FITS エコノミックレポート

朝の市場コメント!

米国株式市場は下落:金融不安や景気減速懸念から売り優勢に

NYダウは110.39ドル安の33786.62ドル、ナスダックは97.67ポイント安の12059.56ポイントで取引を終了した。米地銀の決算が低調で預金の減少が明らかになると金融不安が再燃して、寄り付き後下落した。経済指標も予想を下回り景気減速懸念もさらなる売り圧力となり、終日軟調に推移した。終盤にかけ、AT&Tの下落も一段の重しとなり、下げ幅を拡大し終了した。VIX指数は16.46から17.17へ上昇した。

 

NY外国為替市場:低調な米景気指標受けドル売り優勢に

ドル/円は、4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や3月米中古住宅販売件数、3月米景気先行指標総合指数などが予想を下回ったことが伝わると、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化し、一時134.01円と日通し安値を更新した。米長期金利の指標である米10年債利回りは一時3.5223%前後まで低下した。ただ、節目の134.00円や前日の安値133.96円がサポートとして意識されると134.36円付近まで下げ渋った。なお、メスター米クリーブランド連銀総裁は講演で『政策金利を5%以上に引き上げ、しばらく維持する必要がある』としながらも、『金融環境の引き締まりが経済に与える影響に注目』と述べ、政策運営に『慎重』である必要性を指摘した。また、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は『FRBはインフレ抑制に注力している』などと発言したものの、金利の道筋を巡る自身の見解については言及しなかった。

 

ユーロ/ドルは、この日発表された米経済指標が軒並み予想を下回ると全般ドル売りが優勢となり、一時1.0989ドルと日通し高値を付けた。ただ、17日の高値1.1000ドルがレジスタンスとして意識されると1.0956ドル付近まで伸び悩んだ。

 

NY原油先物市場は続落:景気停滞による需要減少への警戒感から売り

NY原油先物市場は76.97ドル‐79.07ドルのレンジ相場となった。昨日の地合いの弱さを引き継ぎ、時間外から売り優勢だった。この日発表された米経済指標が軒並み弱く、景気停滞によるエネルギー需要減少への警戒感が高まると下げ足を速めた。終値ベースでは先週末14日からの下げ幅は5ドル超にも広がった。アジア市場の序盤に79.07ドルまで買われたが、需給ひっ迫の懸念は緩和し、米国市場で一時76.97ドルまで下落した。ただ、米長期金利の低下を意識した買いが入ったことで78.00ドルまで反発し、通常取引終了後の時間外取引では主に77ドル台で推移した。

 

NY金先物市場は反発:米長期金利低下とドル安を好感

NY金先物市場は2002.20‐2024.20ドルのレンジ相場となった。米国では4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や3月景気先行指標総合指数が予想よりマイナス幅を広げるなど、弱い経済指標が相次いだ。結果を受けて米金利は低下し、為替はドル安に振れた。それらの動きが金相場の追い風となり、一時2024ドル付近まで上値を伸ばした。アジア市場で2002.20ドルまで下落したが、米長期金利の低下を意識した買いが強まり、米国市場の中盤にかけて2024.20ドルまで上昇した。ただ、利益確定を狙った売りも観測されており、上昇一服した。通常取引終了後の時間外取引で2013.60ドルまで値を下げる場面があった。

 

米国債券市場は上昇:低調な米経済指標受け買い優勢に

米国債券市場で中長期ゾーンは上昇(利回りは低下)した。米2年債利回りは前営業日比0.11%低い(価格は上昇)4.13%で終了した。また、米10年物国債利回りは前営業日比0.06%低い3.53%で終了した。低調な米経済指標を受けて米景気への懸念が高まると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。

 

米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は20年5月以来の低水準

20日に米フィラデルフィア連邦準備銀行が発表した4月の製造業景況指数はマイナス31.3と市場予想のマイナス20.0を大きく下回り、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年5月以来、約3年ぶりの低水準となった。内訳では、新規受注がマイナス22.7と3月のマイナス28.2から改善し、出荷もマイナス7.3と3月のマイナス25.4から大きく改善した。雇用指数もマイナス0.2と3月のマイナス10.3から改善した。一方、支払価格は8.2と3月の23.5から大きく悪化し、受取価格はマイナス3.3と3月の7.9からマイナスに悪化した。

 

米2050万世帯が『光熱費』滞納:米紙WP

米FRBの急激な利上げに伴う金利上昇によって金融不安や家計の公共料金の延滞や借金支払い延期が増え、米GDPの7割を占める消費の減退が経済成長率の下押し圧力となって重く圧し掛かりつつある。
米紙「Washington Post」3月8日電子版は『There’s a warning sign in this otherwise hot economy(堅調な経済に灯る警告サイン)』と題し、「全米エネルギー支援協会によると、多くの世帯が光熱費を滞納し、今年1月には2050万世帯が延滞残高を抱え、この滞納世帯数は2011年以来最高に達した(Many households are also behind on their utility bills: 20.5 million homes had overdue balances in January, according to the National Energy Assistance Directors Association. The number of households applying for help to pay their utility bills is the highest it has been since 2011)」と記し物議を醸した。

既に、米クレジットカード残高は史上最高に膨らみ、金利急騰により人々は自動車ローンや住宅ローンの支払いに苦慮、公共料金の滞納世帯の増加や厳しいローン支払いはリセッションに陥ればさらに事態の悪化に拍車をかけると懸念される。

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