付近まで下押しした。

 

NY原油先物市場は続落:景気先行きへの不透明感から売り優勢に

NY原油先物市場は74.05ドル‐77.93ドルのレンジ相場となった。米地銀ファーストリパブリック銀行株が再び急落し、反発して始まったNYダウが一時290ドル超下落した。金融不安による景気先行きへの不透明感が高まり、原油先物は売りが優勢となった。米エネルギー省(EIA)が発表した週間石油在庫では、原油在庫が大幅な減少となったことで一時買い戻しが入る場面もあったが、引けにかけては再び米株が弱含んだことで、原油先物も下げ幅を広げ続落して引けた。ロンドン市場の序盤にかけて77.93ドルまで買われたが、米国市場では将来的な需要減少を意識した売りが増えたことによって74.05ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に74ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は3営業ぶりに反落:米長期金利上昇を嫌気した売り優勢

NY金先物市場は1993.70₋2020.20ドルのレンジ相場となった。米地銀ファーストリパブリック銀行株が再び急落したこともあり、反発して始まったダウ平均が下落した。リスク回避の動きが強まると、安全資産とされる金先物に買いが集まった。しかし、徐々に米国株が買い戻され、米金利も上昇に転じたことで、金先物は一転下げに転じ反落して引けた。米国市場の前半にかけて2020.20ドルまで買われたが、米長期金利の反転を意識した売りが増えたことで1993.70ドルまで反落した。通常取引終了後の時間外取引では主に2000ドルを挟んだ水準で推移した。

 

米国債券市場はまちまち:売買が交錯するも長期債に売り

米国債券市場で中期ゾーンは続伸(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)3.94%で終了した。また、長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.05%高い(価格は下落)3.45%で終了した。米地銀の経営や米債務上限問題など米経済を巡る不透明感を背景に債券買いが入った半面、好調な企業決算を手掛かりに債券売りが出たため反落して引けた。

 

金融不安や債務不履行を警戒し米5月FOMCで利上げ見送りの思惑強まる

米国3月の経済指標は比較的堅調だったが、4月の経済指標は消費者信頼感指数をはじめ地区連銀製造業・非製造業など、景気の落ち込みを示している。加えて、地銀ファーストリパブリックが発表した1-3月期決算で、預金水準が前四半期に比べほぼ半減したことが明らかになり、同行の存続リスクが広がった。現状で、当局は介入する意向がないとの関係筋の話などから、金融システム不安が一段と強まった。金融混乱は景気へのさらなる打撃となる可能性もある。加えて、昨年の株式相場が冴えず資産売却益が減少、本年の歳入額が少なくなるためイエレン財務長官は連邦債務が早くて6月初旬にも上限に達すると言及した。議会、政府の交渉が暗礁に乗り上げ上限引き上げの様相が見られず、米国政府機関閉鎖のリスクも高まりつつある。4月の景気鈍化の兆候、金融不安、債務不履行がリスクとなり、短期金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)5月2日、3日に開催する連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ停止確率が32%まで上昇した。

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